(1)口上
前回は「相馬の梁山泊」でサンデーサラブレッドクラブ2022年度募集馬「サルタートの21」について、メリット・デメリットを書いてみた。
https://ameblo.jp/aromacandle777/
今回は「相馬の水滸伝」に場所を移して、【アドマイヤリードの21】について思うところを自由に書いてみたい。
予算が許せば、この馬に食指が動かないという人は、よほどの頑固者だろう。
そして、誰しも、この馬の小さい馬体で迷っている。
私もそんな一人ということで、今回のテーマは直截。
【アドマイヤリードの21】はこんな小さな馬体で大丈夫? っていう話になる。
(2)新測尺評価でも 【アドマイヤリードの21】は 小さい馬
だいたい、「小さな馬体」って決めつけたように言うけれど、そんな印象論で大きい、小さいと言っても議論にならない。
そこで、新測尺評価法の登場である。
これは、 【アドマイヤリードの21】 と同じ1歳3月生まれの牡馬で、454日齢の馬の平均体高と平均体重と比較して、高低、軽重をプラスorマイナスで評価したものだ。
計算法は姉妹ブログ「相馬の梁山泊」をググってくだされば、解説が見つかるはずだ。
計算結果は御覧の通り。
【アドマイヤリードの21】は、体高でマイナス1.6cm、体重でマイナス19.6kgと、平均より劣る。
体重がマイナスであっても、体高がプラスであれば、成長力があるので、これからの育成次第では挽回できる。
でも、両方の数値ともにマイナス評価ということは、この馬もお母さんと同様に小さい馬としてデビューする公算が高い。
(3) お母さんも 小さかったから大丈夫というリクツはどうなのよ
【アドマイヤリードの21】はこんな小さな馬体で大丈夫?
っていう疑問に対して、大方の会員はこう答えるだろう。
「大丈夫。お母さんのアドマイヤリードもわずか422㎏という小柄な体でヴィクトリアマイル(G1)を勝ったから。」
おい、そんな単純な理由でこの馬の成功が約束されたように断言していいのか。
思わず、そうツッコミを入れたくなる。
アドマイヤリード の父ステイゴールドはオルフェーヴルなど産駒が小さく出ることが多い。
ダービー優勝馬の馬体重を過去38年間で調べると、オルフェーヴルの444㎏は最低馬体重(シャフリヤールも444kg)。
こうした父馬の特徴で、小さくても走るわけで、 【アドマイヤリードの21】 は父がモーリスに変わったのだから、同じ事情が違ってくる。
(4)モーリス産駒の活躍馬は大型馬多し
それじゃあ、モーリス産駒で馬体重が小さくても活躍した馬はいるか。
いるなら、 【アドマイヤリードの21】 も大丈夫、ということになる。
はい、そんなら調べよう。
下の表は、モーリス産駒のうち、募集時馬の測尺がわかる1口クラブ所属馬で、総賞金1億円以上を稼いだ馬のリストだ(2022年6月5日現在)。
該当する馬は3頭いる。
この3頭を新測尺評価法で、評価値を算出してみた。
2億円以上を獲得しているピクシーナイトは短距離馬はマッチョが走るという格言通り、1歳募集時の体重評価値が+50.4という大幅プラスで見事にG1スプリンターステークスを勝った。
ほかの2頭も体高のプラスか、体高・体重のプラス評価と出た。
ちなみに、この3頭のデビュー時の馬体重を挙げると以下も通り。
ピクシーナイト528kg(2歳9月)
ジェラルディーナ440kg(2歳9月)
アルビージャ514kg(2歳11月)
ジェラルディーナの440kgだけは、牝馬の平均的な馬体重で、ほかの2頭は大きい(重い)。
念のため、総賞金8,000万円超えの馬のほかのモーリス産駒のデビュー時馬体重を調べてみると、次のようになった。
ジャックドール502kg(2歳12月)、シゲルピンクルビー480kg(2歳11月)、ルークズネスト498kg(2歳9月)
やはり、父のモーリスも現役時代492~518kgでレースを走った大型馬であったから、産駒も大きい馬が走る。
それもそのはずだ。
スプリンターからマイラータイプの短距離馬は、瞬発力で走る。そのためにはある程度の筋肉量が必要になる。
ここまで調べてきて、 【アドマイヤリードの21】 に黄色信号が灯った。
(5) アドマイヤリード が ビクトリアマイルを勝った 理由
前章で、
スプリンターからマイラータイプの短距離馬は、瞬発力で走る。そのためにはある程度の筋肉量が必要になる。
と書いた。
それなら、ビクトリアマイルを勝った アドマイヤリード が小さいことと矛盾する。
【アドマイヤリードの21】 を推す諸兄はそう反論するに違いない。
アドマイヤリードがG1 ビクトリアマイルを勝った のにはわけがある。
アドマイヤリードの 管理調教師須貝尚介師は小さい牝馬を仕上げることに定評がある。
同じ須貝厩舎の馬で、同じステイゴールド産駒のレッドリヴェールが2013年に阪神ジュベナイルFを勝ったときには418キロだった。
須貝師は小さい馬を仕上げるのが巧い。
きっと何か卓越した技術を持っているにちがいない。
堀宣行調教師にも同じことが言える。
グリーンファーム所属のサザナミ(父ディープインパクト)は2歳8月デビュー時の馬体重はわずか396kgで400kgを切っていた。
この馬を合計5勝させてオープンにまでもっていった実力は並大抵のものではない。
アドマイヤリードのビクトリアマイル優勝は馬の実力もあったが、ひとえに調教師の賜物と言ってもいいのではないだろうか。
それでは、 気になるのは 【アドマイヤリードの21】 を預託する松永幹夫調教師の腕前だ。
松永幹夫師の管理馬で総賞金1億円以上を獲得した馬のなかに、 小さい馬がいるだろうか。
小さいの目安として、重賞またはオープン戦優勝時、牝馬は410~420kg代、牡馬は440kg代以下と定義して調べてみた。
結果は該当する馬はゼロ。
ラッキーライラックを始め、松永厩舎で活躍する馬はデカい馬が多い。
松永厩舎には小さい素質馬はたまたま入らなかったのか、入っても強い馬に育て上げることができなかったのか。
真偽は不明だが、松永師に須貝師や堀師のような腕を期待するほうが間違い、ということなのだろうか。
結論。
【アドマイヤリードの21】 にはこれで赤信号が灯った。
ぐちゃぐちゃ言うとるけど、 【アドマイヤリードの21】 が今は小さいけど、秋以降に成長して、デビューするときには大きくなっとればいい。そんだけの話や。
兄ちゃんはリクツが多すぎるで。
サンデーサラブレッドクラブ2022年募集馬の感想
次回は「相馬の梁山泊」にて掲載します。
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