新元号、明日発表される。

今上天皇が4月30日をもって退位され、5月1日に新天皇が即位する。

平成もあと4ヵ月で終わり、新しい元号が変わる。

さて、この元号について、みなさんはどれぐらいご存じだろうか。

まず、天皇ひとりについて、元号が1つ。

これは明治時代から始まった。

一世一元の制。

高校日本史で習ったことがあるかと思う。

元号=天皇と思っているかたは間違い。

明治や大正、昭和という元号は天皇のおくり名で、死後につけられるいわば戒名のようなもの。

だから、明治天皇、大正天皇などという言い方は、天皇崩御後に呼ばれるもので、生前はいつの時代も現在の天皇は今上天皇の名で呼ばれる。

仮に(絶対にあり得ないが)アナウンサーがテレビで今上天皇を現在の元号名をつけて呼んだとしたら、大変なことになる。

抗議の電話や手紙が殺到し、右翼が街宣車でテレビ局に乗り付ける。

当然、そのアナウンサーの首は飛ぶ。上司はおろか、テレビ局の社長も辞任、という事態になるだろう。

江戸時代までは天皇一人で元号はコロコロ変わった。

たとえば、1853年ペリーが来航したときの天皇は孝明天皇。

そのときの元号は嘉永六年。

翌年に改元(元号を改めること)して安政。

安政といえば、井伊直弼が反対派を弾圧した「安政の大獄」の安政だ。

安政は6年間続いて、1860年から万延。

大江健三郎の小説「万延元年のフットボール」の万延だ。

ところが翌年にはすぐに文久と改め、この元号も3年間だけで終わり元治、慶応と猫の目のように変わる。

ペリー来航後の15年間で元号が6個もある。

孝明天皇の治世の元号は天保、弘化も含めて8個もある。

それでは、なぜコロコロ元号を変えるのか?

理由は大きく分けて2つある。

①いいことがあったとき

②悪いことがあったとき

この2つだ。

いいこと、というのは、縁起がいいこと。

武蔵国からキラキラ光る胴が献上されたことを祝って和銅と元号を変え、和同開珎を鋳造したことはよく知られている。

ほかには、甲羅に文字が刻まれている亀が献上された(天平宝字)。

キラキラと七色に光る彩雲が見られた(慶雲)。

白いキジが献上された(白雉はくち)。

など、珍しい動物、鳥や鉱物が発見されたり、吉兆とみなされる自然現象が起こったときに「こりゃめでたい」と改元する。

もちろん新天皇が即位して改元することもこうした例に含まれる。

逆に、縁起の悪いことが起こった場合も時間をリセットする意味で改元する。

悪いこととは、主に天変地異や戦乱、疾病の流行、飢饉などがあげられる。

これは平安時代の醍醐天皇のときの延喜23年を延長元年に改元したケースから始まる。

天皇交代による改元は新天皇の誕生でめでたいからという理由に加えて、前天皇の崩御で不吉であるからという裏表で解釈できるだろう。

縁起がよくてめでたい(祥瑞しょうずい)、縁起が悪くて不吉(災異)などは、天からのメッセージと受け止めて、吉兆を祝い、凶兆を封じ込める考えを祥瑞災異思想といい、もとは中国から伝来した陰陽五行説の影響によるものだ。

まとめると、江戸時代以前の日本人は迷信深かったということだ。

元号を変えるのは、いわばゲン担(かつ)ぎといっていい。

芸能人やスポーツ選手も売れなかったり、成績が低迷したときに改名する人がたまにいる。

ボクシングのフライ級世界チャンピオン小熊正二は大熊正二に改名して世界王座戦に挑戦した。

(試合は大熊敗戦)

お笑い芸人の「おさる」は細木数子のアドバイスで「もんきっきー」に改名。

(その後、鳴かず飛ばず)

いずれの場合も人間の改名は運気を揚げるのではなく、下げる方向に働くケースが多いような気がする。

ともあれ、新元号は何になるのだろうか、楽しみだ。

改元して今よりさらによい時代になれば何よりだ。

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