(1)アスコルターレの基本データ
アスコルティの2018は2019年、1口100万円でサンデーサラブレッドクラブから募集された牡馬だ(栗東・西村真幸厩舎に預託予定)。
このたびアスコルターレと名前が決定した。
母のアスコルティは2勝。父がDanehill Dancer。アスコルティの母はリッスン(2005年生まれ、父Sadler’s Wells、G1フィリーズマイル優勝)。
リッスンは世界的な良血馬で、吉田克己氏によって購入され、Danehill Dancerとの仔を受胎した状態で鳴り物入りで日本に輸入されて繁殖生活を開始した。
こうして生まれたアスコルターレの母アスコルティは持ち込み馬となる。
期待されて2012年、 サンデーサラブレッドクラブから1口100万円で募集されたが、結果は2勝。
持ち込み馬はこんなものという常識通りの結末を迎えたが、期待はその下のきょうだいたちに託すこととなった。
リッスンの子どもたちを下に列挙するが、「世界的な良血」という触れ込みからは遠い結果である。
初仔:Though(牝馬、2011年生まれ、父ダンシリ)
2番仔:アスコルティ (牝馬、2011年生まれ、父Danehill Dancer、 2勝)
3番仔:タッチングスピーチ (牝馬、2012年生まれ、父ディープインパクト、G2ローズステークス優勝)
4番仔:New World Power (牡馬、2013年生まれ、父ディープインパクト)
5番仔:ムーヴザワールド (牡馬、2014年生まれ、父ディープインパクト、 3勝 )
6番仔:リンフォルツァンド (牝馬、2015年生まれ、父ディープインパクト)、1勝 )
7番仔:サトノルークス (牡馬、2016年生まれ、父ディープインパクト、3勝、菊花賞(G1)、朝日セントライト記念(G2)2着、中央現役 )
日本調教馬はすべて勝ち上がっているが、重賞優勝はタッチングスピーチ(G2ローズステークス)の1頭。
寂しい結果だ。
こういうときにはリッスンの孫たちに期待をつなげるしかあるまい。
(2)ブルードメアサイアーをDanehill Dancerにこだわる理由
アスコルターレの5代血統表を以下に掲げる。
母父がDanehill Dancerで、母系にSadler’s Wellsを加えるという血統構成は同じドゥラメンテ産駒のアゼルスタン(イプスウィッチの18)も同じだ。
下にアゼルスタン(イプスウィッチの18)の5代血統表を掲げる。
なぜ、ドゥラメンテ×Danehill Dancer+Sadler’s Wellsにこだわるのか。
ブルードメアサイアーDanehill Dancerの成績を調べてみたが、今のところ(2020年3月8日現在)総獲得賞金1億円を越えた馬はいない。
ランキング1位は総獲得賞金,728.千万円のディライトフル(セン馬、2011年生まれ、父フジキセキ、白老ファーム生産)だ。
だから、母父Danehill Dancerに是が非でも、というわけではなさそうだ。
ドゥラメンテ産駒が200頭以上もいるから、繁殖牝馬に似たような血統の馬がたまたま2頭重なることだってある。そこに特別の意味はない。
そう言われてしまえば、元も子もない。
しかし、同じような血統構成の繁殖牝馬が社台グループにもう1頭いる。
それは社台ファームのアーヴェイだ。
このア―ヴェイ産駒で一番活躍したサトノラディウスの5代血統表を以下に掲げる。
こちらはアゼルスタンに血統構成が近い。
(3)アスコルターレの馬体評価
ドゥラメンテ産駒は募集時に緩さが目立つ。
しかし、半年以上経つと調教で磨きがかかり、一様に馬体が良化する。
アスコルターレは4月4日生まれということもあって、特に馬体変化が顕著だ。
短めの背中はスプリンター~マイラーの適性と判断される。
募集時測尺を以下に掲げる。
体高146.0、胸囲164.5、管囲18.5、体重350
●1歳募集時の理想的な測尺
胸囲172cm以上、管囲20cm以上、体重420~455キロ。
アスコルターレは基準値を大きく下回る。
遅生まれだから仕方ない。
次に最新(2020年3月6日現在)の馬体重は433kg。
牡馬でこの数字はやや不安が残る。
(4)クラブコメントからアスコルターレを評価する
体調面に不安はありませんが、馬体が小さく幼さを残しますので、じっくりと成長を促して進める方針です。
2019年10月4日のサンデーサラブレッドクラブ公式ホームページより引用させていただきました。
坂路コースではバネのある走りで登坂できており、小柄ながらトモの筋肉も備わっています。これから調教を進めていけば走りには安定感が増し、メリハリのある馬体に成長しそうです。
2019年11月1日のサンデーサラブレッドクラブ公式ホームページより引用させていただきました。
現在の馬体重は432kgと小柄な馬なので、今はじっくりと乗り込んでいます。少しずつ体力が強化されて、調教で動けるようになってきました。前向きさがあって良い雰囲気です。脚元や体調面に問題はなく、カイバをしっかりと食べています。
2019年12月6日のサンデーサラブレッドクラブ公式ホームページより引用させていただきました。
ペースアップしてもテンションが高くならず、馬房でもリラックスできています。小柄で幼さの残る馬体ですが、これから乗り込めば走りももっと良くなるはずです。カイバを残さず食べており、脚元にも問題はありません。成長を促しながら鍛えていきます。
2020年1月6日のサンデーサラブレッドクラブ公式ホームページより引用させていただきました。
少しペースを上げてハロン16秒での調教を開始しました。まだ手応えに物足りなさはありますが、調教には前向きで、動きや背中の感触には良いモノがあります。ここまでテンションは上がりすぎていませんし、フィジカルの面でもずっと良好です。
2020年2月7日のサンデーサラブレッドクラブ公式ホームページより引用させていただきました。
動き自体は良化していますが、速いペースでは対応できていない部分もあります。乗り込んで力がついてくれば解消できるでしょう。ペースアップしてもカイバ食いは変わらず完食していて、脚元や体調面にも問題はありません。
2020年3月6日のサンデーサラブレッドクラブ公式ホームページより引用させていただきました。
「ハロン16秒での調教を開始しました。まだ手応えに物足りなさはあります」というコメントから察すると、速いペースにまだ対応できていないようだ。
やはり小さい馬体がこたえている。馬体重は馬の個性にもよるが、まだ馬体が小さい時期は育成段階としては成長途上にあり体力的にペースアップに追い付かない。
テンションが上がりすぎず、メンタル面で落ち着いているのは幸いだ。
ここはノーザンファームの坂路でじっくり鍛えてもらうしかない。
(5)アスコルターレの調教動画を見ての評価
●2019年12月11日の調教動画(ラップは15.5-15.7-16.4 3F47.6)
3頭合わせの真ん中。
やはり気性に問題がない馬は中央の位置をとる場合が多い。
ラップを見ると、最後は脚があがっている。
体力面での課題が影響しているのだろう。
●2020年2月28日の調教動画(ラップは15.6-15.6-15.8 3F47.0)
3頭合わせの一番右側。壁からは少し離れて坂路を駆け上がる。
ラップ的には安定していて、折り合いはついているが、ラストもう少し速い時計がほしい。
(6)アスコルターレの評価まとめ
馬体は胸前が発達していて、このまま馬体重が増えて体力がついてくれば、マイル前後でがんばってくれるであろう体型をしている。
気性の問題はいまのところ出てきていないので、大きな課題は成長を促すという1点のみ。
カイバ食いはいいので、あと半年経てばもう一段階、馬体の大きな変化があるだろう。
そのときにどんな変身を遂げているかが楽しみだ。
クラブコメントの速いペースでは対応がまだできていない課題については、「乗り込んで力がついてくれば解消できるでしょう」と言う言葉を信じてノーザンファーム空港のスタッフにまかせるしかない。
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