【御崎馬】海を渡って日本にやってきた日本の在来馬について考える

(1)御崎馬に出会う

先月(2019年11月)、大阪南港からフェリーさんふらわあ号に乗って、鹿児島県志布志湾に到着し、バスで宮崎観光に行きました。

目的地は都井岬。

あともう少しで岬に到着、というところで、バスが停車しました。

前方で何台か車が道を塞いでいます。

車はなかなか動きだしそうにありません。

道路の真ん中に違法駐車か?

こんなところに車を止めて観光に行っているなんて、どんなマナーしているんだ?

内心そう思っていましたが、それにしても様子が変です。

普通なら、クラクションを鳴らして、運転手に注意するところですが、バスのドライバーさんはのんびりと構えています。

見ると、車道の道端で仔馬が草を食んでいます。

バスガイドさんによると、この都井岬いったいには、御崎馬(みさきうま)が生息しているそうです。

これは国の天然記念物に指定されている貴重な在来馬とのこと。

ここでは、馬優先で、今回のように馬が道路に出てきているときには、馬がどくまで車は待たなければならないルールです。

クラクションを鳴らすことも、馬に触れることも禁止されています。

車窓から外を見ると、急こう配の岬の斜面に何頭も野生の馬がいます。

サラブレッドよりも一回り小さい、小柄の馬たちです。

仔馬が道をふさいでくれたおかげで、ゆっくりと馬たちを眺めることができました。

(2)御崎馬ってどんな馬

御崎馬は縄文時代後期(約4,500 – 3,300年前)から弥生時代中期(約2,100年前)にかけて、中国大陸から渡ってきた蒙古馬が起源と言われています。

体高は約130cm、体重は約300キロ。

サラブレッドでいうと仔馬ほどの大きさしかありません。

毛色は鹿毛、青鹿毛、栗毛、黒鹿毛などで、競走馬の毛色とほぼ同じです。

現在では100頭ほどがこの岬の高台で暮らしています。

サンデーサラブレッドクラブで1口馬主の会員を続けて十余年。

馬は私の日常で無くてならないものになりました。

旅先で、競馬とはまた別の形で馬に出会うことができる機会を持てたことで、幸福な思いが胸に去来しました。

(3)御崎馬が日本に渡ってきた理由

日本の在来馬は、去年、沖縄で与那国馬を見てきたので、今回が2種目になります。

在来馬がなぜ、どのようにして日本に来たのかを少し、考えてみました。

サラブレッドよりも一回り小さいと言っても、体重はゆうに300キロあります。

こんなに重くて大きい生き物をなぜ、日本に連れてきたのでしょうか?

縄文、弥生時代には、おそらくまだ国家間の交易は行われていなかった時代です。

せいぜい卑弥呼の時代に、中国の皇帝から金印や鏡などの宝物を賜ったぐらいで、馬を下賜されたという記録はありません。

だから、国どうしの貿易による手段ではなく、民間レベルで伝えられたことが考えられます。

でも、なぜ?

農耕や戦闘用に使うため?

朝鮮半島から海を渡るとしても、まだ構造船を造る技術はありません。

せいぜい、カヤックのような丸木舟や筏(いかだ)で海を渡ったのでしょうが、人が航海するのも大変な時代に、なぜ、危険を冒してこんな大きな生き物をわざわざ取り寄せるのか、その必要性はあまりないように思います。

だとしたら、日本の先住民(縄文人や弥生人)が大陸に渡って馬を連れてきたのではなく、馬とともに大陸から人間がやってきた。

そう考えるほうが筋は通ります。

それでも、やはりあえて危険を冒し労力をかけて馬と一緒に海を渡る理由はなんでしょうか?

ふつうに考えれば、航海には荷物を最小限にするのが鉄則でしょう。

それでもわざわざ馬を連れてきた。

それはなぜか?

その人たちにとって馬は家族と同様のものだったのでしょう。

何らかの事情(おそらく戦乱を避けて逃げてくる)で、海を渡って日本列島にやってくるときに、馬は財産だからという理由以上に、馬を置いて行けない心情があったのだと思います。

馬は家族であり、生活の一部でもある。

その人たち遊牧民にとって、馬なくしては暮らしていけない。

馬がいなければ、自分たちが生存することはできない。

そんな切実な思いがあったからこそ、船に馬を一緒に乗せてきた。

東シナ海の荒波にもまれて、ある人は命を落とし、なんとか命からがら危険な航海に成功した人たちが、この御崎馬を日本に伝えた。

そんな古人の苦労に思いを寄せると、感慨がわいてきます。

馬はいま野生馬として人間に飼われることなく暮らしている。

自分の命を賭けて馬を日本に連れてきたひとたちはその後、どうなったのでしょうか?

子孫はまだ血脈を伝えているのでしょうか?

それとも、死に絶えた結果、馬は野生馬となってかろうじて命をつないでいるというのが真相なのでしょうか?

ともあれ、ブラッドスポーツ競馬という形で、今ではサラブレッドが私たちの生活を支えています。

人と馬のかかわりは形を変えて太古の昔から続いているのです。

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