【失敗も成功もサンデーサイレンスとともに】 ブリックスアンドモルタルの疑問 ④ー4

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(1)前回のまとめ

前回は、社台SSが輸入した「失敗種牡馬」の原因を考えてみた。

(1)はじめに 前回は、社台SSが輸入した種牡馬のうち成功するのはわずか3割に満たないという話をした。 ...

今回も引き続き、失敗原因を考察するとともに「成功種牡馬」についても書いてみたい。

失敗原因は2つある。

① サンデーサイレンスの活躍期間と重なった。

② 輸入馬は欧州の重い芝向きのタフネス&ステイヤー血統でこれは日本の馬場に向かない。

ブリックスアンドモルタルはこのどちらにもあてはまらない。

でも、①についてみると、サンデーサイレンスが亡くなり、種牡馬リーディング首位の座から陥落した2008年以降も「失敗種牡馬」は続々と生まれている。

これはなぜか。

理由は言わずもがなだけれど、次章で少し触れておく。

(2)サンデーサイレンス直子時代の競争

タイトルにも示した通り、サンデーサイレンスが死んでも、今度はディープインパクト、ハーツクライの2強とステイゴールド、ダイワメジャーなどといったサンデーサイレンスの直子の脅威に、輸入種牡馬は晒された。

特にディープインパクトの快進撃は目覚ましく、かつてのサンデーサイレンスほどの絶対君主ではないものの、クラシックディスタンスの東京2400mにはめっぽう強く、ダービー、オークス、ジャパンカップなどのビッグレースは毎年ディープインパクト産駒がにぎわした。

ポスト・サンデーサイレンス時代(2008年~2018年)のオークス、ダービー、ジャパンカップの優勝馬を下の表に書きだした。

これを府中三大競走と名付けたが、なぜこの3レースかというと、重賞競走のなかでも賞金が高く、種牡馬リーディングを考えると比重が大きい重賞競走であり、このレースを勝つと種牡馬の格付けにも大きく影響するからだ。

さらに、社台FやノーザンFは、基本的にはこのクラシックディスタンスを意識した馬作りをしている。

青色:サンデーサイレンス系の馬、赤色:海外から導入された種牡馬の産駒、黄色:キングカメハメハ系の馬
黒色:それ以外

この表を見ると、サンデーサイレンス系の種牡馬の活躍が群を抜いている。

また、黄色のキングカメハメハ系の馬も目立つ。

一方、海外から導入された種牡馬の産駒はこの11年間でエイシンフラッシュ  (父キングズベスト、2010年ダービー)とソウルスターリング(父 Frankel、2017年オークス)の2頭にとどまっている。

こうした状況は府中の2400mに限らず、芝で施行される重賞競走全般にあてはまる。

(これはnote有料記事のほうで検証します)

いまや内国産種牡馬中心の時代で、外国産種牡馬にとってサンデーサイレンス1強時代とはまた別の意味で厳しい状況下にある。

ここまで見てきたように、「失敗輸入種牡馬」の失敗原因の3つ目として。

③芝の重賞競走は内国産種牡馬に席捲(せっけん)されており、輸入種牡馬産駒の出る幕はほとんどない。

ただし、ブリックスアンドモルタル産駒がエイシンフラッシュやソウルスターリング級の馬を出す能力を持っているというなら、話は別だ。

ただ、甘い希望的観測はできるだけ慎んだほうがいい。

上の表を見ると、ブリックスアンドモルタルにとってあまりにも凄惨な現実を知ることになるので、少し希望を持たせる意味で、次の章では、社台SSが輸入した種牡馬のなかで成功した馬の要因 についても見ておきたい。

(3)「成功種牡馬」の産地が偏っている

まず「成功種牡馬」の競走馬時代の所属国を見ると、顕著な傾向を持っていることがわかる。

ダントツでアメリカからの馬になる。

このデータはブリックスアンドモルタルにとって非常に心強い。

最近輸入されたドレフォン、マインドユアビスケッツ、ニューイヤーズデイも同じアメリカの馬だ。

ヨーロッパよりもアメリカの馬場に適応性がある馬の方が種牡馬として日本の馬場で良好なパフォーマンスを発揮する傾向にある。

(4)Mr. Prospector 系が優位

次に「成功種牡馬」の血統を見る。

9頭中6頭が Mr. Prospector 系である。

やはり、ミスプロの軽さとスピード、仕上がりの早さが日本の競馬に合う。

ただ、ブリックスアンドモルタルとドレフォンは Storm Bird 系であり、これまで社台SSはこの系統の種牡馬を輸入したことがない。

こういった点が不安材料だ。


Mr. Prospector

そして、もう一つ気づくのは、「成功種牡馬」は必ずしもG1優勝馬とは限らない。

一時期、旋風を引き起こしたエンドスウィープはG3しか勝っていない。

また長距離(アドマイヤジュピタ、G1春天皇賞)、中距離(エイシンデピュティ、G1宝塚記念)、マイル(クロフネ、G1NHKマイルカップ、レジネッタ、G1桜花賞)とオールマイティの距離でコンスタントに活躍馬を出したフレンチデピュティは競走馬時代にはG2しか勝っていない。

「成功種牡馬」は必ずしも「成功競走馬」でなくてもいい。

凱旋門賞や欧州ダービーといった勲章は重いだけで、かえって種付け料の高騰などの負担までも重くする。

これは、ブリックスアンドモルタルにとっては皮肉とも聞こえる話になった。

そして、この フレンチデピュティ が日本に輸入されて供用を開始したのが2002年である。

この年は奇しくもサンデーサイレンスが亡くなった年にあたる。

これは偶然ではない。

フレンチデピュティ はサンデーサイレンスがいなくなってポッカリと空いた穴にスッポリと収まる形で活躍のフィールドを広げた。

そして、翌年には ウォーエンブレム、 スウェプトオーヴァーボードが相次いで導入されて、成功種牡馬となった。

これらの種牡馬がもう5年早く、つまりサンデーサイレンスがまだ活躍していた時期に日本に入ってきたら、 成功種牡馬 の仲間入りを果たすことができたかどうかは、疑問だ。

ことほどさように、種牡馬の成功も失敗もサンデーサイレンスとともにある。

以上をまとめると、成功種牡馬の要因として以下の2点に要約できる。

①アメリカから導入した

Mr. Prospector 系である

ブリックスアンドモルタルは①の条件に当てはまるが、②には当てはまらない。

この馬はどこまで微妙なんだ!

まったく評価者泣かせ極まりない。

今回はここまで。

ともあれ、次回はフレンチデピュティの成功要因をもう少し掘り下げて考えてみたいと思います。

「【失敗も成功もサンデーサイレンスとともに】 ブリックスアンドモルタルの疑問 ④ー4」終わり

次回「【両刀使いかオールラウンダーか】 ブリックスアンドモルタルの疑問 ④ー 5」になります。

よろしくお願いします。

【攻略法】ブリックスアンドモルタル産駒

https://note.com/soumanosuikoden/n/n6d70fac97395

【サンデーのクロスで1口馬主を極める】👇

https://note.com/soumanosuikoden/n/n5ba64130d2b8

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