(4)ブリックスアンドモルタルの血統を考える②成功の条件は芝の瞬発力
前回の考察で、ブリックスアンドモルタルの父のジャイアンツコーズウェイ( Giant’s Causeway )は種牡馬として、1400m~1600mの重賞勝ち馬を出し、スピードタイプという評価を下した。
これに対し、ブリックスアンドモルタルの自身の勝ち距離が芝の1800~2400mということからすると、産駒も中距離適性の馬が多くなるのではないだろうか。
もちろん繁殖牝馬の母系がスプリンターからマイラータイプなら、もう少し短い距離に焦点が合うだろうけれども。
芝の中距離適性馬を多く出す種牡馬のハービンジャーやルーラーシップ、オルフェーヴルあたりがブリックスアンドモルタルのライバルとなろう。
これらの馬たちの子どもは必ずしも切れ味が勝るタイプではない。
だから、ブリックスアンドモルタルが成功するなら、産駒が瞬発力を備えることが条件となる。
ブリックスアンドモルタルが勝ったレースを動画で見ると、道中は中団に控えて、最後のコーナーから仕掛けて外差しするパターンが多い。
ただ、上りタイムがわからない。
日本の軽い馬場に合うかは未知数だ。
(5)ブリックスアンドモルタルの祖父Storm Catは母系に入って力を発揮する
ブリックスアンドモルタルの祖父は Storm Cat だ。
この Storm Cat は母父になると威力を発揮する。
ブルードメアサイアーが Storm Cat で調べると、獲得賞金上位10位を拾うだけで、次のような豪華メンバーがヒットする。
ロードカナロア、キズナ、メイショウボーラー、ファレノプシス、サトノアラジン、リアルスティール、ダノンレジェンド、レッドスパーダ、ショウナンマイティ、ラキシス。
そして11位に今年活躍したダノンキングリーの名前が顔を出す。
この Storm Cat のポテンシャルについては、かねてより吉田照哉氏は絶大な評価を与えており、これが種牡馬ロードカナロアの成功につながったことを以前、当ブログで指摘した。
だから、ブリックスアンドモルタルは母系に入って繁殖牝馬の厚みを出すことに将来、寄与すると考えている。
結論は、ブリックスアンドモルタル産駒は様子見だ。
初年度産駒を見て、切れ味に勝るようであれば、取りに行ってもいい。
そうでなければ、母父に入ってから狙う。
長期作戦で構えるというスタンスだ。
(6)初年度種付け料は600万円
吉田照哉氏が2019年8月7日に購入発表し、鳴り物入りで日本にやってきたブリックスアンドモルタルであるが、初年度の種付け料は600万円(受胎確認後)となっている。
初年度の種付け料(受胎確認後)を調べてみると、マクフィ (Makfi) 、ハービンジャー(Harbinger)、ノヴェリスト(Novellist)は400万円。
これらの海外から購買した種牡馬の1.5倍となっている。
近年の国内産種牡馬では、ロードカナロア(Lord Kanaloa)は500万円、ドゥラメンテ(Duramente)、モーリス(Maurice)は400万円、キズナ(Kizuna)、ルーラーシップ(Rulership)は250万円。
これらの種牡馬たちよりも値段が張ることからも、社台スタリオンステーションの期待の高さがわかる(もっとも種付け料はその種牡馬の購入代金に比例するので、単純には言えない)。
社台SSの徳武英介氏の言葉として、以下のようなコメントを残している。
「『アメリカの年度代表馬になりそうなことを考えれば、かなりの期待がありますよね。日本だから(産駒を)走らせたい、シャープで重苦しくない動きをします。軽い馬場がいかにも合いそうな軽快な感じがしているので、非常に楽しみです』と話した。」
「日刊スポーツ」12/23(月)の記事から引用させていただきました。
https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20191223-12230381-nksports-horse
ディープインパクトとキングカメハメハ。
社台グループを支えた二大巨塔が倒壊したいま、大きな危機に直面している。
ブリックスアンドモルタルはその救世主になるか。
競馬界からいま、熱い視線が集中している。
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