「セレクトセールの馬主に相馬眼があるか?」という疑問から出発して、セレクトセールの主取(ぬしとり)の馬のその後を調べている。
主取(ぬしとり)とは、競りで誰も買い手が現れなかったり、販売者の希望価格に達しなかったために販売者が引き下げたりする馬のこと。
今回は2009年のセレクトセールで検証してみた。
前回の2008年セレクトセールでは、社台グループ上場馬で主取(ぬしとり)は当歳馬だけで、馬体がしっかりしてくる1歳馬は完売となった。
さすが、天下の社台と褒めたが、2009年は打って変って、1歳馬からも7頭の主取(ぬしとり)=売れ残りの馬が出た。
これは、2008年に起こったリーマンショックによる世界同時株安の影響が甚大であったことによるものだ。
競走馬の市況もやはり株価と密接に関係している。
【資料】は、このサイトで表がうまく掲載できないので、前回と同様「相馬の梁山泊」のほうに掲載しました。
興味のある方は、こちらもご参照ください。
https://ameblo.jp/aromacandle777/entry-12391566075.html
さて、社台グループでの主取馬の販売者内訳は、ノーザンファーム((有)ノーザンレーシングも含む)5頭、社台ファーム1頭、追分ファーム1頭。
ノーザンファームが突出して多い。
当時の現場の状況がわからないので、断定できないが、これは買い手が現れなかったのではなく、価格面で折り合わなかったというのが実状ではないだろうか。
さて、前回2008年のセレクトセールの記事を読んで、売れ残り馬の9頭のうち5頭を1口馬主クラブに回しているという結果をみて、
社台グループはセレクトセールで売れ残った「クズ馬」を何も知らない素人の1口クラブ会員に買わせている。
こんな疑念を持たれた方も多くおられるのではないでしょうか。
かくいう、この私もそんな勘ぐりを持った一人。だから、2009年のセレクトセールの売れ残りの馬たちのその後の去就が気になるところです。
馬たちのその後を調べると、こんな結果となりました。
個人へ売却5頭、1口クラブへ売却1頭、不明1頭。
やはり、駄馬を1口クラブへ押し付けている。
そう考えたあなたは、早とちりです。
この1頭こそ、キャロットファームに売却された「トキオリアリティーの2008」こと競走馬名リアルインパクトなのであります。
言うまでもなく、2011年のG1安田記念を優勝した名うてのマイラー。
出資者の方は当然、ご存知のはずですが、そうでない方で、リアルインパクトがセレクトセールの売れ残りだったということを知っておられた方がいますか?
「トキオリアリティーの2008」はセレクトセールで3000万円の価格をつけて、販売者の予定価格と折り合わずに主取となりました。
そして、キャロットファームでは4000万円の価格をつけて募集されました。
当時のnetkeiba.com のリアルインパクト掲示板を見ると、会員の悩んでいる声が聞こえます。
主取=売れ残り=高価格・低品質という市場経済のルールに洗脳された人(私もそう)は、この馬に出資できなかったでしょう。
競走馬の市場では、このルールはあてはまりません。
この年は、特に例年のセレクトセールの動きからは例外とみていいかもしれません。
何より、前年のリーマンショックの余波が大きかった。この経済変動がなければ、「トキオリアリティーの2008」は、例年通り、個人馬主に競り落とされていたでしょう。
未曾有のできごとがあったからこそ、1口馬主クラブにこのディープインパクト産駒の良血が回ってきたのです。
出資された方の相馬眼もたいしたものですが、まことに僥倖(ぎょうこう)であったことも間違いないでしょう。
これからキャロットファームの募集が始まります。
会員でない私の手もとに募集馬名簿がないのでわかりませんが、今年の募集馬にセレクトセールの主取馬がいるでしょうか?
調べてみると面白いと思います。