【ドゥラメンテ】種付け頭数激減(2018年比37%)の真相(第1回)

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(1)ドゥラメンテの種付け頭数が大幅に減少している

ドゥラメンテの種付け数は2017年の284頭から2019年の184頭へと100頭も激減している。2019年は2017年の64.7%に大幅減少。2018年の63.4%に減少している。

たしかにこの数字だけ見ればショッキングだ。

しかし、センセーショナルなタイトルを書いて、いきなり出鼻をくじくようで申し訳ないが、特に売り出し中でブリーダーから期待がかかる新種牡馬は、初年度、2年目と種付け数を増やす傾向にあり、その反動で3年目以降の種付け数が減少することはよくある。

ディープインパクトにもこうした傾向があった。

上はディープインパクトの種付け初年度(2007年)から3年間の種付け料と種付け頭数の推移を示した表だ。

2009年には初年度(2007年)の79.5%、2008年の73.7%に種付け数が減少している。

あのディープだから減少率はこの程度で済んだけれど、ディープよりも実績や著名度ではるかに劣るドゥラメンテであれば、減少率がさらに進むのもやむを得ない。

種牡馬の種付け数が3年目以降減少する理由として、ほかにも複数の要因が考えられる。第一に挙げられるのは、種牡馬の能力の持続可能性の担保。ディープインパクトのような牧場にとって貴重な種牡馬ほど種付け制限がかかる。

また、受胎率や生まれた産駒数も関係する。ディープインパクトの場合、2008年には232頭に種付けしたが、生まれた産駒は152頭(65.5%)に留まった。このような数字が翌年の種付け数や種付け料に直接に影響する。

事実、ディープインパクトの種付け料は2008年の1200万円から2009年には1000万円に下落した。

(ディープインパクトの種付け料の下落は、初年度産駒が小さいということが問題視された理由も大きい)

さらには、その後に共用される新種牡馬との競合において、限られた繁殖牝馬を取り合うことで、種付けする種牡馬がバラけること。

そして、種付けした3年後に初めて2歳馬がデビューするが、その子どもたちの成績がその後の種牡馬の種付け数や種付け料に直結するのは言うまでもない。

ちなみにキングカメハメハの供用初年度から3年目までの種付け頭数と種付け数の推移の表も以下に掲げる。

キングカメハメハの場合、2007年には初年度(2005年)の88.5%、2006年の84.3%に種付け数が減少している。

(2)ドゥラメンテとモーリスの種付け頭数の差をどう考えるか

それでも、供用3年目に種付け数が大きく減らない馬がいる。それどころか、種付け数を増やす種牡馬さえいる。その典型がモーリスだ。これをどう考えるか。

ドゥラメンテの種付け数は2017年の284頭から2019年の184頭へと100頭も激減している。2019年は2017年の64.7%に大幅減少。2018年の63.4%に減少している。

これに対してモーリスは種付け数は2017年の212頭から2019年の265頭へと53頭も増やしている。増加率はなんと25%。

これを生産者がモーリスを評価して、ドゥラメンテを貶(おとし)めていると単純に評価してよいのか。

少なくとも、「モーリスを評価して」の前段は正しい。

産駒の出来が悪い種牡馬の種付け頭数を増やすなどということは、あり得ない。

この稿では、モーリスの問題は後日に考えることにして、まずは「なぜドゥラメンテの種付け頭数が激減したのか」という主題をメインに以下、私見を書き進めていきたい。

(3)種付け頭数は種付け料と関係する

ここまで、書いてきて、賢明な読者は疑問を感じていることだろう。

ドゥラメンテの種付け頭数だけさんざん論じてきて、種付け料のことは触れていない。

市場経済では需要量と供給量の関係で価格が決定される。

これは競走馬の世界も同様で、種付け頭数や生産頭数が供給量なら、種付け料やオークション、1口馬主の馬代は商品の価格に相当する。

需要量が供給量と価格(今回のテーマでいえば種付け料)を決定する。

そこで、モーリスとドゥラメンテの種付け料と種付け頭数との関係を調べてみた。

モーリスは種付け頭数を増やしたが、種付け料は400万円のまま据え置きだ。

対するドゥラメンテのほうは2019年には種付け頭数を184頭に激減させる一方、種付け料は2018年に400万円から2019年には600万円に一気に上昇し(上昇率50%)、さらに2020年にはもう100万円上乗せして700万円にUPしている。

この種付け料はロードカナロア、ハーツクライに次ぐ種牡馬の種付け料ランキングで第3位の高額にあたる。

ドゥラメンテの種付け頭数が激減した(激減させた)のは、あえて供給量を抑えることで、種付け料を上昇させるためだ。

むしろ狙いは種付け料だけではなく、セレクトセールの購買価格の引き上げを狙ったというのがブリーダーの本音ではないだろうか。

それでは、種付け頭数を操作(減らす)だけで、簡単にセールの購買価格を上げることなどできるのだろうか?

いや、正解は逆だ。

原因と結果が逆、という意味だ。

ドゥラメンテのセレクトセールの購買価格が上昇したから、生産者は種付け頭数を抑えて、反比例して種付け料を引き上げたというのが事実に近い。

次回は、ドゥラメンテ産駒のセレクトセールでの購買価格の推移をモーリス産駒と比較して見ていくことにしよう。

 【ドゥラメンテ】種付け頭数激減(2018年比37%)の真相(第1回)終わり

【ドゥラメンテ】種付け頭数激減(2018年比37%)の真相(第2回)に続く

(明日3月5日掲載)

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