(1)当たり馬をGETするために謙虚に達人から学ぶ
社台・サンデーでなかなか当たり馬を掴めずに、苦労されている方も少なくないと思います。
なにしろ1/40のクラブでは、チャンスが開かれているのは少数。
さらに過去の4年間実績の縛りもあり、希望した馬に出資できる人は限られてきます。
かくいうこの私も苦しんでいるひとりです。
会員になって3年目でフェデラリスト、5年目でジェンティルドンナに出資できたものの、重賞勝ち馬はその2頭だけ。
以降、10年以上も重賞から遠ざかっています。
ジェンティルドンナ で稼いだ賞金の多くを溶かし、いまや出資金をひねり出すのにも苦労しているありさまです。
一発屋芸人の悲哀が身に染みてわかります。
このままじゃ、いけない。
なんとかしなければいけない。
そこで、研究に研究を重ねて「新測尺評価法」やその他の選馬法を開発しましたが、まだ緒についたばかりです。
実馬の見方は素人に毛が生えたようなもので、ここは、馬の見方を先人・達人に謙虚に学ぼうと思い立った次第です。
そこで、今回は社台・サンデーサラブレッドクラブの会員歴20年以上になるMさんをお招きして、馬選びの秘訣をお話ししていただくことにしました。
(2)Mさんの1口馬主成績
はじめに、今回インタビューに応じてくださったMさんの 1口馬主成績 について簡単にご紹介させていただきます。
①朝日杯フューチュリティ(G1)を3年連続連対(2年連続優勝)
サリオス(2019年優勝)、グレナディアガーズ(2020年優勝)、セリフォス(2021年2着)
②ダービーを3年連続2着
サリオス(2020年)、エフフォーリア(2021年)、イクイノックス(2022年)
③関東と関西で同一開催の土日に社台の馬で連日に重賞優勝
ランブリングアレー・中山牝馬S(GⅢ)2021年3月13日中山 & ギベオン・金鯱賞(GⅡ)2021年3月14日中京
その他にも、2週連続重賞制覇(数回)、G1競走出資馬の複数出走(安田記念、宝塚記念など多数)
など、枚挙にいとまないほどの実績です。
サリオス、エフフォーリア、イクイノックスの3頭に出資されている会員の方は他にもいらっしゃるかもしれません。
でも、①の朝日杯の 3年連続連対は グレナディアガーズ(サンデーサラブレッド)、セリフォス (G1サンデーサラブレッド)の2頭は1/40の大口クラブなので、この2頭の両方に出資している会員はおそらく他にはおられないかと思います。
そして、 セリフォス 2着時の優勝馬は後のダービー馬ドウデュースであることを考えると、これはもう凄い、としかいいようがありません。
さらにさらに、低迷する社台ファームという背景の下、社台サラブレッドクラブの重賞優勝馬も年に数頭と少ないなかで、2頭の重賞勝ち馬( ランブリングアレー ・ギベオン)を引き当てるのは、強運を通り越して、何か必然的なものを感じないではいられません。
前置きが長くなりましたが、それでは、Mさんのインタビューを掲載します。
(3)社台産馬の選馬で気をつけること
●トンボの眼鏡
今日は、日曜日のおくつろぎのなか、インタビューに応じてくださり、ありがとうございます。それでは、さっそく質問に移らせていただきます。
Mさんは社台の馬で最近重賞をいくつか勝たれています。成績が低迷する社台ファームのなかで、重賞馬に出資できる確率は計算してもかなり低いなかで、2頭もゲットできる秘訣、特に社台ファームの馬をみるときに、特に気をつけておかなければならないことが何かあればお聞かせください。
【Mさん】
――――社台ファームへは、強い期待をしております。ですが、現状では2歳・3歳時点ではノーザンファームの育成には圧倒的な差がつけられてしまってます。従いまして、4歳以上での古馬になってからのレースでの活躍を期待しての選馬の想像をしております。
●トンボの眼鏡
確かに、Mさんが出資されている社台サラブレッドクラブの馬で、重賞を勝ったギベオンは3歳で中日新聞杯(GⅢ)を勝ちましたが、その後長く勝てない時期が続いたあと、6歳で3冠牝馬デアリングタクトを破って金鯱賞(GⅡ)で復活Vを飾ってファンを驚かせました。古馬になってから活躍できる馬を選ぶ、というのはよくわかります。社台産馬の馬選びについて、もう少し詳しくお聞かせください。
【Mさん】
―――牡馬では、長めの距離やダートへの想像。牝馬では、1800m以下の芝への想像、でしょうか。
●トンボの眼鏡
「想像」ですか。これは血統的な背景や馬体の特徴と捉えていいのでしょうか?
【Mさん】
―――ですが、まだまだ展開や馬場影響での助けが必要な現状ですので、更に数年間での育成(牧場と外厩新設の三重県鈴鹿)の数段階アップが必要と、こちらも想像しております。
●トンボの眼鏡
鈴鹿の外厩施設ができれば、社台産馬もさらに活躍が見込まれますね。
(4)馬券抜きにして、パドック、レースを見ること
●トンボの眼鏡
次に一般的な選馬法についてお尋ねします。かつて(5~6年前)と今(ここ2、3年)とでは、Mさんが出資されている馬の成績が急激に変わってきたように思います。かつては出資馬のオープン馬率が高かったように記憶しています。でも、今は重賞馬率が高くなっているように拝察されます。選馬法に何か変化があったのでしょうか?
【Mさん】
―――選馬方法に関して、基本的な部分は変わってません。言えるとすれば、とにかく多くの馬(走る馬も走ってない)を見ることです。馬券抜きにして、パドック、レースを見ます。
●トンボの眼鏡
確かに、Mさんは毎週のように競馬場に足を運ばれています。サラブレッドを直接見る機会を増やすことで、自然と馬に対する目が養われることは多々あるでしょう。
【Mさん】
―――但し、レースには競馬としての展開や距離適性、馬場状態もありますので、情報蓄積は様々であり、答えは1つではないですね。その情報蓄積を募集時の段階で照らし合わせる(と言っても記憶の中での想像する)感覚です。
●トンボの眼鏡
記憶のなかで競馬場の「走る馬」と「走らない馬」のストックを情報として引っ張りだしてきて、ツアーでの1歳馬と比較するということですか。やはり、競馬場に通い詰めるという継続は力なり、ですね。
【Mさん】
―――原則、1年に1回の募集に関して、募集時期が終わればすぐに次の日からも来年へ向けての情報蓄積への馬やレースを見ることがスタートします。また、募集時にオープン・重賞・G1を期待するなどの選択はこれまた選択の中でも投げ掛け、想像、期待もします。
●トンボの眼鏡
先ほどMさんは「 情報蓄積を募集時の段階で照らし合わせる 」と言われましたが、何か過去の具体的な馬と比べるのですか? 馬体、動き、雰囲気のどこをどう比べるのでしょうか?
【Mさん】
―――ここは自分での蓄積した記憶からの比較になります。たとへ妹弟でなくても、募集馬における血統背景や馬体状況から過去の募集馬や競走馬から比較対象を持って来て想像を繰り返します。 なかなか活字や文章では書けない感覚の部分になります。
●トンボの眼鏡
馬券戦術の話になりますが、走る馬(結果を出す馬)と走らない馬(結果を出さない・出せない馬)とのパドックでの違いは何ですか?
【Mさん】
―――あくまで結果論ですが、パドックでは前走や前々走からの馬全体からの滲み出る雰囲気(仕上げ、やる気)の違い(いい場合は違いではなく同じや更に上乗せ)を頭に記憶させます。走らないはその逆ですね。ですが、募集時の馬選びではここは役に立たないかもです。
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ここまでの感想。
馬体の見方というのは、感性の領域に属すため、Mさんが「 なかなか活字や文章では書けない感覚の部分にな 」るというのは、わかります。
走る馬の放つものは、場数を踏んだ人しかわからない独特のものがあるのでしょう。
ホースマンでも「雰囲気がいい」という表現を好んでよくします。
だから、私は馬体については、測尺評価という誰にでも理解できる数字で迫ろうとしました。
けれど、感性派を否定するつもりは毛頭ありません。
競馬予想も私はパドック派ではなくデータ重視派です。
でも、 イクイノックス の東スポ杯を勝ったときの、皐月賞で2着に来たときの躍動感にピンときて、ダービーでは本命にして馬券をしこたま買いました(トリ紙になったけれど)。
次回は、インタビューの後編です。
さらに1口馬主の選馬の秘密を探るべく、Mさんに迫ってみたいと思います。
後編ではMさんは現代競馬の本質が1口馬主で成功するための馬選びに大きくかかわる、という選馬の真相を語ってくれています。
【社台で当たり馬を掴むには】1口馬主で成功している人に学ぶ(前編)終わり
「【第二のソングライン発掘プロジェクト/サンデーサイレンスのクロス完全攻略法】」