「【種牡馬失敗の理由は単純明快】 ブリックスアンドモルタルの疑問 ④ー3」

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(1)はじめに

前回は、社台SSが輸入した種牡馬のうち成功するのはわずか3割に満たないという話をした。

7割以上の馬が失敗ということになる。

(1)はじめに 前回は海外からの種牡馬の導入において、日高のラムタラの例だけでなく、規模は異なるが社台SSも同じよう...

今回はその原因を探りたい。

その前に一つお断りしておくことがある。

前回の記事ではドレフォンとマインドユアビスケッツを失敗種牡馬にカウントしたが、やはり「それは、あんまりだ」という声が聞かれそうなので、失敗種牡馬の事例を両馬の産駒がデビューする前の1991~2018年に限定することで、この2頭を除外した。

(2)牧場内に強力な競争相手が

1991 年から2002年までほぼ毎年のように新しい種牡馬を輸入して、そのほとんどが失敗している。

失敗の理由は簡単だ。

失敗原因その①:サンデーサイレンスの活躍期間と重なった。

1991年から2002年というのはサンデーサイレンスが国内で種付けした期間になる。

そして1995年から2007年までサンデーサイレンスは種牡馬リーディング1位を独走した。

サンデーサイレンス

サンデーサイレンスには、トニービンとブライアンズタイムというライバルがいたが、勝ち馬頭数こそこの2頭は遜色がなかったが、重賞勝ち数においては、 トニービンとブライアンズタイム の2頭を足してもサンデーサイレンスには及ばない状況だった。

レースで勝つ以前に、種付け数において同じ社台SSで強力な競争相手であるサンデーサイレンスを前に、いくら優秀な種牡馬を入れても太刀打ちできるわけがない。

「失敗種牡馬」たちにとって、時期さえ違えばまだなんとかなったかもしれない。

1990年代は、海外から導入された種牡馬にとって不幸な時代であった。

(3)輸入種牡馬失敗の原因を考える

これらの 輸入種牡馬失敗 の原因はほかにもある。

失敗種牡馬を分析してみることにしよう。

まずは、失敗種牡馬の競走馬時代の所属国から見てみると。

アイルランドが多い。

これは アイルランドが 欧州最大の軽種馬生産国であるという事実と、次位のフランスとともに社台SSの人脈が築かれていることによるものと推測される。

イギリスを加えると、欧州から18頭が導入されている。

対してアメリカは4頭と少ない。

これは、次回に分析する「成功種牡馬」の国と比較すると大きな違いである。

この事実から、次の失敗原因が導かれる。

失敗原因その②:輸入馬は欧州の重い芝向きのタフネス&ステイヤー血統でこれは日本の馬場に向かない。

Sadler’s Wells caro  などは凱旋門賞などの欧州のタフネスを必要とする芝コースにマッチした血統で、スピードと上がりの切れ味が要求される日本の軽い馬場には合わない。

競馬というスポーツがヨーロッパから日本に紹介されたこともあり、仕方のない部分もあるが、日本は古来から舶来物にコンプレックスを持っており、生産界は凱旋門賞やザ・ダービーに弱い。

欧州の歴史と伝統のある大レースを制した馬を入れれば、単純に日本でも走る、という思い込みが当時はあった。

こうした考えが誤りであった、ということを知るには、失敗の代償を払わなければならなかった。

しかし、それでも最近も社台SSはワークフォースノヴェリストといったタフネス&スタミナ型を輸入して、懲りずに失敗を繰り返している。

そのわけは、前回の記事にも書いたように、生産者としては目先のことばかりではなく、10年20年先のことを見据えて馬作りを心掛けていることにある。

ワークフォースやノヴェリスト などの持つ血の底力は、母系を通して孫やひ孫の世代になって効力をもたらす。

だから、定期的にこうしたスタミナ血統も補充しておかなければ、生産現場が先細る。

それともう一つ。

同じ血ばかりを入れると、いわゆる血の袋小路に入り込んでしまう。

牧場としては多様性を確保しておくことも重要だ。

さまざまな系統の血のストックを広く持っておくことが繁殖牝馬の相手探しに際して、思わぬニックスをもたらす可能性が高まる。

ということで、生産者としては長期的な効用を含意して、短期的な成功をあえて求めない。それゆえの失敗、という構図も浮かびあがる。

キタサンブラックの5代血統表

上にキタサンブラックの5代血統表を掲げたが、母系の3代前に ジャッジアンジェルーチ の名前が見える。

このジャッジアンジェルーチ  はサンアントニオHなどG1を3勝した名馬になる。

1990年代に日本で供用され、JRAで123頭産駒が出走したが  平地の重賞はリワードタイタン(G3エルムS)のみにとどまった。この種牡馬はゴーカイ(JGI中山グランドJ)の父として知られる。

この ジャッジアンジェルーチ も、失敗種牡馬にあてはまる。

ところが、キタサンブラックの活躍によって近年再び注目されるようになった。

キタサンブラック

長々と講釈めいたことを書いてしまったが、要は ブリックスアンドモルタル はジャッジアンジェルーチのような母系に入って長期に効果を生むタイプの種牡馬なのか、それとも短期で産駒からバンバン重賞勝ち馬を出すタイプなのか。

もちろん、その両方を兼ね備えている、あるいは、両方に当てはまらずに血統表から消えてゆくことだってある。

その見極めは実は現場の生産者でも難しい(のではないか)。

(4)ブリックスアンドモルタルは「失敗種牡馬」の条件を満たさない

ここで、2つの失敗原因を指摘することができた。

① サンデーサイレンスの活躍期間と重なった。

② 輸入馬は欧州の重い芝向きのタフネス&ステイヤー血統でこれは日本の馬場に向かない。

この2点は既に多くの人たちから言われてきたことだ。

改めてブリックスアンドモルタルについて考えると①は当然あてはまらない。

むしろ、当時の最強種牡馬サンデーサイレンス亡き時代は、現代のデイープ&キンカメ亡き時代と重なるから、チャンスとも言える。

ブリックスアンドモルタルはアメリカの種牡馬だから、②でもない

それでは、ブリックスアンドモルタルは成功するのか。

そう結論付けるのはまだ早い。

次回はもう少し「失敗種牡馬」の原因を探る一方で、社台SSが輸入した種牡馬のなかで成功した馬の要因も考えたうえで、ブリックスアンドモルタルの疑問に迫りたい。

「【種牡馬失敗の理由は単純明快】 ブリックスアンドモルタルの疑問 ④ー3」 終わり

次回「【失敗も成功もサンデーサイレンスとともに】 ブリックスアンドモルタルの疑問 ④ー4」に続く

【攻略法】ブリックスアンドモルタル産駒

https://note.com/soumanosuikoden/n/n6d70fac97395

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