(1)はじめに
スクリーンヒーロー産駒のサンデーサイレンスの3×3のクロスについて長々と書いてきた。
今日はいよいよ最終回だ。
最後に残された疑問を解明したい。
マイナー種牡馬ではなく、ディープインパクトやハーツクライといった超良血の父を持つ繁殖牝馬を スクリーンヒーロー と掛け合わせたらどうなるか?
(2)社台ファームの実験
そこで、スクリーンヒーロー産駒全頭から ディープインパクトとハーツクライ のどちらかを母父に持つ馬を抜き出してみた。
該当する馬は10頭いる。
このうち社台ファーム生産馬が4頭。
社台は私と同じことを考えていた。
4頭の出生年から考えると、ボルドグフーシュの活躍が直接的な引き金になったわけではないだろうが、社台の試みは生産者として、一度はやってみたい実験であることは間違いない。
さて、ディープかハーツを母父に持つ馬10頭のうち、出走経験のある馬は5頭。
いずれも獲得賞金1億円(2023年4月30日現在)を超える馬はいない。
オンザライン(5歳、牡)が8,126万円と最も稼いでいる馬で、19戦3勝の現役馬である。
今後の活躍次第でこの馬は1億円オーバーのミリオンホースとなる可能性はある。
表のうち、アクトゥールキネマ(3歳、牡)は、おばがジュエラー(2016年桜花賞(G1))の良血馬で、グリーンファームから募集された。
2023年04月08の未勝利戦(阪神、芝2000m)でデビューし、15着(16頭立て)。
道中2番手グループを外から追走してレースを進めたが、前に壁を作れず、数頭が競る形で先行したため、直線で力尽きて馬群に沈んだ。
レースでサンデーサイレンスの3×3が気性難で災いしたかは不明である。
ただ、3歳の4月までデビューが遅れたのは、外傷を負った上、小腸捻転の手術をしたことが影響している。
こうした怪我や病気は、気性難が原因の可能性を排除できない。
(3)結果は来年、再来年にわかる
出走経験馬がわずか5頭なので、スクリーンヒーローにディープインパクトやハーツクライ産駒の繁殖牝馬をつける試みが成功するか否かは判断できない。
むしろ、これからデビューする5頭に期待の目が注がれる。
ネオザミスティックの22はビッグレッドファームの生産なので、今年ラフィアンで募集される公算が高い。
母父キンカメは活躍馬多数で、すっかり定評を勝ち取ったが、母父ディープインパクトでうまく行くのは特定の種牡馬(キングカメハメハ、ロードカナロア、ルーラーシップ)に集中している。
エピファネイア産駒であれば、サンデーサイレンスの4×3にはなるが、アリストテレスやオーソクレースなどの成功例はある。
スクリーンヒーロー産駒で、母父がディープインパクトやハーツクライに代わって、ボルドグフーシュかこれを超える活躍を見せる馬が果たして現れるか?
来年、再来年が楽しみだ。
(4)おまけ
父がスクリーンヒーローではないが、今年のサンデーサラブレッドクラブ募集馬のなかにフィエールマン産駒の
「アッラサルーテの2022」がいる。
この馬もサンデーサイレンスの3×3を持っている。
血統マニアの間で人気すると予想される。
だが、私の見立てでは、疑問符がつく。
理由は下のnoteブログを読んでいただければ、わかると思う。
記事のなかで 「アッラサルーテの2022」 には直接言及していませんが、私の論旨を理解してもらえれば、この馬の活躍の可能性は小さいことが推測できるのではないか、と考えている。
【サンデーのクロスで1口馬主を極める】