(1)はじめに
社台・サンデーサラブレッドクラブ2020年募集馬リストのなかで、注目クロスを持つ馬を取り上げて解説をしている。
サンデーサラブレッドクラブの募集馬にサンデーサイレンスの3×3のクロスを持つ馬がいた。
社台サラブレッドクラブ募集の中にもサンデーサイレンスの3×3の強いクロスを持つ馬が何頭か見つけることができた。
今回はそのうちの1頭、ボルドグザグの19について取り上げてみたい。
(2)ボルドグザグの19の血統評価
上にボルドグザグの19の5代血統表を掲げた。
父系を見るとスクリーンヒーローの母がサンデーサイレンス直仔のランニングヒロイン。母系では母父のLaymanの父がサンデーサイレンスで、3×3のクロスを構成している。
母父のLaymanはあまり聞いたことのない名前の馬だ。
このフランスで走って9戦3勝。フランスのG3カブール賞、イギリスのG3ソヴリン賞などの重賞勝利がある
種牡馬になり、2016年にシャトルでウルグアイに渡って活躍している、とのこと。
本馬のボルドグザグはフランスで走り、3戦3勝のパーフェクトの成績。
2012年のG3レゼヴォワール賞を勝っている。
スクリーンヒーローを父とするサンデーサイレンスの3×3のクロスを持つ馬といえば、札幌2歳ステークス優勝馬トラストがいる。
トラストの母父はエイシンサンディ(牡馬、1993年生まれ、父サンデーサイレンス)で、このエイシンサンディは未出走ながら種牡馬になった。
ボルドグザグの19もトラストも数あるサンデーサイレンス産駒の中でも無名に近いブルードメアサイアーを経由して経由して、サンデーサイレンスの3×3が形成されているというところも似ている。
そして、両馬の共通点ほかにもある。Hail to Reasonの5 × 5 × 5(9.38%)は当然として、 Northern Dancerの5 × 5 × 5(9.38%)のクロスを持つところもそっくりだ。
この馬はなんだか期待がもてそうだ。
(3)まとめ
今回のまとめとして、「【シーディドアラバイの 2019】2020年募集馬注目クロス②サンデー編<第5回>」で書いた記事と重複になることをお許しください。
4×3、または3×4のクロスは奇跡の血量と呼ばれる。
サラブレッドの血統の歴史は近親交配を繰り返して発展してきた。
これは優れた競走能力を伝達する一方、気性難や虚弱体質を持つ馬が生まれる要因ともなる。
いわば両刃の剣といってよいが、そのちょうどよいバランスが4×3(3×4)の絶妙の配合で、これは競走馬の交配を行う場合の標準的な血統理論で称揚されてきた。
それよりも血の濃い3×3のインブリードを持つ馬は危険と隣り合わせだ。
うまくはまれば、狙った祖先の馬の競走能力を引き出すことができる。
ブリーダーとしてもこれは賭けで、牝馬に出た場合は、繁殖にあげて次世代に期待を持ち越すことができる。
私見では、日本の生産者はこちらを期待している。
ところが、牡馬に出た場合は、本当に一発勝負となる。
強いクロスで活躍した国内生産の牡馬を思い出してみても、数えるほどしかいない。
G1を勝ったのは、シンコウキング(Northern Dancerの2×3、高松宮杯)、フサイチコンコルド(ノーザンダンサーの3×3、ダービー)のわずか2頭だ。
たった2頭しかいないと取るか、ダービー馬を出したからだいじょうぶと取るか。
強いクロスを持つ馬、特に牡馬は、ほんとうにイチかバチか。ホームランか三振かという世界だ。
そんななか、本馬はG3札幌2歳ステークスを勝ったトラストに血統構成が近い。
それならば、ホームランはないかもしれないけれど、ヒットぐらいはあるかもしれない。
それがボルドグザグの19に対する最終評価、というか、本当はわからないから、感想です。
【ボルドグザグの19】2020年募集馬注目クロス③社台編<第2回>終わり
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