【ファンタジックアイの2019】2020年募集馬注目クロス③社台編<第3回>

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(1)はじめに

社台・サンデーサラブレッドクラブ2020年募集馬リストのなかで、注目クロスを持つ馬を取り上げて解説をしている。

前回は社台サラブレッドクラブ募集馬でサンデーサイレンスの3×3のクロスを持つボルドグザグの19について書いた。

ボルドグザグの19は牡馬だが、今回は同じ社台サラブレッドクラブ募集馬でサンデーサイレンスの3×3のクロスのインブリードを持つ牝馬の【ファンタジックアイの2019】について書いてみたい。

(2)ファンタジックアイの2019の血統評価

まずは【ファンタジックアイの2019】の5代血統表を下に掲げる。

ファンタジックアイの2019の父スクリーンヒーローの母父はサンデーサイレンス。ファンタジックアイの2019の母父のネオユニヴァースはサンデーサイレンスの直仔ということで、サンデーサイレンスの3×3のクロスが成立している。

母のファンタジックアイは2011年生まれ。競走成績は8戦0勝 [0-1-1-6]の未勝利馬。

本馬は4番仔で、上の3頭はいずれも牡馬。

ブラックアイドタフ (牡馬、2016年生まれ、父ルーラーシップ):8戦0勝 [0-1-0-7]

ビーオールアイズ (セン馬、2017年生まれ、父ルーラーシップ):2戦0勝 [0-0-0-2] 中央現役、未勝利

セイクリッドゲイズ (牡馬、2018年生まれ、父エピファネイア)

兄たちはまだ1勝もしていない(2020年4月26日現在)。

母のファンタジックアイの産駒がすべて未勝利なのは気になる。

上のきょうだいで、本馬と同じサンデーサイレンスの3×3のクロスを持つ馬はいない。

ただ、1つ上の兄セイクリッドゲイズはサンデーサイレンスの4 × 3(18.75%)のクロスを持つ。

4×3はいわゆる奇跡の血量だ。

父がスクリーンヒーローでサンデーサイレンスの3×3のクロスを持ち、さらにNorthern Dancerの5  × 5  × 5(9.38%)という血統構成はG3札幌2歳ステークスを勝ったトラストと同じだ。

前回書いた【ボルドグザグの2019】ともこの血統構成は共通している。

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(3)トラストに似せた配合がトレンド

トラストが札幌2歳ステークスに勝利したのは2016年。

この馬を意識して、2018年にトラストに似ている血統構成で種付けしてして生まれたのが、ボルドグザグの2019ということになる。

ボルドグザグの2019はトラストと同じ牡馬で、本馬(ファンタジックアイの2019)は牝馬となった。

ちなみに、父こそヴァーミリアンで、本馬と異なるが、G3フェアリーステークスを勝った牝馬のノットフォーマルもサンデーサイレンスの3×3のクロスを持ち、さらにNorthern Dancerの5  × 5  × 5(9.38%)という血統構成をしている。

さらに、サンデーサラブレッドクラブの今年の1歳募集馬シーディドアラバイの 2019(牝馬、父サトノアラジン)もサンデーサイレンスの3×3プラスNorthern Dancerの5  × 5  × 5(9.38%)のインブリードを持っている。

ここまで一致するということは偶然では済まされない。

生産者は完全に狙って配合している。

なぜサンデーサイレンスの3×3にNorthern Dancerの5  × 5  × 5(9.38%)のインブリードがセットになると、2頭の重賞勝ち馬(トラスト、ノットフォーマル)を出すまでの効力を発揮するのか。

その理由は答えるまい。

サラブレッドの生産の世界は演繹法(1つの原理から個々の事実を導く)ではなく、帰納法で成り立っている。

つまり、すべては事実の集積、配合の積み重ねでトライアンドエラーを繰り返しながら、ベストマッチのブレンド(配合の法則)を見つけ出す。

ニックスがまさにその典型だ。

こうして見出した配合の組み合わせは単なる偶然かもしれない。

あるいは、隠れた理由があるやもしれぬ。

しかし偶然、必然は神のみぞ知る。

人間は重賞勝ちという事実にすがるほかはない。

多くのブリーダーを動かすのはこのような経験則という名の付いた疑似科学だ。

(4)まとめと結論

3×3の強いクロスはハッキリいってギャンブルだ。

生産者もよくわかっている。

サンデーサイレンスのクロスを持つ馬をブリーダーは避けている。

その根拠はあるが、それは次回に。

だから、こうした馬の評価はとても難しい。

サラブレッドの生産が経験とカンが頼りなら、馬の評価も乏しい経験をあてにするしかない。

幸いファンタジックアイの2019の1つ上の兄セイクリッドゲイズが社台サラブレッドクラブの募集馬だ。

兄のセイクリッドゲイズは未出走。デビューが待ち望まれる。

クラブのホームページでこの馬の育成過程を調べて、気性や体質に問題がないかを調べてみよう。

セイクリッドゲイズ(牡馬、3歳、父エピファネイア)について、クラブレポートで気性や体質について言及されているところだけをピックアップした。

もちろん、この馬のいいところはたくさんあり、褒めているコメントもあったが、今回は妹のファンタジックアイの2019のリスク評価という意味で兄の問題点だけを参考にさせていただいているので、悪いところだけチョイスしたことに他意はありません。

上のコメント読むと、やはり気性面(やや気性の荒いところがあり)や体質(スクミ易い体質)に課題があるようだ。

スクミとはウマ労作性横紋筋融解症という筋肉の損傷がもととなり、痙攣や痛みが生じて、跛行につながる馬の病気。

遺伝性のものからストレスによるものまで、スクミの原因はさまざまで、これがインブリード(サンデーサイレンスの4×3)によるものかは不明である。

気性の荒さはサンデーサイレンス譲りのものだろう。

3歳のこの時期までデビューの予定が立たないというのも、この馬は気性と体質に問題があるからで、十分にうなずける。

このような気性や体質はきょうだいでも(父母から)遺伝するので、ファンタジックアイの2019も心配だ。

出資についての判断だが、ここは、やはりケンが正解なのかもしれない。

【ファンタジックアイの2019】2020年募集馬注目クロス③社台編<第3回>終わり

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