【両刀使いかオールラウンダーか】 ブリックスアンドモルタルの疑問 ④ー 5

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(1)フレンチデピュティ成功の要因を考える

前回は成功種牡馬の特徴について2点を抽出した。

①アメリカから導入した

Mr. Prospector 系である

2002年に輸入したフレンチデピュティは成功種牡馬に分類されるが、この2つの条件のうち、①に当てはまる。

(系統は Deputy Minister系)

そして、さらに成功要因を挙げるなら、

③サンデーサイレンスの活躍期間から後にずれた形で産駒がデビューした

という点を指摘した。

実はこの フレンチデピュティ 成功の要因にはもう一つ大事な要素がある。

これが今回のテーマになる。

(2)成功種牡馬の条件の1つは芝・ダート両刀使い

フレンチデピュティ と言えば、誰しも代表産駒クロフネの名前を思い出す。

このクロフネと言えば、芝・ダート兼用馬というイメージを浮かべる。

クロフネは2001年の3歳時にG1 NHKマイルC(1600m) を優勝し、その年の11 月に行われたジャパンカップダートにも勝って、芝・ダートの両刀使いとして名をはせた。

同じ1頭の馬が国内の芝・ダートのG1を両方勝つというのは、クロフネのほかアグネスデジタル、モズアスコットぐらいの名前を思い出すぐらいで、極めて珍しいケースになる。

クロフネのこの偉業を達成できたのも、ひとえにその父フレンチデピュティの持つ種牡馬としてのポテンシャルの高さによるものだ。

クロフネ

フレンチデピュティは産駒から芝と ダートのG1を勝つ馬を複数送り出した。

芝が5勝、ダートが5勝で拮抗している。

産駒の勝ち数は芝が3,191出走中 291勝(勝率9.1%)、ダートは 5,793出走中 514勝(勝率8.8%)で芝ダートともに遜色はない。

  フレンチデピュティが凄いのは、短距離(1200m)からマイル(1600m)、中距離(2000~2200m)、長距離(3200m)とすべてのコースで産駒がG1優勝を果たしていることだ。

こんな芸当ができるのは、サンデーサイレンス以降では、この馬とディープインパクトを除いてほかにいない。

まさにフレンチデピュティはオールラウンダーの種牡馬という評価を下すことができる。

距離の融通までを望むのは酷として、成功種牡馬になるためには、この フレンチデピュティ産駒の戦績が示すように 芝・ダート兼用の適性を示さなければならない。

翻って、ブリックスアンドモルタルについて考えてみると、芝適性については自身の競走馬時代の実績や、父Giant’s Causeway自身やその産駒の適性から考えて疑いない。

問題は、ブリックスアンドモルタル産駒がダートをこなせるか、という点にある。

2021年生まれの現2歳馬を見ると、体高や体重面で見劣りして、非力な印象を受ける馬が多い。

体格から考えて、ダート競走への適性には疑問符がつく。

こうしたことから、ブリックスアンドモルタルが成功種牡馬になる道程に黄色信号が灯った。

(3)オールラウンダーを目指せ

ポスト・サンデーサイレンス期に導入されたウォーエンブレムと  スウェプトオーヴァーボード の2頭は得意分野に特化した形で成功種牡馬となった。

ウォーエンブレム は、出走数/勝利数 についてみると、芝が725/65 (約9%)に対し、ダートが806/101(約12,.5%)とややダート優位だが、両刀使いの要素もある。

ウォーエンブレム

だだ、距離適性としては、芝の短・中距離(1200~2000m)のニッチを獲得して、成功種牡馬となった。

サンデーサイレンスの去ったあとの隙間をGETした形になる。

スウェプトオーヴァーボード

一方、 スウェプトオーヴァーボード は短距離のスペシャリストとしての地位を獲得した。

距離の話を説明する前に 出走数/勝利数 についてみてみると、芝が2682/187 (約6.7%)に対し、ダートが4182/275(約6.6%)というデータが示すように、こちらも完全に両刀使いの馬だ。

スウェプトオーヴァーボード 産駒は 1200mの重賞を3頭で5勝している。

この馬の父、エンドスウィープも、その産駒は短いところも得意とする傾向があり、1400mの重賞

を6勝している。

ところが、 エンドスウィープ 産駒はジャパンカップ(アドマイヤムーン)など2000m以上の重賞も10勝しており、オールラウンドプレイヤーであった。

快進撃を続けたエンドスウィープは惜しまれながら早世し、その後継種牡馬として名指しされたのが スウェプトオーヴァーボード であった。

この馬も1200mと短いところだけでなく、産駒リッジマンがの日本最長距離重賞のステイヤーズS(3600m)を勝ったことで驚かされた。

こうした オールラウンドプレイヤー の特徴はまさに父馬 エンドスウィープ のよいところをそっくり受け継いだと言える。

ここまでで、成功種牡馬の条件として、以下の2項目を追加する。

①芝・ダート兼用馬

②短距離から長距離までのオールラウンダー

ポスト・サンデーサイレンスの時代は、現在のポスト2強(ディープインパクトとキングカメハメハ)の時代に重ね合わせて見ることができる。

こうしたエアスポットの時代に台頭したフレンチデピュティやウォーエンブレム、スウェプトオーヴァーボードのようにブリックスアンドモルタルはなることができるだろうか。

次回は最後の疑問【 Storm Bird 系 って日本の馬場に合うの?】 ブリックスアンドモルタルの疑問 ⑤ー1

【攻略法】ブリックスアンドモルタル産駒

https://note.com/soumanosuikoden/n/n6d70fac97395

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