(1)キズナ産駒がJRAブリーズアップセールにて最高額で落札された
ネットの1口馬主掲示板でキズナ産駒の評判がいいらしい、という書き込みを目にした。
この手の匿名掲示板のことであるし、また聞きの間接情報だから、どこまで信頼できるか怪しい。
けれど気になるので、「キズナ産駒 評判」でググってみた。
元ネタのソースは「【サラブレッドセール(せり市場)=馬市】&【種牡馬】の最新情報 by馬市.com」のようだと判明した。https://blog.goo.ne.jp/umaichi_news/e/826b7712607e07c1db3c60170f64a87a
2019年4月8日(月)、JRA日高育成牧場(北海道浦河郡浦河町字西舎)で開催された 【JRA日高育成牧場 育成馬展示会】※での騎乗供覧で、キズナ産駒が1番時計を出した。
※正式名称は【JRAブリーズアップセール】(第15回 JRA育成馬調教セール、JRA Breeze Up Sale)】の上場予定馬展示会
以下に馬市.comから記事を引用させていただきます。
この日の1番時計は、タキオンメーカーの17(牡、父アルデバラン2)とニシノミラクルの17(牡、父キズナ)の併せ馬で、2ハロン23秒4-1ハロン11秒3だった。
新種牡馬の中でも評判が高いキズナ産駒は、この他にもトウカイライフの17(牝、父キズナ)は、普段の動きの良さが際立っているそうで、この日は2ハロン25秒1-1ハロン11秒9をマークしている。
この記事で紹介されているキズナ産駒のニシノミラクルの17は4月23日に中山競馬場で開催されたJRAブリーズアップセールで5,400万円の最高額で杉野公彦氏により落札された(競走馬名サンデーパームス)。
預託先の清水久詞調教師も、「元々いい動きをすると聞いていたが、実際に見ても動きは良かったし、姿もいい」と太鼓判を押した。(引用元ギャンブルジャーナル)
https://biz-journal.jp/gj/2019/04/post_10336.html
ちなみにニシノミラクルの17の血統表は以下の通り。
(2)サンデーサラブレッドクラブ募集のキズナ産駒は3頭
競走馬市場でのキズナ産駒の評判は上々ということなので、これは楽しみだ。
さっそく本年度(2019年)のサンデーサラブレッドクラブでのリストを見てみよう。
3頭が募集されていて、基本データは以下の通り。
関東馬2頭、関西馬1頭。牡馬が2頭、牝馬が1頭だ。
(2)サンデーサラブレッドクラブ募集キズナ産駒写真
(3)キズナ産駒の特徴
この3頭の写真から思うところを書いてみたい。
まずキズナはディープインパクト×Storm Catのニックスの血統で、産駒もこのStorm Catの特徴を受け継いでいる。
全体的に張りのあるボディ。体の内から湧き出てくるような良質の筋肉はStorm Catの血を分かち持つ馬の特徴だ。
このStorm Catの血はロードカナロアが種牡馬として成功した背景として無視できない。
これは、以前このブログの中で書いた。
「吉田照哉の予見。ロードカナロア産駒活躍の陰にはStorm Catの血あり。」
ロードカナロアが種牡馬として活躍するかなり前から、Storm Catのポテンシャルについて相当なものだと吉田照哉は評価している。
この血はブルードメアサイアーとしてだけでなく、母系を通して脈々と子孫に伝えられ、大きなプラスファクターとなる。
メイショウボーラーなどダートで活躍する馬も出すが、基本的には「走る芝馬」にStorm Catはよいスパイスとなっている。
キズナ産駒を考える場合、このStorm Catが母系に入っている点を大きく考慮にいれる必要がある。
(4)ラックビーアレディトゥナイトの18の評価
それでは、2019年度のサンデーサラブレッドクラブ募集馬のキズナ産駒を1頭ずつ見てゆきたい。
まず ラックビーアレディトゥナイトの18だが、牝系図を見ると、あのサクソンウォリアー(G1レーシングポストT、G1英2000ギニー、G2ベレスフォードS)という字面に目を引かれる。この馬がいとこということが特筆点の一番目。
しかし、サクソンウォリアーの母父がGalileo。対してラックビーアレディトゥナイトの18の母父は Mr. Greeley 。
Mr. Greeley が母父に入るとダートの大物ベストウォーリアを出したが、芝馬はあまりぱっとしない。
獲得賞金ランキング上位にディープインパクト産駒が並ぶが、ポポカテペトルやマウントロブソンの名前を見つけると、善戦マン(ポポカテペトル、菊花賞3着、目黒記念4着)かここ一番で勝負弱い(マウントロブソン、皐月賞6着、ダービー7着)という印象を払拭(ふっしょく)することができない。
母父は Mr. Greeley には、そんなマイナスイメージがつきまとう。
ラックビーアレディトゥナイトの18の馬体は5月の遅生まれということもあり、まだまだ幼い。
カタログ解説にもあるように成長分の伸びしろは見込めるが、春のクラシックに間に合うかと聞かれたら、確言できない。
この馬は見送るのが賢明かもしれない。
(5)ルミナスパレードの18
ルミナスパレードの18の写真を見ると、馬体全体からピンと張りつめたような緊張感が伝わってくる。
キズナ産駒3頭の中で、この馬に一番食指が動く。
後肢が長いのは母父のシンボリクリスエスの特徴だろうか。腹袋も大きくゆったりとしていて、胸前の筋肉がよく発達している。
おばにG2デイリー杯2歳、G3函館スプリントSを勝ったジューヌエコール (牝 2014年生まれ、父クロフネ)がいるのは心強い。
走る馬の特徴を備えている。あとは測尺が待ち遠しい。
(6)ダークサファイアの18
ダークサファイアといえば、去年の1口馬主掲示板で有名になった2つ上の兄ダークサファイアの16( ブルスクーロ )を思い出す。
下に ブルスクーロの1歳募集時写真を貼らせてもらいます。
豊富な筋肉量はスプリンターの体型だ。
この馬は2月23日生まれで、早生まれの成長の差で他馬よりもひと際目立つ馬体となっている。
去年まではこうしたアドバンテージを生かして1月・2月生まれの馬がクラシックを席捲(せっけん)している、という解釈をとっていた。
だが、最近少し考えを改めた。
通常は日が長くなる春先から数ヶ月の間に繁殖牝馬は発情期を迎えるが、最近では発情を人為的に早めて1月、2月に仔馬が生まれるように操作している。
この結果、早熟で早枯れの馬が増えている、というのが私の見解だ。
以下は以前このブログで書いた記事。
「【ダービーは1月2月生まれの馬が激走する】ロジャーバローズも1月生まれ 」
ブルスクーロも7月1日の中京競馬場での2歳新馬戦(芝1400m)を鮮やかに勝ちあがったが、その後7戦して未だ勝ち星はない(2019年6月2日現在)。
こうした事実はこの馬が2月23日の早生まれであることと無関係ではない。
ブルスクーロのきょうだいたちにも同様の傾向がみられる。
コーディエライト (牝馬、2月2日生まれ、父ダイワメジャー) は未勝利戦を勝ちあがったあと、G3新潟2歳S、G3ファンタジーSに連続して2着にきたが、その後勝ち星はない。
サフィロス(牡馬、3月24日生まれ、父キンシャサノキセキ)は未勝利を勝ちあがって次の2歳オープンカンナステークスに優勝するが、その後は鳴かず飛ばずだの成績だ。
これらの馬たちはいずれもスプリンターからマイラー寄りの種牡馬の子どもたちだ。
早熟、早枯れは生まれ月に加えてこのような父馬の傾向も関係していることは間違いない。
ダークサファイアの18に戻すが、こんな事情もあって生産者としては今回目先を変えて、クラシックディスタンスのキズナをつけたのだろう。
誕生日が3月4日というのは微妙ではある。
1月、2月の早生まれではないが、人工的な繁殖技術が用いられていないと断言できない。
早熟、早枯れを悪いように書いたが、必ずしもそうとは限らない。
早生まれのアドバンテージを生かし、他馬が成長する前に2歳戦で賞金を稼ぎまくるという戦略はアリだと思う。
そのメリットを捨ててまでキズナに賭けた。
これが吉と出るか凶と出るか。
個人的にはギャンブル性が高いので、ダークサファイアの18は見送りと考えます。
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