いよいよジャパンカップ週となった。
ジェンテイルドンナが2連覇したレースでもあり、一番思い入れのある競走だ。
今年は牝馬三冠馬アーモンドアイが出走を表明している。
アーモンドアイはジャパンカップを勝てるか?
1口馬主にかかわらず、競馬ファンの間で1週間、この話題で持ち切りだろう。
私の中では、もちろんアーモンドアイに勝ってほしい。
キタサンブラックが引退して、スターホース不在の競馬界で、新女傑のニューヒロインとして盛り上げてほしい。
そんな願望がある。
かたや、アーモンドアイの過剰人気を危ぶむ冷静な馬券師としての自分もいる。
「G1で牝馬の人気馬は消せ」のセオリーからすれば、ここはアーモンドアイを消して、大穴馬券をせしめるチャンスともなる。
アーモンドアイは来るのか、来ないのか。
早急な結論付けは慎む。
まず、牝馬は牡馬とどれくらいの力差があるのか。
今日はこの問題を考えてみたい。
まず、経験則で混合重賞競走で、牝馬は不利ということは明白だ。
ビックデータを解析して、期待値や性別の勝率や連対率を出せればいいのだが、やる気も能力もないことをお許しください。
そこで、別の切り口から考えてみたい。
JRAの牝馬が背負う重量だ。
●馬齢重量戦
年齢 2歳 3歳
負担重量 1-9月 10-12月 1-9月 10-12月
牡・騸 54kg 55kg 56kg 57kg
牝 54kg 54kg 54kg 55kg
まず、JRAの馬齢重量戦の牡馬と牝馬の斤量差だが、2歳の10-12月は1キロ差、3歳では2キロ差となっている。
これは、馬が成長するにつれ、能力差が生じてくるという判断に基づいてのもの。
一般的には1キロ1馬身(0.2秒差)と言われているので、同じ馬齢での牡馬と牝馬との力量差は、2歳の10-12月で1馬身(0.2秒差)、3歳では、2馬身(0.4秒差)というところだろう。
また、定量戦でも牝馬は2kgの減と定められているので、牡馬牝馬の力差は2馬身(0.4秒差)と考えられている。
それでも、経験則で混合G1で牝馬が牡馬を倒すケースは少ないから、牝馬はやはり不利なのだろう。
それはなぜか。
人間の場合、いま思いつくだけで理由は4つある。
①女性は乳房の重量と風圧で、陸上競技においては男性より不利だ。
②女性は子どもを産むので、骨盤が男性とは異なる。
③女性の生理による不利。
④女性は男性よりも身長などの体格が小さい。
馬の場合、①はほとんど当てはまらないので除外できるとして、②~④が競馬でも該当する。
特に影響が大きいと思われるのは、③と④だ。
③はいわゆる「フケ」と呼ばれるもの。
牝馬は春から夏が発情期になると言われている。
かつては、人気の牝馬がレースで凡走したあと、調教師から「実はフケがきていた」とコメントが発表されることがあった。最近はきかない。
これは公正競馬の観点から、JRAによる注意があって、こうした発言を自粛しているのではないかと推測される。
ともあれ、フケは常にあるわけではない。さらに、フケか否かの情報は事前も事後もつかめないので、このファクターから牝馬は来ないという結論は下せない。またジャパンカップの施行時期(11月)から考えて、フケの影響は重要視しなくてもいいだろう。
牝馬が不利だという一番わかりやすい理由は、実は単純で、牝馬は牡馬よりも小さく出る傾向にあるから。
ということは、逆に大きい牝馬は混合G1で健闘する、と考えていいのではないだろうか。
先日、愛馬のペルクナスが2番人気で新馬戦を勝ったが、このときの2着馬のレティキュール は牝馬だ。
馬体重はペルクナスは522キロに対し、レティキュール は422キロ。実に100キロの馬体差があった。
直線、先に抜け出したレティキュールをペルクナスがインにやや切れ込む形でレティキュールに馬体を合わせた。
小さいレティキュールが受けた威圧は相当なものだったに違いない。一瞬ひるんだ素振りを見せた。この一瞬が1と3/4差になって勝敗の帰趨を分けた。
このレースで、馬体の小さい牝馬は不利だと実感した。
ジェンテイルドンナは牝馬にしては、馬体重があった。
3歳でジャパンカップを勝ったときは460キロ、4歳で同レース勝利時は470キロだった。
3歳時のオルフェーヴルとの死闘は今でも語り草となっているが、このときのオルフェーヴルの馬体重が458キロ。ジェンテイルドンナの460キロより2キロ少なかった。
もし、相手が500キロ級の牡馬だったら、ジェンテイルドンナは弾き飛ばされていた。
もし、ジェンテイルドンナが牝馬標準の450キロを下回っていたら、写真判定ではオルフェーヴルが上に来ていた。
アーモンドアイの秋華賞優勝時の馬体重は480キロ。
これが何を意味するか。
おわかりだろう。
ジャパンカップ当日のアーモンドアイの馬体重に注目したい。
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