【1口馬主を哲学する】

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(1)1口馬主を始めてわかったこと

1口馬主の会に入ると嵌ってしまって、なかなか抜けられない諸氏も多いかと思う。

出資馬が勝てば勝つほど、様々な面で歓びが増幅されるが、競馬で愛馬が優勝するのは難しい。

1口馬主を始めて競馬の何がわかったかというと、1勝の遠さ、1つ勝つことの重みだ。

愛馬が走らないとじわじわとストレスが溜まる。

そこで、なるべくストレスをかけないで1口馬主長くを楽しむ方法を考えてみることにする。

(2)哲学者ベンサムの快楽計算

18世紀、イギリスの哲学者にベンサムという人物がいる。

ジェレミ・ベンサム(Jeremy Bentham、
1748年2月15日 – 1832年6月6日)

彼は功利主義の祖と呼ばれている。

功利主義とは、 ある行為が幸福や快楽をもたらすかどうかを善悪の判断基準と考えるもので、今の私たちの政治(民主主義)や経済(資本主義)を思想面から型つくる重要な思想と言っていい。

このベンサムは、 幸福を7つの基準によって量的に計算する快楽計算という概念を提唱した。

7つの基準とは、すなわち ①強度、②持続性、③確実性、④時間的遠近、⑤多産性、⑥純粋性、⑦それが及ぶ範囲 、をさす。

多少、解説をしておくと、多産性とは、「豊かさ、ある快楽がつぎつぎと他の快楽をもたらす」(wikiペディアより)こと。

純粋性は、その快楽や幸福の中に苦痛や不幸がなるべく混ざっていないこと。

たとえば、違法薬物は使用中の幸福度が増す(やったことないけど、たぶん)けれど、心身へのダメージが大きいのでアカン、ということ。

(3)1口馬主の楽しさを快楽計算する

さて、1口馬主はベンサムの基準からすると、どれくらい当てはまっているか、検討してみる。

さらに、7つの観点をそれぞれ0~10点の得点を与え、70点満点で1口馬主の歓びを評価してみたい。

①強度(10点)

出資馬が勝ったときの喜びはハンパない。私が初めて1口で優勝したときの愛馬はアロマキャンドル(父.フレンチデピュティ)。中山競馬場へ応援観戦に行って、1着で目の前のゴール板を駆け抜けた。あのときの興奮はいまでも忘れられない。急いで親に電話したものだ。勝てばその歓びを誰かに伝えたくなる。いまこの文章を読んでくださっているあなたも、きっと同じことをされている方が多いに違いない。

②持続性(8点)

優勝の喜びは翌日も続く。私の場合は2週間ぐらいは持つ。G1やクラシック競走で勝てば、一生続く。明日も仕事をがんばろう、という活力の源になる。

③確実性(1点)

1口馬主で一番あてはまらないのがコレ。競馬に絶対はない。ダントツの1番人気で、このメンバーならば、必ず勝てると思っても、いざレースが始まってみると思わぬ不利に泣いたり、人気薄に足もとを救われたりということは、よくあることだ。募集のときに大きな夢を描いても、画餅に帰すことはしょっちゅうだ。確実に当たり馬を探し出したい。科学時代の以前、金鉱を掘り当てることに一生を費やす山師の世界が、1口馬主に最も近いかもしれない。

④時間的遠近(3点)

1口馬主を投資と考えると、出資金が現金化されるのは、1年以上先だ。しかも、ペイする時間は長い。大半はペイすらしない。愛馬の成長を長い時間をかけて待つ。気の短い人には向かない趣味だ。でも、待つことの喜びがある。1口会員のみなさんは、これから訪れる愛馬のデビューを今や遅しと待ち焦がれている。ダービーが終わったあとの心境はまさに、そんな具合だろう。

⑤多産性(10点)

多産性、という言葉は、まさにこの趣味にドンピシャ当てはまる。自分の馬がレースに勝つだけで嬉しいし、40分の1の場合は少なくない賞金が入ってくる。口取りに参加してもしなくても、栄誉がやってくる。仲間から祝福され、重賞競走で勝てば、ちょっと自慢できる。クラブから優勝写真が送られてきて、優勝メダルの売却代金も振り込まれる。G1で勝てば、記念品(自腹だけど)の贈呈や、パーティーにも招待され、有名騎手や調教師と目近で触れ合うことができる。次から次へと波のようにやってくる歓び、という点では、馬券で勝つだけの競馬ファンと比べて、大きな違いと言っていい。

⑥純粋性(2点)

よく1口馬主は儲かりますか? という質問をされる。答えは当然NO。大半の人は赤字で、黒字が出る馬は1割前後。しかも、40分の1の場合は馬鹿にならないお金をともするとドブに捨てることになる。純粋な歓びだけ、というわけにはいかない。ほとんどの趣味は多少のお金がかかるが、こと社台・サンデーの1口馬主となると、費やす金額が一般のサラリーマンのお小遣いをはるかに越える。負けても純粋に楽しめる人は、よほどの大金持ちの人なのだろう。

⑦それが及ぶ範囲(8点)

1口馬主の出資は、1口1人に限られている。まれに名義だけ1人にして、宝くじのように共同で1口を購入する人もいる、と聞くが、少数だろう。出資馬の優勝を自分ひとりだけで味わう、という気持ちも十分に理解できるが、仲間と分かち合うという会員の方も大勢おられることかと思う。仲間の愛馬が勝てば祝福メールを送る。私も同僚の愛馬については、年中メールのやりとりをしている。また、ネットの馬友とも「おめでとう」メールを交わしあっている。そして、中にはブログなどで仲間を募り、勝つ喜びを共有しているファンも多い。思うに、1口馬主の最大の楽しみかたは、この⑦番かなと個人的には考える。人みしりのする私は1口馬主仲間が少ないが、もっとツアーなどに積極的参加して、仲間を増やしたいと思う。有益情報の交換という実利の面だけでなく、純粋に仲間の優勝を我がことのように歓び、自分の馬も仲間から大切に思われる。そうした人間関係をつくることの喜び。自分の愛馬が勝てない時期には、仲間の馬が勝つことに歓びを見出す。そうすれば、勝てないイライラも少しは和らぐのではないか、と思う。この言葉を哲学者、ベンサムに聞かせてやりたい。

(4)1口馬主の快楽は何点?

 さて、点数のほうだが、70点満点中42点という結果になりました。

一応、半分はクリアーしているけれど、ほかの趣味と比べて得点は高いほうなのか、低いほうなのか、よくわからない。

みなさんの趣味は何点になるか。

計算してみてはいかがでしょうか。

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