(1)アーモンドアイ熱発で香港、回避の衝撃。
12月8日の香港カップ(シャティン競馬場・芝2000メートル)に出走予定していたアーモンドアイが熱発のため回避することが11月30日国枝栄調教師から発表された。(「スポーツ報知」より)
https://hochi.news/articles/20191130-OHT1T50207.html
強すぎる牝馬は、生産者のノーザンファームとしても悩みの種だ。
国内G1レースに出走させても、ノーザンファーム生産牡馬のG1勝利を奪うだけだ。
牡馬は将来、種牡馬としての価値がある。種付け料はG1勝ち数と相関する。
アーモンドアイが国内レースのパイをノーザンファーム生産牡馬から奪うよりも海外で走らせたほうがよい。
牧場はきっとそう判断しているはずだ。
そんなことを以前このブログに書いた。
そして、思惑読みの通り、天皇賞優勝後のアーモンドアイの次走は12月8日の香港カップ(シャティン競馬場・芝2000メートル)に出走と決まった。
ところが、せっかくジャパンカップをパスし臨む目標の海外遠征を発熱で回避との一報が入った。
それならば、ジャパンカップに出走していればよかった。
出ていれば、スワーヴリチャードに先着していたはずだ。
スワーヴはインの経済コースをマーフィーの好判断で通ったから、ドングリの背比べのメンバーを制することができた。
アーモンドアイが出ていれば、スワーヴの外を余裕で差し切っていただろう。
ジャパンカップ連覇は確実だったにちがいない。
だから、余計にこの熱発、回避は悔やまれる。
(2)もしアーモンドアイが香港カップに出ていたら、負けていた
話はそう単純ではない。
それでは、アーモンドアイがアクシデントを発症せずに香港カップに出ていたら、G1の勲章をもう1つ追加することができたか?
YESと断言できない話を耳にした。
アーモンドアイを管理する国枝栄調教師は最近、『覚悟の競馬論』(講談社新書)という本を上梓された(2019年10月20日)。
その中で、今年(2019年3月30日)勝った G1ドバイターフ(メイダン競馬場、芝1800m)では、アーモンドアイがとんでもない状況に陥っていたということを告白している。
この牝馬の特徴は、オンとオフがはっきりしていて、一度スイッチが入ったら、手に負えなくなる。
ドバイでの装着では、ドバイシーマクラシックに出走するレイデオロは簡単に装鞍を済ませたのだけれど、アーモンドアイはテンションが高くなり、レイデオロの2.5倍の時間がかかかったのだという。
国内レースでも同様のことがあったが、おそらく海外遠征で環境が変わって馬がいちだんとナーバスになったのかもしれない。
香港まで飛行機の輸送でそれほど時間はかからないものの、海外慣れしていない牝馬は環境が変わって、また同じようなことが起こりらないとも限らない。装鞍で無駄なエネルギーを費やしてしまい、これがレースパフォーマンスに影響する懸念がないとは言い切れない。
もちろん、ドバイでは、そんな一件があっても圧勝したのだから、杞憂と言われれば、その通りかもしれない。でも、一抹の不安がある。
海外遠征で負けると、その後リズムを崩して国内レースで勝てなくなった馬を今まで何頭も見てきている。
だから、今回、熱発というトラブルがあったけれど、回避して正解だったのではないか。
次走、有馬記念で他馬を蹴散らす雄姿をまた見てみたい。
(3)有馬記念の鞍上は誰?
アーモンドアイの次走は有馬記念だろうが、問題は鞍上だ。
引き続きルメール騎手が手綱を取るのか?
しかし、ルメールには、凱旋門賞帰りのフィエールマンがいる。
実績では断トツでアーモンドアイだが、同じクラブ馬同士で、四十分の一の重みとお得意の会員への配慮からノーザンファームはルメールに、フィエールマンへの騎乗をプッシュしてくる可能性も排除できない。
しかし、仮にそうなっても関係ない。
強い馬は誰が乗っても強い。
アーモンドアイとはそういう馬だ。
いまの日本競馬をしょって立つのはこの馬しかいない。
有馬記念でアーモンドアイが勝たなければ、今年の競馬も一年が終わったという気がしない。
これは大半のファンの心境であるように思う。
(4)アーモンドアイの次走は年明け
勢いでここまで書いてしまったが、冷静に考えれば、熱発でアーモンドアイは2~3週間は経過を観察して安静にするだろう。
それから調整しても有馬記念には間に合わない。アーモンドアイの次走は年明けになることは間違いない。
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