【2歳新馬ショショローザ】汽車に乗って前へ進んで行こう

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(1)馬名の由来の背景には南アフリカの社会問題が

サンデーサラブレッドクラブ所属の2歳牝馬ショショローザ(Shosholoza、父ロードカナロア、母マンデラ)の馬名の由来はクラブホームページによれば以下の通りです。

南アフリカで愛唱されているアフリカ民謡。母名より連想

この中間に蹄鉄を打ち換えるタイミングで11月に痛めた蹄の状態も確認しました。まだ熱感を持つことはありますが、炎症や痛みもないのでこのまま調教を進めていけそうです。この期間はいったんトレッドミルの運動に留めて、その後は週2日は屋内坂路コース(900m)をハロン16~17秒ペースで2本登坂し、週2日は屋内周回コース2500mをハロン28秒ペースで乗られています。ペースアップして元の調教メニューに戻していきます。現在の馬体重は455kgです。~5月21日のホームぺーじより引用させていただきました。

母のマンデラからの連想と言われても、何だかピンとこない。

マンデラは南アフリカ共和国の大統領の名前で、アパルトヘイトの廃止で1993年12月10日にはデクラークとともにノーベル平和賞を受賞したことで知られている人物です。

そのマンデラがどうしてアフリカ民謡と結びつくのか。

という話を今回はしてみたいと思います。

(2)ショショローザ(Shosholoza)は労働歌

ショショローザ(Shosholoza)は南アフリカで歌われている民謡・伝承曲で、第2の国歌と呼べるほどに国民的な、よく知られている愛唱歌になります。

サッカーW杯などのスポーツの国際大会で合唱される機会が多い曲です。

もとはダイヤモンドや金鉱山で働く人々が歌っていた歌がルーツになります。

下にボーイズ・コーラスのYouTube動画を貼りました。

https://www.youtube.com/watch?v=v4rahUIOLyw

南アフリカ共和国では、かつてはアパルトヘイトが国の政策として採られていました。

アパルトヘイトとは、1948~1994年まで法律によって実施されていた人種隔離政策です。

黒人差別が具体的な形となって表れたのは、1911年に制定された「鉱山・労働法」でした。これは、金やダイヤなどの鉱山で働く白人と黒人の職種区分と人数比を全国で統一する法律で、白人政府が白人労働者の暮らしを守るために打ち出した最初の人種差別法でした。

※地図と文章は外務省のホームページから引用・参考にさせていただきました。
外務省: わかる!国際情勢 躍進する南アフリカ~途上国のリーダーとして (mofa.go.jp)

約2割の白人支配層が非白人を差別し、居住地区を定め、異人種間の結婚を禁じました。

このような厳しい差別が行われた鉱山の非白人(黒人など)労働者の間で、日々の辛い労働のなぐさめとして歌われたのがショショローザ(Shosholoza)なのです。

ナベサダ(渡辺貞夫)さんたちが歌っているを下に貼っておきます。

(20+) Facebook

(3)ショショローザ(Shosholoza)はアパルトヘイト廃止のシンボルに

非白人は参政権も認められず、1960年代から反対闘争が激化しました。

こうしたなか、1991年にデクラーク大統領によってアパルトヘイト関連法の廃止が打ち出され、初の全人種参加となった1994年総選挙で故マンデラ氏が初の黒人大統領に就任して、アパルトヘイトは廃止されるのです。

改めてショショローザ(Shosholoza)の歌詞を見てみましょう。

Shosholoza

Kulezo ntaba

Stimela siphume South Africa

Kulezo ntaba

Stimela siphume South Africa

Wen’ uyabaleka

Kulezo ntaba

Stimela siphume South Africa

前へ進め

山々を抜けて

南アフリカの汽車にのって

進み続ける

山々を抜けて

南アフリカの汽車にのって

邦訳は以下のサイトを引用させていただきました。
ショショローザ 歌詞の意味 南アフリカ民謡 (worldfolksong.com)
http://www.mu-tech.org/Traditional/Shosholoza.html

素朴な歌詞は、本来、炭鉱労働者の過酷な労働を前向きにとらえて明るく日々を過ごす、黒人(非白人)労働者の精神が込められたものです。

しかし、アパルトヘイト廃止後には、白人も非白人も差別なく、同じ汽車(国)に乗って、一緒に国土を建設していこうという、未来に向けた決意に歌意が変更されていることに気づかされます。

この理念はスポーツの国際大会でも、援用されて、チームメートやファンが一丸となってがんばろう、という応援歌に転用されることとなるのです。

(4)ショショローザ(Shosholoza)に託された思いは競馬にも

こうしたショショローザ(Shosholoza)に託された願いや祈りは、この馬にもあてはまるのではないでしょうか。

馬主や牧場・厩舎関係者、ファンの区別を越えて、みなひとつになってこの馬を異応援しよう。

こんなメッセージが馬名に込められているような気がします。

今までサンデーサラブレッドクラブ所属の2歳馬の馬名を見てきました。

どれも甲乙つけがたい、いい名前ばかりでしたが、私は中でもこのショショローザ(Shosholoza)に一番深い含蓄を感じます。

単なる競馬やサッカーなどの一スポーツにとどまらない平和や平等、民族の融和へのメッセージをも読みとれる。

そして、もちろん語感もよくて言いやすい。

命名者のセンスに脱帽です。

馬名から、私は一変にこの馬のファンになってしまいました。

ショショローザ(Shosholoza)の汽車に乗って出発です。

これから、どんな絶景が私たちを待っているのでしょうか。

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