(1)Storm Bird 系の特徴はブリックスアンドモルタルには歓迎
前回は Storm Bird の種牡馬としての特徴を考えてみた。
以下の点が指摘できる。
① 産駒の多くはヨーロッパの芝に適性を見せる
②アメリカや日本のダート適性もある
以上をまとめると、芝・ダート兼用の両刀使いということになる。
以上は、ブリックスアンドモルタルの可能性を考える場合、好ましい特徴と言える。
今回は Storm Bird の仔、ブリックスアンドモルタルにとっては父にあたる Storm Cat 系産駒の特徴をみてゆきたい。
(2) Storm Cat 直仔を考える
まず、 Storm Cat 系 産駒の特徴としては、一般的に仕上がりの早さを指摘する反面、早熟で早枯れ。レースは一本調子という評価をしばしば耳にする。
これは、 Storm Cat の直仔、シーキングザダイヤを思い出せば、合点がいく。
シーキングザダイヤの母は内外のG1を勝った、名牝 シーキングザパール(父Seeking the Gold)。
シーキングザダイヤ は2003年12月に2歳阪神の新馬戦(芝1400m)でデビューしたが、初戦は5着。
その後、同じ12月の阪神未勝利戦 (芝1400m) で勝ち上がると、重賞のG3アーリントンC( 芝1600m )、G2ニュージーランドT( 芝1400m )4連勝する。
この勢いで本番のG1NHKマイルカップに臨むが7着に敗退。
その後、イギリスのG1ジュライC( 芝1200m )12着、フランスのG1モーリス・ド・ゲスト(芝1300m)15着と惨敗を喫し、翌年からダートに転向して、主に地方に活躍の舞台を移す。
地方のG2を2勝するが、中央ではフェブラリーS,ジャパンカップダートに出場するが、2着が最高で、古馬になってからの中央勝利はない。
レースは基本的に好位を追走して直線抜け出す先行スタイルである。
シーキングザダイヤ が2着にきた2005年のフェブラリーステークスの勝馬メイショウボーラー(母父Storm Cat)も逃げ馬であるが、まさに典型的な Storm Cat 系 の走りといっていい。
このシーキングザダイヤの種牡馬としての成績は 産駒34頭がJRAでデビューして10頭が勝ち上がった。
EIは0.52。
代表産駒(一番賞金を獲得した馬)はシンワウォッカ(メス、4歳以上1000万下[ダート1800m]、賞金7,379万円)。
ハッキリ言って、 シーキングザダイヤ は失敗種牡馬に分類される。
Storm Cat の種牡馬としての能力を考える場合、 シーキングザダイヤのように、日本で競走馬としてレースに使ったあと引退して種牡馬として供用されるのはレアケースだ。
むしろ、種牡馬として Storm Cat の直仔が多く日本に輸入されて国内の牧場で生産されたり、海外で生産されたりした Storm Cat 産駒が輸入されることが圧倒的に多い。
こうした「Storm Cat産駒種牡馬の産駒の日本での成績」はnote ブログのほうへ掲載しています。無償で閲覧できますので、ご活用ください。
https://note.com/soumanosuikoden/n/n50f96685cc97
このブログでは、日本で産駒が走った Storm Cat 系種牡馬の主なものを以下に表として掲げた。
ただし、 掲載したのは、Storm Catの直仔の種牡馬に限定した。
以前、この連載記事で、社台SSの輸入した種牡馬のうち、成功種牡馬と失敗種牡馬を以下のように定義した。
①成功種牡馬
産駒のJRA出走頭数が100頭以上で、産駒の重賞優勝頭数が4頭以上。
ただし、そのうち1頭以上はG1優勝している。
② 失敗種牡馬
①の 成功種牡馬 の条件に該当しないもの
表のうち、ヘネシーは産駒のJRA出走頭数が100頭未満であるが、G1を1勝している。
ただし、 産駒の重賞優勝頭数 はサンライズバッカス1頭だけであるので、失敗種牡馬とした。
Bernstein はJRA出走10頭のうち勝ち上がりは3頭で、やや見劣りするが、このうちの1頭がG1朝日フューチュリティを勝ったゴスホークケンというのが凄い。
もう少し産駒が日本で走れば、さらに重賞勝ち馬を産出したかもしれないので、惜しまれる。
(3) Storm Cat 系は早熟で早枯れ
ゴスホークケン が勝った 2007年の朝日フューチュリティ では、1番人気がスズジュピター、2番人気がアポロドルチェで、 ゴスホークケン は両馬に次ぐ3番人気であった。
スズジュピター (皐月賞17着、ダービー不出走)も アポロドルチェ ( 皐月賞 ・ダービー不出走、NHKマイルカップ11着)も春の三歳クラシックでは鳴かず飛ばずの成績であり、また 朝日フューチュリティで2着にきたレッツゴーキリシマ( 皐月賞5着、ダービー13着 )も本番ではパッとせず、低調なメンバーであった。
ゴスホークケン は低レベルに恵まれてG1の勲章を手にしたのであって、これが自身の実力に見合うものだったかは疑問だ。
事実、 ゴスホークケン は 3歳春のクラシックには出走せず、 NHKマイルカップ12着 であり、朝日F以降、6歳1月まで走るが重賞はおろか、一般のレースでも1勝もできずに終わる。
こんなところからも、 Storm Cat 系の 、早熟で早枯れの傾向が懸念される。
これはTale of the Cat産駒にも当てはまる。
代表産駒のエーシントップは2011年の6月に2歳阪神の新馬戦(芝1400m)を勝ち、3連勝でG2京王杯2歳ステークスに優勝する。
その後、朝日フューチュリティの8着を挟んで年が明けてG3シンザン記念 (芝1600m) 、 G2ニュージーランドT(芝1600m)と重賞を連勝して臨んだ NHKマイルカップ では7着に終わった。
その年の11月のオープン霜月S(ダート1400m)に優勝したのを最後に14戦して勝てず、5歳12月のカペラS(ダート1200m)15着で引導を渡されて引退した。
Storm Cat 系は種牡馬の産駒の特徴をまとめると、以下になる。
①勝ち上がり率は良好
②芝適性のある産駒は仕上がりが早く、早熟
③芝馬もダート馬も出す
④芝馬の活躍のピークは3歳春までで早枯れ
⑤ヘネシー産駒やスタチューオブリバティ産駒のようなダート馬は古馬になっても長く活躍できる
今回はここまで。
次回は、【Giant’s Causeway産駒を徹底検証する】 ブリックスアンドモルタルの疑問 ⑤ー 3 です。
【 Storm Cat 系につきまとう不安】 ブリックスアンドモルタルの疑問 ⑤ー 2 終わり
【攻略法】ブリックスアンドモルタル産駒
https://note.com/soumanosuikoden/n/n6d70fac97395
【サンデーのクロスで1口馬主を極める】
https://note.com/soumanosuikoden/n/n5ba64130d2b8