(1)はじめに
サンデー・社台、G1の各サラブレッドクラブ2020年募集馬で注目クロスを持つ馬、特にヌレイエフのクロスとサンデーサイレンスの3×3のクロスを持つ馬を中心にピックアップして解説を加えてきた。
今回がとりあえず最終回ということになる。
最後は牡馬の【ビキニスタイルの2019】を取り上げてみたい。
本馬はヌレイエフ(Nureyev)の5 × 4(9.38%)のクロスを持っている。
競走馬のインブリードのことをここ2、3週間ずっと考え続けてきて、おぼろげながら分かったことがある。
その話も最後のまとめでしてみたい。
(2)ビキニスタイルの2019の血統評価
それでは、例によって、ビキニスタイルの2019の5代血統表から見ていきたい。
本馬(ビキニスタイルの2019)の父系を見ると、父父父母父がヌレイエフ(Nureyev)、母系では母母母父がヌレイエフ(Nureyev)。
よってヌレイエフ(Nureyev)の5 × 4(9.38%)が完成している。
本馬の母ビキニスタイル。戦績は25戦2勝 [2-0-3-20]。2勝はいずれも札幌の芝2000mを勝っている中距離馬。
本馬は2番仔。初仔のブライテストダーク (牡馬、2018年生まれ、父 ノヴェリスト)は2歳でこれからデビューを迎える。この兄はヌレイエフのクロスを持っていない。
本馬の祖母フィバリッシュの産駒からは以下の活躍馬が出ている。
・タガノトネール (セン馬、2010年生まれ、父ケイムホーム)G3武蔵野ステークス、G3サマーチャンピオン優勝。
・タガノエスプレッソ (牡馬、2012年生まれ、父ブラックタイド)G2デイリー杯2歳ステークス優勝。
・タガノディアマンテ (牡馬、2016年生まれ、父オルフェーヴル) G3きさらぎ賞2着
本馬の3代母ヘバはヌレイエフの直仔。イギリスで1勝した馬で、産駒からG3のCBC賞を優勝したヘッドライナー (セン馬、 2004年生まれ、父サクラバクシンオー) を出している。
やはり、ヌレイエフは産駒の多くに着実にスプリント性能を伝えている。
種牡馬は数あれど、これだけハッキリとわかるスピードの影響力を顕在化させている馬はヌレイエフを置いてほかにない。
少し先走って書いたが、次の章で再度ヌレイエフの血の持つ魅力について力説してみたい。
(3)シリーズのまとめ
この「2020年募集馬注目クロス」シリーズを通して、ヌレイエフの血の持つ凄さの一端を知っていただけたかと思う。
ヌレイエフ直仔の国内生産馬、特に牝馬や海外から導入した繁殖牝馬の数は多くない。
したがって、ヌレイエフのクロスを持つ馬はノーザンダンサー(Northern Dancer)やミスタープロスペクター(Mr. Prospector )のクロスほど多くは見かけない。
それでも、ヌレイエフのクロスを持つ馬を探すと、アーモンドアイ、トゥザグローリー、トゥザワールド、トーセンビクトリー、ミッキーロケット、メールドグラース、リオンリオン、デニムアンドルビーなど数多くのG1馬、クラシック馬の名前が浮かんでくる。
こんなに多くの素晴らしい馬が生まれるのは、特に先にヘバの例を挙げたように、ヌレイエフの直仔や孫の繁殖牝馬の優秀さに起因する。
ヘバのほかには、
・フェアリードール⇒トゥザヴィクトリーの母娘(⇒トゥザグローリー、トゥザワールド、トーセンビクトリー、デニムアンドルビー、リオンリオン)
・ブルーラスター⇒グレイシアブルーの母娘(⇒グラスボンバー[G3福島記念優勝]、メールドグラース)
などのように、ヌレイエフの血は母系に活力を与え、枝葉を伸ばしてその血統に豊かな広がりをもたせる。
このようなわけで、これからもヌレイエフのクロスを持つ馬たちに熱い視線を送りたい。
最後に本馬(ビキニスタイルの2019)の評価で本稿を締めくくることにしたい。
気がかりなのは母父がディープインパクトという点。
もちろん、ディープは種牡馬としては申し分ないが、ブルードメアサイアーの数が少ないため、評価を下すのが難しい。
私の出資馬ドナウデルタも母父がディープインパクトだが、母父ディープの馬は小さく出て、体重が減りやすく、レースに行って疲弊して回復が遅いという課題があった。
それで、春のクラシックはあと一歩というところで出場機会を逃したという経緯がある。
本馬は特に馬体重に注意を払って出資の可否の最終判断としたい。
それでは、長いシリーズでしたが、最後まで読んでくださり、ありがとうございました。
社台・サンデー、G1の各サラブレッドクラブ2020年募集馬の検討については、引き続きNOTEの「1口馬主講座」のほうに場所を移して続けさせていただきたいと思います。
https://note.com/soumanosuikoden
新企画として、「【奇跡の血量】サンデーサイレンスの3×4のクロスを持つ馬」や「ドゥラメンテ産駒総合評価」「モーリス産駒総合評価」などを予定しています。
今後とも、なにとぞ、よろしくお願いいたします。
【ビキニスタイルの2019】2020年募集馬注目クロス⑤G1編<最終回>終わり
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