ダイワスカーレットの牝系図を見ていて、おかしいと思った人は私だけではないだろう。
産駒について不自然な点がある。
次から次へと牝馬が生まれている。
数えると10頭。
牡馬は1頭もいない。
ダイワスカーレットはほぼ連産していて、例外は2016年。この年はキングズベストをつけているが、JBISサーチのデータでは「――」とあるだけで、牡かメスかの表記はない。
10回続けてメスが生まれる確率はどのくらいのものなのだろうか?
計算してみた。
0.5×0.5×0.5×0.5×0.5×0.5×0.5×0.5×0.5×0.5×=0.0048828125
つまり、約0.5%の確率。
統計学では、「観察された差が偶然の産物である確率」が5%以下であるときに「統計的に有意である」と定義される。
つまり、これは誤差や偶然では説明できない「何かがある」とみなされる。
牡とメスが生まれる確率はフィフティ&フィフティだ。
これはコインを投げて表が出るか裏か出るかと、原理的には同じである。
コイントスの場合、
「4回投げてすべてすべて表になった場合はどうだろうか。そろそろ『いかさまじゃないか』と疑い始めるのではないだろうか。そして、5回連続で表が出たときには、それこそ『偶然なはずはない』と確信するはずだ。」
以上は『原因と結果の経済学』(中室牧子、津川友介、ダイヤモンド社、2017年、P63)より引用
コイントスで5回連続で表が出る確率が
0.5×0.5×0.5×0.5×0.5=0.03125
で、約3%。統計学では、これは有意と判断される。つまり偶然ではありえない、作為がある数字、ということになる。
それが、ダイワスカーレットの場合、10回連続でコインの表が出たということになる。
0.5%の確率。200回に1回という極めて珍しい事象なのである。
社台ファームは毎年多くの繁殖牝馬が子どもを産んでいる。
1955年、吉田善哉氏が初めて60年以上経過しているのだから、200回に1回という事象が起こる可能性を否定できない。
そう言って反論する方もおられるだろう。
それにしても、なぜ、こうしたレアケース中のレアケースがよりによってダイワスカーレットなのか。
ミステリ―で、犯人は被害者を殺害して一番利益を得る者、という話があるけれど、生産牧場としては、ダイワスカーレットのような名牝の血はなるだけ多く後世に伝えたいもの。
動機は十分すぎるほどある。
だからと言って、殺した云々という話ではないけれど、それでは、社台は何を仕掛けた?
この後は想像になるので書かない。
読者のみなさまの頭の中に答えがある。