(1)ローシャムパークはイギリスを代表する庭園
サンデーサラブレッドクラブ所属の2歳馬ローシャムパークはハービンジャー産駒の牡馬で、現在ノーザンファーム空港で調教を積んで、入厩に備えています。
命名の由来は、クラブホームページによると、以下の通りです。
イギリスの風景式庭園。父の出生地より連想
ローシャムパークの父ハービンジャーがイギリス産ということで名付けられたようです。
「パーク」は日本語訳だとふつう公園と訳されるが、「(地方の大邸宅を囲む)大庭園」という意味もあります。
この馬の名前のもととなったローシャムパークは、18世紀ウィリアム・ケントが設計したイギリスを代表する庭園のひとつです。
場所は、バイチェスター近郊にあります。
https://goo.gl/maps/G6vfkTnToYukw7b36
(2)ヨーロッパ庭園の流れ
それまでは、広大な土地に左右対称の幾何学模様で構成されるフランス式庭園が主流でした。
ルイ 14世時代に造園されたベルサイユ宮殿の整形庭園がその代表で、自然を幾何学的に改変する様子は絶対君主の強
大な権力を象徴していました。
イギリスでも、このような人工的な庭園(平面幾何学式庭園という)が流行しますが、やがてこれに異を唱えるグループが起こってきます。
この運動の背景には、「芸術は自然の模倣」というキケロやホラティウスなどの古代ギリシャ哲学に見られる芸術理論があります。
このような思想の下に、イギリスの自然環境と人為的な操作とをうまくマッチングさせた理想的な自然空間をめざす、新しい庭園を創り出したのがウイリアム・ケント(William Kent、1685 – 1748年)になります。
画家でもあったケントは、庭園とはピクチャレスク(絵画的)であるべきだという考えから、風景画のように、川やカスケード(連なった滝)など、自然的な意匠を取り入れた風景式庭園を次々に作庭していきました。
そのなかの代表作が、「ローシャム・パーク(Rousham Park House & Garden)」になります。
右上に見えるのは鳩小屋。
(3)ローシャムパークはファンタスティックな自然空間
それでは、ローシャムパークの中に足を踏み入れてみましょう。
庭園の所有者であるCottrell Dormer家が住む領主館が当時のまま建っています。
この建物は1635年に最初に建てられ、その後、18世紀にウィリアムケントが庭園を設計したのとほぼ同時にゴシック様式に改造されました。この壮大な家のいたるところにアンティークの家具、写真、ブロンズがあります。
詳細は以下の記事をご覧ください。
「GADEN STORY」 イングランド式庭園の初期の最高傑作「ローシャム・パーク」【世界のガーデンを探る旅17】
https://gardenstory.jp/gardens-shops/21315
庭園は18世紀に作られた当時のままを残し、冷たい池やカスケード、長い2連の草木ボーダーのある壁に囲まれた庭、ロマネスク様式の彫像など、ユニークで重要な特徴があります。
この美しい敷地を構成する24エーカーの敷地には、フォーマルな花壇、かわいい鳩小屋、さまざまなエスパリエのリンゴの木があります。
写真の再掲と解説文は以下の記事を参照させていただきました。
https://boutique-retreats.co.uk/guides/1758/rousham-house-garden-rousham.html
https://www.oxfordshirecotswolds.org/things-to-do/attractions/rousham-p52713
(4)牧場ツアーのついでに北海道ガーデン街道を満喫してみてはいかがでしょうか
私はイギリス庭園が好きですが、残念ながら、実際に現地を訪問したことはありません。
日本でローシャム・パークのようなイギリス風景式庭園が見られるのは新宿御苑ぐらいだそうです。
それにしても、新宿の高層ビルが背景では興ざめで、本場のローシャム・パークとは比ぶべくもありません。
そこで、これに近い風景を楽しめるのは、北海道の庭園群です。
以前から、道は「北海道ガーデン街道」というキャンペーンで、観光客の誘致を図っています。
https://www.hokkaido-garden.jp/
私もいくつか回りましたが、お勧めは「ゆにガーデン」(由仁町)、「上野ファーム」(旭川市)、「真鍋庭園」(帯広市)、「十勝千年の森」(清水町)です。
いまはコロナ禍で、ツアーは中止ですが、再開された折には、ご家族ご同伴で、ぜひ訪ねてみてください。
大自然のなかで、日常の細事を忘れさせてくれます。