ブルードメアサイアーがキングカメハメハの馬を1頭ずつ検討しています。
サンデーサラブレッドクラブで今年、募集された馬で母父がキンカメの馬は8頭いて、今回のキナウの18がラストです。
(1)キナウの18の基本データ
8頭の中で、いや本年度募集馬の中で、最も1口価格が安い馬(25万円)です。
安かろう悪かろうという先入観を排除して検討してみたいと思います。
(2)キナウの18の血統を評価する
母父がキングカメハメハに加えて、母系にはさらにサンデーサイレンスが入っています。
母のキナウは中央で未勝利ののち、地方で走って通算成績 17戦3勝。
獲得賞金は120万円 (中央) 、414万円 (地方)という成績でした。
地方で3勝を挙げた後、また中央に復帰しましたが3戦して勝てませんでした。中央はデビュー戦のダート1700m3着が最高着順です。中央復帰後、芝2000mを2回走りましたが、13着、15着という成績です。
基本的に芝のスピードがないことがこの戦歴からうかがうことができます。
キナウの18の父タートルボウルは父がDyhim Diamondで、Northern Dancer系 の種牡馬です。
2019年6月2日現在、産駒の勝ち数は、芝で25勝、ダートで42勝。
やはり芝のスピード適性についてはやや疑問です。
「やや」と言葉を濁したのは、代表産駒のトリオンフ(母父ダンスインザダーク)は通算成績が16戦6勝(獲得賞金1億6,850万円 )、 いずれも芝で勝ち、このうちG3の小倉大賞典が含まれる重賞ウィナーです。
こんなところから、タートルボウルは適性がつかみずらい種牡馬です。
トリオンフの母メジロトンキニーズは ダイヤモンドS(G3) を2着にきた芝馬で、おそらく芝適性のある繁殖牝馬につければ、産駒の芝コースでの成績は向上するはずです。
とはいえ、キナウの18は母の成績からダート馬である可能性が高い。
そうすると、馬体重が軽いとダートの成績がよくないので、初仔のキナウの18の測尺は気になります。
(3)キナウの18の測尺から考える
比較のために1口クラブから同じタートルボウル産駒の測尺を引用して以下に表でまとめました。
他クラブからは獲得賞金が上位のパリンジェネシス(キャロットファーム)とファームフェイス(G1サラブレッドクラブ)のデータを引き、サンデーサラブレッドクラブのデビュー済みの馬を並べました。
キナウの18の馬体重ですが、1歳6月の募集時点で386キロ。400キロを下回っています。
やはり初仔は小さい。
上の表で参考になるのは、同じ母父がキングカメハメハのハマオリと誕生日がキナウの18に近く、馬体重が380キロ台のファームフェイスです。
ハマオリは募集時点で377キロと、 キナウの18よりさらに10キロ近く少ない。デビュー時までに約50キロ体重が増えましたが、それでも428キロ。
おそらく成長を促すためにデビューが3歳5月まで遅れて、期限までに中央で勝てずに地方に転出てしまいした。
ファームフェイスは募集時点で388キロあった馬体重が2歳7月デビュー時に452キロまで増え、約60キロも成長しました。その甲斐あって、 14戦3勝(3,868万円 )と高績を残しました。
3勝でも高績と書いたのは、この馬は1口40万円(総額1600万円)ので、1口賞金96.7万円、回収率指標が242 %(以上のデータは1口馬主DBから)という数字からの評価です。
馬代が安い馬は3勝すれば大成功と考えていいと思います。
2頭を参考のためにあげましたが、キナウの18の今後の成長を占う上で、 好対照の結果なので逆に迷ってしまいます。
(4)キナウの18の馬体写真から考える
馬体はほどよく筋肉がついていて、25万円の馬にしては悪くない。
もう少しトモの容積が欲しい。動画では写真よりも幼さが目立つなどマイナス材料もありますが、全部よければこの値段では募集にかからない。
細かい欠点に目をつぶれば、お買い得なのではないかと思います。
(5)キナウの18の最終判断
先述したように、この馬の一番の懸念は馬体重です。2歳デビュー時に450キロには届いてほしい。
ただ、上の表でみたように、募集時からデビューまで何キロ増えるかは、生まれ月によりますが、それでもその馬の個性によって違いが出てきます。
キナウの18が何キロでデビューできるかは予想が付きかねます。
その点を留意すれば、この馬はかなり面白いと思います。
父タートルボウルの産駒成績からはあまり高望みはできません。1勝して引退まで長く楽しめれば、馬代+維持費を回収できなくても満足、という人は行ってもいいと思います。
近いうちに「安くていい馬」の特集を組む予定ですが、その中にキナウの18をリストインしたいと考えています。
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