【ヘッズオアテールズの評価】ドゥラメンテ産駒は活躍するのか(社台サラブレッドクラブ編)

(1)ヘッズオアテールズの基本データ

テスタオクローチェの2018は2019年、1口60万円で社台サラブレッドクラブから募集された牝馬だ(栗東・須貝尚介厩舎に預託予定)。

ヘッズオアテールズ(2019年11月14 日撮影)

このたびテスタオクローチェの2018はヘッズオアテールズ(Heads or Tails)という馬名に決定した。

コイントスで表か裏か、という意味で母名より連想して名付けられたとクラブホームページのコメントに紹介されているが、命名者の意図はそれだけではないようだ。

写真で見るようにこの馬は顔面の大きな流星を特徴としている。

ヘッズ(Heads )にはこのような意味も込められているのではないだろうか(頭は1つで、複数形はちょっとヘンだけれど)。

(2)ヘッズオアテールズの血統はサトノダイヤモンドと3/4同血

ヘッズオアテールズの母テスタオクローチェ (2012年生まれ、父Orpen 、海外4勝)の母父Orpen の文字をどこかで見た記憶がないだろうか。

そう、この馬はサトノダイヤモンドの母父と同じだ。

つまり、ヘッズオアテールズとサトノダイヤモンドとは3/4同血ということになる。

両馬の5代血統表を下に掲げる。

ヘッズオアテールズの5代血統表
サトノダイヤモンドの5代血統表

ヘッズオアテールズの血統の新味はサトノダイヤモンドの血統構成をベースに Danzig(ダンジグ) のクロス[4 × 5(9.38%)]を加えたところにある。

このDanzig(ダンジグ) のクロスを持った馬たちから近年、活躍馬を多く出している。

一例を下に書き出した。

・ガンコ(牡馬、2013年生まれ、父ナカヤマフェスタ、G2日経賞優勝):Danzig(ダンジグ) の5 ×4(9.38%)

・ジェネラーレウーノ(牡馬、2015年生まれ、父スクリーンヒーロー、G2セントライト記念、G3京成杯優勝):Danzig(ダンジグ)の4×4(12.50%)

・クリンチャー(牡馬、2014年生まれ、父ディープスカイ、G2京都記念優勝):Danzig(ダンジグ) の4 × 3(18.75%)

・モズカッチャン(牝馬、2014年生まれ、父ハービンジャー、G1エリザベス女王杯優勝):Danzig(ダンジグ) の4 ×5(9.38%)

Danzig(ダンジグ)というと産駒にビコーペガサス(牡馬、1991年生まれ、G3セントウルステークス)やステキシンスケクン(牡馬、20031年生まれ、G3アーリントンカップ、G3京成杯オータムハンデ優勝)などハナっ速い馬がいるから、スピード馬を連想しがちだけれど、クロスに入った馬たちは、芝の2000m前後を得意とする中距離馬ばかりだ。

このことをもってただちにヘッズオアテールズの適性を芝の中距離と断じることはできないが、参考にしておくと損はないかもしれない。

(3)ヘッズオアテールズの馬体評価

ヘッズオアテールズ1歳募集時写真
ヘッズオアテールズ(2019年12月6 日撮影)
ドゥラメンテの1歳募集時写真

ドゥラメンテ産駒は父に似て、募集時期(1歳5月)からこの時期(1歳12月~2歳2月)にかけてはひ腹が薄く、スマートに映る馬が多い。

(本馬ヘッズオアテールズはそれほど顕著にはこうした特徴が現れていないが、サンデーサラブレッドクラブ募集のドゥラメンテ産駒に多く見られる)

そこで、ドゥラメンテと本馬(ヘッズオアテールズ)の1歳募集時の測尺を比較してみた。

●1歳募集時の理想的な測尺

胸囲172cm以上、管囲20cm以上、体重420~455キロ。

ヘッズオアテールズは1歳募集時の理想的な基準値3項目中1項目(体重)がクリアーしている。

生まれ月はドゥラメンテは3月22日。ヘッズオアテールズは1月30日という違いもあるかもしれないが、測尺すべての項目でドゥラメンテが同列もしくは劣位だ。

良血のドゥラメンテが募集時にさほど票数を集めなかった(60票以上の馬のリストに名前がなく、40票以上の馬にあることから、40~59票と推定される)のは、このような測尺の問題、特に胸囲(167.0)から、痩せた馬=弱い馬というような一般的なイメージを持たれた上に、1口250万円(総額1億円)という高額の価格設定からハイリスクを敬遠されたからと考えられる。

結果論で見ると、この血統で1口250万円はむしろ廉価(れんか)で、逆にそれがマイナスイメージ、たとえばワケあり馬と見られて敬遠されたと考えるほうが真実に近いかもしれない。

事実、ドゥラメンテの立った繋ぎは危険要素としてネットで指摘されていたし事実、ドゥラメンテはレース後の脚の故障で早期引退に追い込まれた。

ヘッズオアテールズに話題を戻すと、この馬は測尺のすべての項目でドゥラメンテの同列もしくは優位に立っているという事実をどう見るか。

単純にヘッズオアテールズはレースパフォーマンスでドゥラメンテを越えると考えるのは論外だ。

ただ、もう一度、ドゥラメンテの1歳募集時写真に目を移すと、「短い背中に長いひ腹」という底辺が長い二等辺三角形の体型を持つことが見て取れる。

これは走る馬の特徴だ。

ひ腹が薄く見えるのは、こうした馬体の特徴をマイナス面から見たもので、胸囲の劣位は、このような体型と収縮力に富む背中の筋肉で十分にカバーされる。

ヘッズオアテールズはドゥラメンテよりも二等辺三角形の底辺が短い。

いったんまとめると、ドゥラメンテの馬体の長所をヘッズオアテールズがすべて受け継いではいない。

だから、走らないと即断することは当然避けなければならない。

一方、ヘッズオアテールズ1歳募集時の測尺は基準値に合致する馬体重の項目で優秀だ。

現代競馬では特に牡馬の場合原則、馬格があるほうが有利に働く。

(もちろんディープインパクトのような例外もあり、だからこそ驚異なのだ)

馬体や測尺からみた本馬のポテンシャルは一応、水準級と評価したい。

なお、背中の筋肉の質は跳びの大きさや調教でうまく全身をつかえているかなどを見てある程度判断できる。

これは第5章でみていきたい。

(4)クラブコメントからヘッズオアテールズを評価する

もともと脚長でスッキリみせる馬体が特徴的でしたが、夏を越してフックラとして丸味を帯びてきたのは好印象です。感受性が高く繊細な面がありますので、環境の変化には時間をかけて慣らしたほうが良いタイプでしょう。飲み込みが早く反応も素直なだけに、上手に導いてあげられればと思います。

社台F到着後はやはりナーバスな面をみせており、普段から音に敏感でソワソワしたところがあります。じっくりと環境の変化に対応させながら、馴致~騎乗運動開始へと進めていきます。

2019年10月4日の社台サラブレッドクラブの公式ホームページより引用させていただきました。

馴致馬場での乗り馴らし訓練時には嫌々走っているような感じを受けましたが、少しずつ前進気勢が増してきたため、馬場に入って本格的に乗り始めることになりました。もう少し我慢を覚えさせる必要はありそうで、周回馬場でしっかり基礎を身に付けたうえで坂路コース(1000m)入りを開始していきます。

2019年11月1日の社台サラブレッドクラブの公式ホームページより引用させていただきました。

以前よりは進歩がうかがえるとはいえ、相変わらず前進気勢が足りていない印象を受けます。ただし、キャンターの際の前後のハマりは良いですし、背中の伸縮も上手くできています。乗り味のいい馬ですので、もう少し前向きさが出てくればガラッと変わってきそうな雰囲気があります。

2019年12月6日の社台サラブレッドクラブの公式ホームページより引用させていただきました。

手足に少し重たさが残り、坂路の出だしはトモがついてこないような感じがまだありますが、馬力は十分に備わっており、途中からしっかりハミを取るとラストまで集中して駆け上がれています。いったんスピードに乗りさえすれば伸びやかなフットワークを見せ、その気配は上々です。坂路前半の動きやまだ余裕を感じさせる体つきが差しあたっての改善点といえます。

2020年1月6日の社台サラブレッドクラブの公式ホームページより引用させていただきました。

この中間になって右前脚に骨瘤が出てきました。そのため、騎乗自体は休まず継続しているものの、現在は周回ウッドコースで常歩3000m、ダク1200m、軽めキャンター2000mのメニューにセーブしています。この時期の牝馬としては十分な力感で、筋力がさらについて伸縮力が上がることで、四肢の回転数アップに繋がり、テンの加速力も増すと思われます。今はまだ無理する必要のない時期で、脚元が固まってから坂路コース(1000m)入りを再開予定ですが、今後もそのあたりを意識しながらトレーニングを進めていきます。

2020年2月7日の社台サラブレッドクラブの公式ホームページより引用させていただきました。

この中間は右前脚の骨瘤も固まったことから、坂路コース入りを再開しています。常歩3000m、ダク1200mを乗った後、週3日は坂路コース(1000m)1本をハロン18~20秒ペースで登坂し、週2日は周回ウッドチップコースでキャンター2000mを消化するメニューをこなしています。ダラッとは乗らずタイトなラップで動かしており、しばらく基礎固めを行ってからハロン15秒を切るくらいのペースに移行していくつもりです。それに合わせて坂路2本登坂も始めていきます。

先日来場した須貝調教師は「骨瘤が出たこともあり、冬場はしんどかったようですが、これから良いほうに変わってくるはずなので、焦らずに進めてください。初めて見た時からいい馬だったので期待しているんです」と話していました。動画撮影時のタイムは2F31.1-15.5でした。

2020年3月6日の社台サラブレッドクラブの公式ホームページより引用させていただきました。

右前脚の骨瘤(こつりゅう)のアクシデントがあって調教ペースが少し遅れている。

ヘッズオアテールズは馬格や馬体重の優位と先に書いたが、どうも本馬ではそれが緩さになり、こうした状態が調教での動きにつながっているようだ。

だから、調教でビシビシしごいて緩さを解消すれば、相乗効果で調教の動きもよくなる。

スタッフはそれがわかっていて、ハードなメニューに移行しようとした矢先、体がこれについていけなくなって、骨瘤が出たということなのかもしれない。

(5)ヘッズオアテールズの調教動画を見ての評価

●2019年12月13日の調教動画

2頭合わせの右側で坂路を駆け上がっている。

じっくりと馬場を確かめるような走りだが、首が高く、状態が上に上がってしまっている。

まだまだ本来の走りができていない印象を受ける。

クラブホームページのコメントでは、これが「前進気勢が足りていない」「手足に少し重たさが残り、坂路の出だしはトモがついてこないような感じ」という言葉で表現されている。

まだまだ研鑽(けんさん)が必要だ。

●2020年2月28日の調教動画(タイムは2F31.1-15.5)

マエストラーレの2018(キングスフィリア)と合わせて右側。

前回の調教動画よりも動きが改善されている。

強めの調教にもへこたれずに合わせた馬に後れを取るまいと何とかくらいついているのは、骨瘤が収まり、状態が改善されたことによるものだろう。

がむしゃらに坂路を駆け上がっており、前進気勢の無さはそれほど感じられない。

スタッフの努力の跡がうかがえる。

(6)ヘッズオアテールズ評価まとめ

骨瘤やこの時期の若馬に多く発生するもので、正しく対処すれば深刻なものとはならない。

冬場のハードなトレーニングに耐え抜く体力や体質を持つ馬たちが選抜されて、早期デビューの仲間に入る。

本馬はその選に漏れそうだが、いまのところはこの馬の体質に合ったペースで進めてもらいたい。

デビュー時期は遅れそうだが、社台サラブレッドクラブはゆっくり鍛えて、古馬になって活躍する晩成タイプの馬を育てるようノーザンファームとの住み分けを行っている。

古馬になって活躍するには、若馬の時期にまずは1勝しなければいけない。

この目先のハードルを確実に越えられるべく、しっかりとした体力をつけてもらえるよう牧場スタッフや厩舎関係者の手腕に期待したい。

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