牧場ツアーのついでに北海道旅行/庭園随想①真鍋庭園~北海道帯広市

私はいま、北海道ガーデンに夢中だ。
これまで、旭川の上野ファーム、富良野の風のガーデン、由仁のユニガーデン、恵庭の銀河庭園、十勝の十勝千年の森・十勝ヒルズ・紫竹ガーデン・六花の森・真鍋庭園と9つのガーデンを訪問した。
どの庭も個性的な魅力に溢れる庭であるが、その中で一、二を争うのが帯広市の真鍋庭園だ。
今日は、2015年に真鍋庭園を訪問した際に撮った写真に随想風の文章を添える。

●真鍋庭園の魅力
真鍋庭園は25,000坪の敷地に、日本庭園・西洋風庭園・風景式庭園など変化に富んだプランニングで、何度訪れても飽きることはない。
北海道の庭園は、ほとんどが草花を中心に構成されているが、ここ真鍋庭園の主役は木だ。

西洋から様々な樹木を移植してつくられた空間は、まるで日本を離れて、ヨーロッパのスカンジナビアの森にでも迷い込んだ錯覚さえ起こさせる。

●緑の協奏曲
ひとくちに森の緑と言っても、木によってすべて色合いが異なる。

まだ初々しい若芽の黄色味がかった鮮やかな緑から、ヒマラヤスギの濃緑に銀をまぶしたような、深みのある緑までそれぞれの個性を主張しながらグラデーションを描いている。

洋館を囲む木々の緑は同じ緑色と表現するのがはばかられるほど、多彩な衣装を身にまとっている。

この庭にたたずむと、周囲を緑のハーモニーに囲まれているようで、音楽会の聴衆になったような気を起こさせる。

●糸杉のある風景
初めて北海道を電車で旅行したとき、車窓に映る風景のすべてが新鮮で、電車の窓に手をつけて飽かずに外を眺める幼児のような心境で、電車旅を楽しんだ。
特に好きな風景が糸杉だ。
これは本州にはめったに目にすることがない木で、ひょろりと電信柱のように長い垂線がひと筆、天に向かってまっすぐに伸びている。
その光景がただひたすらに広い地平線に心地よいアクセントを与えている。

この木は私にとって北海道を象徴するものであった。
私はバスや電車の窓際の席に座ると、糸杉を探した。
一本、見つけると、ああ北海道にやってきたのだなあ、とひときわ感慨を深くする。
真鍋庭園の糸杉もしっかりと周りの木々に負けていない。
凛と天を指さすその先に十勝の青い空が広がっている。
「今日はよく晴れたいい天気になりましたね。こういう空を十勝晴れというんですよ。」
宿の主人の言葉がふっと蘇った。

●青い空をいつまでも眺めていたい
ビルに囲まれた都会で仕事をしていると常々思うことがある。
外はお天気だ。
スカッと気持ちよく晴れあがった空に大きな入道雲が浮かんでいる。
ああ、こんなによく晴れた日に仕事なんかするのはもったいない。
つまらないことは止めて、日がな一日、のんびりと外で雲を眺めていたい。
これは、気持ちが仕事から逃げているのではない。
仕事をすることが、人生の大切な何かに向き合うことから逃げているのだ。
そんな予感めいた思いがあった。
北海道のこの空を眺めていると、思いは確信になった。

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