勝負事には、運不運が付きまとう。
不運ばかりが続くと、何とか負の連鎖を断ち切り、幸運のよい波を引き寄せようと、
幸運が訪れると、いつまでもよい流れを自分のところにとどめ置き、その状態をキープしようと、人は四苦八苦する。
そのひとつが、「験担(ゲンかつ)ぎ」だ。
よく、競馬場で「カツ丼」を食べてから馬券勝負に臨む、などというベタなものから、このゲン担ぎにはさまざまなものがある。
私は去年、大万馬券をゲットしたことがあった。
場外馬券発売所で3連単を購入して当たったのだが、場外に行くときに、いつもは通らない細い路地を縫って、WINSに向かった。
別の日、これにあやかって、同じ道をたどってWINSに行って3連単を買った。
そのときは、見事に馬券が外れたが、これなどもゲンを担ぐという行為だろう。
野球の監督などは、チームが連勝中は髭を剃らないなどの験担ぎ、いわゆるジンクスを実践するという話をよく聞く。
思うに、これは心理的な効果を狙ってのものだろう。
よいときの心理状態を保つために服装や外見、行動パターンなどを整える。
内面はまず外面から、というわけだ。
これは一種の自己暗示のようなもので、必ずしも迷信と言って投げやってしまうのもどうかと思う。
一定の効果があるから、今でも「ゲン担ぎ」の風習が残っているだろう。
私の知人は、職場で更衣室から廊下に出るときに、必ず右足から出るという。
一種の強迫神経症めいているが、このように気にする人は気にする。
こういうことはいったん始めると、なかなか止められない。
止めると、不安になり、本当に仕事で失敗をやらかす。
だから、逆に最初からゲン担ぎなどに頼らないほうがいい、ということもある。
ジンクスやゲン担ぎは、むしろ不運が続くとき、流れを変えるために行うほうがよい。
気分転換というやつだ。
玄関やトイレ、部屋の掃除をすると運が上昇する、というのはたぶんそういうことだろう。
散歩や食事のメニューでふだん食べないものを選ぶ、服装を変えてみるなど人それぞれの方法がある。
私は出資馬が1年以上、勝利から見放されている。
上にあげた気分転換はほとんど試してみたが、効果が上がらない。
こういうとき、どうするか?
答えは、何もしない。
運が好転するまで、待つ。
これが正解。
考えてみれば、今の私を分析すると、ギャンブル運はどん底だが、その他の運(仕事、人間関係、恋愛、健康)は好調だ。
金銭運は勝負運と連動しているから、低空飛行を続けているけれど。
だから、運はギャンブルだけ見るのではなく、全体を見渡して判断すればいい。
要は、運のよし悪しも気の持ちよう、解釈次第というわけだ。
ちなみに、金銭運についてだが、人に奢るとその後に思いがけない大金が舞い込む、ということがよくある。
お金はグルグル循環している。
自分ひとりが溜め込むと流れが悪くなり、懐に入ってこなくなる。
これは経済の話だけれど、運の巡り合わせにも当てはまる。
だから、金銭運だけでなく、不運が続いているときには、ただ嘆くのではなく、世のため人のために尽くす、誰かに施す、ということが重要かもしれない。
そうすれば、いつか必ず自分のところに返ってくる。
それが、一番のゲン担ぎであることに間違いない。