ブルードメアサイアーがキングカメハメハの馬を1頭ずつ検討しています。
今回も引き続きG1サラブレッドクラブの募集馬セブンスセンスの18 について見ていきたいと思います。
測尺データを検討したなかで、サンデーサラブレッドクラブ募集のウィルパワーの18についての新たな見解についても最終章で書いてみたいと思いますので、最後までお付き合いくださるようお願いいたします。
(1)セブンスセンスの18 の基本データ
牡馬で60万円はやすい。例年だとこのクラスの血統の牡馬は70~75万円はするので、G1サンデサラブレッドクラブも値下げしたのかな。
やはり今年の3歳馬の不振が大きいようだ。
「【G1サラブレッドクラブ】3歳馬がヤバいらしい 」http://soumaryouzanpaku.net/2019/05/29/g1-thoroughbred-club-2/
預託厩舎は栗東の杉山晴紀 。
2016年に調教師デビューして、以下の成績。
2019年9勝(リーディング62位)(6月9日現在)
2018年19勝(リーディング74位)
2017年18勝(リーディング74位)
2016年3勝(リーディング192位)
若手の調教師で、経験と実績をこれから積まなければならない。
管理馬で賞金1億円越えは3頭。
なかでもケイティブレイブ(牡馬、2013年生まれ、父アドマイヤマックス、JBCクラシック(G1)優勝)がダントツの成績だ。
5億8,873万円を稼ぎ出している。
社台、サンデーの預託馬で獲得賞金が最上位なのは社台サラブレッドクラブ所属のヘヴントゥナイト(牡馬、2014年生まれ、父ダイワメジャー )で23戦4勝 (1000万下、2勝クラス)になる。
正直、厩舎としては不安だ。
(2)セブンスセンスの18 の血統から評価する
母のセブンスセンスはG1サラブレッドクラブ募集馬で4戦0勝。
本馬は初仔なので、あとで測尺を慎重に吟味してゆきたい。
祖母のデインスカヤの一族からはシックスセンス (牡馬、2002年生まれ、父サンデーサイレンス) 、2勝、京都記念(G2)優勝、皐月賞(G1)2着、ダービー(G1)3着をはじめ、あの伝説の兄弟シルバーステート (牡馬、2013年生まれ、父ディープインパクト) 4勝 とヘンリーバローズ (牡馬、2015年生まれ、父ディープインパクト) 1勝を出している。
(3)クラブ募集馬のダイワメジャー産駒と測尺を比較する
1口馬主のダイワメジャー産駒代表といえば、サンデーサラブレッドクラブのメジャーエンブレムだ。
ほかにもクラブからこのメジャーエンブレムの全兄をはじめとするダイワメジャー産駒が多く募集されている。
ここでは、走るダイワメジャー産駒(メジャーエンブレム)と走らないダイワメジャー産駒とを測尺で比べてみて、今年募集される産駒がどちらに分類されるのかを大胆に予想してみたい。
メジャーエンブレムが登場する前に、サンデーサラブレッドクラブでは2頭の全兄となるダイワメジャー産駒が募集されている。
メジャープレゼンスとメジャーステップだ。
測尺で比較するとその差は歴然としている。
「G1優勝級のダイワメジャー産駒」のメジャーエンブレムは胸囲172cm以上、管囲20cm以上、体重420~455キロの3基準にピタリ当てはまる。
「下級条件馬級のダイワメジャー産駒」のメジャープレゼンス(42戦3勝)とメジャーステップ(32戦3勝)は1項目も基準を満たしていない。
生まれ月が4月、5月の遅生まれで、ハンデがあるが、同血で厩舎も同じ3頭の帰趨(きすう)を分けたのは、測尺に示されている馬格の違いといっていい。
ここで教訓というか1口馬主の戦略。
きょうだいと測尺を比較し、上と比べてガラリと変わってきた(大きく出た)馬は要注意。
ただ、もう1頭、今度は走らないダイワメジャー産駒としてインターセプターの例を書いてみたい。
この馬は3基準を満たしている。
けれど、未勝利に終わった。なぜか。
インターセプターは馬が太りすぎてなかなか仕上がらず、デビューは3歳5月と遅れた。
新潟の未勝利戦(芝2000m)に出走し13着。
このときの馬体重が540キロもあった。
これではまともに勝負にならない。
その後、放牧して調整し、3か月後の8月の小倉未勝利戦(芝2000m)に再登場したときには、なんと580キロ。
結局これが中央での引退レースとなり、地方へ転出した。
園田、佐賀で走り12勝をあげたが、それでも560、570キロ台で走り続けた。
1歳募集時の理想馬体重として、はじめは420~440キロのラインを設定したが、その後、4月生まれのブラストワンピースの募集時馬体重が451キロあったことを知って、考えを改め、420~455キロに修正した。
けれど募集時に同じ4月生まれで446キロあったインターセプターの結末をみて、やはり440キロ以上の馬はリスキーだなと感じた。
ブラストワンピースは2歳11月デビュー時の馬体重が520キロで春のクラシックでは成果を出せなかったもののその後は順調な出世街道を歩んだ。
インターセプターとブラストワンピース。
この2頭を分かつ者ものは何だったのだろう?
父馬(インターセプター⇒ダイワメジャー、ブラストワンピース⇒ハービンジャー)の差か、厩舎(インターセプター⇒栗東 須貝尚介 、ブラストワンピース⇒ 美浦・大竹正博 )の差か、はたまた育成技術の違いか。
あるいは単なるその馬の個性や能力なのか。
このテーマはまだまだ考え続けなければならない。
セブンスセンスの18 に話題を戻す。
この馬は見事に3基準に合格している。
1月、2月の早生まれのわけでもない。これは期待できるかもしれない。
(4)クラブ募集馬のダイワメジャー産駒と写真を比較する
(5)メジャーエンブレムの3きょうだいを考える
まず、既にデビュー済みで結果が出ているダイワメジャー産駒の4頭(メジャープレゼンス、メジャーステップ 、メジャーエンブレム、インターセプター)について考えてみる。
G1馬メジャーエンブレムの上の2頭は、ダイワメジャー産駒にしては腹袋が小さい。マッチョな体型の馬が多い産駒の中で、2頭は細身に映る。
だからダメだったか?
確かにこの両馬は重賞を勝っていないし、メジャーステップは重賞競争に出走すらしていない。勝ち星は兄弟そろって仲良く3勝。
この成績だから、「走らない馬」と侮(あなど)ることなかれ。
1口馬主を長くやっているとわかるが、出資馬が3勝するということはどれだけ大変なことか。1勝すらできずに未勝利、未出走で引退する馬が過半を占める。
1口馬主DBによると、メジャーステップの獲得金累計4,173 万、回収率指標116 %という数字、メジャープレゼンスの獲得金累計3,043 万、回収率指標109 %。 という成績は健闘といっていい。
1口馬主ではハズレ馬をつかんで大損しなければいい。
限られた資金でシコシコ楽しむ零細な会員としては、メジャーステップやメジャープレゼンスのような出資額の全部でなくても、多くを回収できる馬に出資してつないでいくことが大事になる。
こうした観点から考えると、メジャーステップやメジャープレゼンスはダイワメジャー産駒らしくはないが、そこそこバランスのとれた「いい馬」に類する。
それは5勝してオープンにまで昇った母キャッチ―タイトルの遺伝的資質に由来する。
メジャーステップとメジャープレゼンス潜在伝的な可能性を見出した会員は、下のメジャーエンブレムでガラッと馬が変わってきたことに気付き、大当たり馬をゲットできたはずだ。
改めてメジャーエンブレムの馬体をみてみよう。
大きな腹袋だけでなく、胸前の隆起した筋肉に加え、容積のあるトモがとても素晴らしい。
「走るダイワメジャー産駒」の特性は大きな特徴は発達した後肢だろう。
この安定した後肢の軸が蹴る力を生み、ダイワメジャー産駒特有のパワーの源泉となる。
牝馬らしからぬ迫力のあるボディだ。ふつうはこの手の馬は固さがとれずに故障するか、よくてもダート馬になるかの道ゆきをたどるが、ダイワメジャー産駒に限ればムキムキタイプが「走るダイワメジャー産駒」の典型だ。
3きょうだいを写真で比べれば、誰が見てもメジャーエンブレムに最高評価を下すだろう。
(6)「走るダイワメジャー産駒」と「走らないダイワメジャー産駒」の見分け方
メジャーエンブレムの3きょうだいの馬体の違いは見分けやすい。
問題は、「走るダイワメジャー産駒(メジャーエンブレム)」と「走らないダイワメジャー産駒(インターセプター )」の見分け方だ。
下の2枚の写真の馬体はよく似ている。測尺では、体重だけ見るとメジャーエンブレムが438キロ、インターセプターが446キロとわずかしか違わない。
しかし、両馬の差異は2点ある。
第一に、誕生日。メジャーエンブレムが3月26日に対して、インターセプターは 4月20日で約1カ月の開きがある。つまり、遅生まれのインターセプターはこれからさらに大きくなる可能性があるということだ。
第二に、体高。メジャーエンブレムが152.0cmに対して、インターセプターは 158.5cm。この数値もインターセプターがもっと大きく、重くなる未来を暗示している。
写真は縮尺されていて、パンフレットに載るように大きさをそろえている。だから、実馬のリアルな感覚がつかめない。
メジャーエンブレムとインターセプターとの2枚の写真だけで、一方がG1馬、もう一方が未勝利馬と言い当てることができるのは、よほどの馬身の天才だろう。
やはり、測尺がものをいう。馬見の素人は客観的なデータから類推するしかない。
(7)セブンスセンスの18 の馬体と最終評価
大きな腹袋、容積の大きいトモと発達した後肢、マッチョな馬体という「走るダイワメジャー産駒」の特徴をセブンスセンスの18 は比較的よく受け継いでいる。
少なくともG1サラブレッドクラブ募集馬のダイワメジャー産駒3頭のなかで一番よく見える。
直飛気味なのも推進力を生みだす効果を持つので好印象だ。
動画を見ると、首をうまく使って歩いていて、歩様も重苦しさはない。
人気を見て驚いた。
この馬はランキングにまったく入ってきていない。
冬毛が残っていて、汚く見えることと、厩舎や血統で嫌われたのだろう。
おそらくこの馬は一次募集で売れ残る。
今後の成長の様子を見て、大きくなりすぎないようであれば、面白い存在になるかもしれない。
年明けまで残っていれば1口ポチるのもいいだろう。
(8)ウィルパワーの18を見直した
私はサンデーサラブレッドクラブのホームページに写真がUPされて第一印象でよいと思った馬3頭のなかにウィルパワーの18を挙げた。
そして母父キンカメの条件に合致し、測尺の基準においても胸囲と体重の2項目が当てはまり、その上、馬体のよさからこの馬を大きく推した。
今回、改めてG1、サンデーで募集されたダイワメジャー産駒の測尺比較表を作ってあることに気が付いた。
表に掲げたダイワメジャー産駒のクラブ募集馬はウィルパワーの18を除いて、みな3月、4月、5月生まれだ。
最近、社台系の生産馬に1月、2月生まれの馬が増えたのは、セレクトセールを意識して、早生まれで馬体のいい馬を生産して高い競り値で売ろうという方針からだと以前に書いた。
ところが、ダイワメジャー産駒は3月以降の生まれであっても産駒特有の好馬体の馬が生まれてくる。
だから、新しい技術を用いて繁殖牝馬の発情を早めて1月、2月に生まれるように操作する必要はない。
それが、どんな事情かはわからないが、遅生まれでも好馬体で生まれてくるダイワメジャー産駒にあって、ウィルパワーの18はさらに2月生まれというメリットも付加されている。
これが会員の誰もがこの馬をいいと思う理由だ。
早生まれは総じて早熟、早枯れになる。
活躍時期は京王杯2歳ステークスやフェアリーステークスまでで、3歳春のクラシックになるとパッタリと止まってしまう馬が毎年多くいる。
ウィルパワーの18もそうならないか懸念している。
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