(1)馬名の由来は翁草(オキナグサ)
サンデーサラブレッドクラブ所属の2歳牝馬プルサティーラ(Pulsatilla、父ディープインパクト)の馬名の由来はサンデーサラブレッドクラブホームページによれば以下の通り。
オキナグサ。花言葉は「秘密の愛」。母名より連想
牝馬らしく、可憐な花から採った。
プルサティーラ(オキナグサ)のデータは次の通りです。
オキナグサの名称・原産地
科・属名: キンポウゲ科オキナグサ属
学名: Pulsatilla cernua
和名: 翁草(オキナグサ)
別名: 善界草(ゼガイソウ)、猫草(ネコグサ)
英名: Nodding anemone, Pasque flower(セイヨウオキナグサ)
原産地: 日本、中国、朝鮮半島
引用元
翁草の花言葉(誕生花、英語、季節) | 花言葉-由来 (hananokotoba.com)
https://hananokotoba.com/okinagusa/#i-2
(2)プルサティーラの花言葉の由来
なぜ、プルサティーラが和名でオキナグサというのか。
理由はこうです。
和名の翁草(オキナグサ)は、果実に白く長い毛があり、その姿を翁(男の老人)の頭にたとえたものです。
また、全体が白毛におおわれていることから猫草(ネコグサ)の別名もあります。
引用元
翁草の花言葉(誕生花、英語、季節) | 花言葉-由来 (hananokotoba.com)
https://hananokotoba.com/okinagusa/#i-2
また、プルサティーラの花言葉は「秘密の愛」で、このほかに「清純な心」「告げられぬ恋」「裏切りの恋」などの義があるようでう。
これらの由来は以下です。
花言葉の「清純な心」「告げられぬ恋」は、うつむいて咲く花姿から、恥じらいにより自分の気持ちをうまく伝えられない、清純な乙女の気持ちを連想したものであるともいわれます。
「裏切りの恋」の花言葉は、当初はうつむいて咲いていた花が盛りを過ぎると上向きに変化することにちなむともいわれます。
引用元:
翁草の花言葉(誕生花、英語、季節) | 花言葉-由来 (hananokotoba.com)
https://hananokotoba.com/okinagusa/#i-2
これはひとえに、プルサティーラの容姿から連想されたものでしょう。
(3)翁草を扱った俳句
花言葉の次は、プルサティーラ(翁草)の季語が気になるところです。
調べてみました。
季語「翁草」の季節は晩春。
「翁草」を扱った俳句の主なものは、かなり多いようですね。
「575筆まか勢」から引用させていただきました。
https://fudemaka57.exblog.jp/26850413/
こごゑして和讃にまじる翁草 菊地一雄
ながらふる限り旅せむ翁草 仁藤稜子
ほつほつと咲いてひなたの翁草 今井杏太郎
ややあつてそこに置かれし翁草 岡井省二
加賀宝生の地なり穂に出て翁草 松崎鉄之介
名所やいつの世よりの翁草 乙由
土の香のなにかたのしく翁草 飯田蛇笏 春蘭
夫の忌や夫の咲かせし翁草 樋口フミ子
屋根の名を里の字とし翁草 鳶口 小島文英
徒然なるままにけふ過ぐ翁草 高澤良一 暮津
愛憎のかくて眩しき翁草 石昌子
母恋ふる茂吉うたいし翁草 時田貞子
水させば硯喜ぶ翁草 村山古郷
煩悩の形とこそ見ゆ翁草 荻原久美子
生きることかくもむづかし翁草 後藤比奈夫 めんない千鳥
繰り返へす神楽囃子や翁草 石原栄子
翁草にもこれからの幸不幸 後藤比奈夫 めんない千鳥
翁草もうすぐ一方的夜明け 山中葛子
翁草咲き上空のがらんどう 菅原鬨也
翁草手になだらかな山の景 石原八束
翁草日あたりながら春驟雨 飯田蛇笏 雪峡
翁草春酣の山わびし 瀧春一
翁草時間長者として満てり 中村保典
翁草自愛の髯を垂らしけり 後藤比奈夫 花びら柚子
翁草銀の絮かな祭笛 飯田龍太「百戸の谿」
背の低く小さく日本翁草 後藤比奈夫 めんない千鳥
花も葉も産毛のうちに翁草 片山由美子 水精
身嗜して現れし翁草 後藤比奈夫 めんない千鳥
銀冠の軸の青さよ翁草 沢木欣一
霧の中ことばはぐくむ翁草 青柳志解樹
高原の雨やむ湿気翁草 飯田蛇笏 椿花集
(4)翁草の俳句を鑑賞する
それでは、上掲の俳句から私が気に入ったものを取り上げて、解説を試みてみたいと思います。
「加賀宝生の地なり穂に出て翁草 松崎鉄之介」
「翁草」が晩春の季語である以上、この句の「穂」は稲の穂ではありえない。
初夏に収穫を迎える「麦の穂」に違いない。
そうすると、次のような情景が目に浮かぶ。
晩春、麦の穂が実り始めている畑で、雑草を取る作業をしていると、翁草が咲いているのに目がとまった。
その頭(こうべ)を垂れて咲いている、翁草から、能の翁を連想するにつけ、なるほど、この地は、加賀宝生の盛んな地であることよ。
能の翁:能の演目。「翁(おきな)」で使われる老人の能面のこともさす。
加賀宝生とは、石川県の金沢(加賀国)で発展した能楽。
江戸時代、加賀の前田家では、代々藩主が宝生流の能楽を愛好し、町民にも能を奨励した。町民も、町役者として城中の演能に出演することが許され、税の免除や、名字を名乗れるなどの優遇措置があった。こうして金沢は能楽、宝生流が盛んな土地となり、「加賀宝生」と呼ばれるようになった。
以上は以下のサイトを参考にしました。
「金沢能楽会」ホームページ
加賀宝生とは – 公益社団法人 金沢能楽会 (kanazawanohgakukai.jp)
(5)プルサティーラのデビューは間近
5月13日にすでにゲート試験を受けて合格いまはノーザンファームしがらきに放牧に出して、再入厩に備えて調整中とのこと。
中内田調教師の「優等生です」というコメントもあるように、期待で胸が膨らむばかりだ。
翁草の季語にあるように、この馬の晩春の活躍を楽しみにしている。