1月26日、サンデーサラブレットクラブ所属のアエロリットが、新設されたアメリカGⅠ【ペガサスワールドカップターフ】にフローレン・ジェル―騎手(112ポンド・約50.5kg)で出走し、9着の着外に敗れた。
1着賞金700万ドル。日本円で7億円を越える金額。このうち約4割が関係者に支払われ、残りを出資者の40口で分けるから、1口あたり約1000万円ちかくの大金が懐にころがり込む。
ただし、出走枠を得るのに50万ドルを支払うから1口あたり100万円以上の出費を覚悟しなければならない。
でも、どうせアエロリットは勝つだろうから、差額を計算しても出資者の儲けはウハウハものだ。
金に卑しい私は、日本馬の名誉や競馬の歴史的実績よりも入る金額に思いを馳せていた。
ところが、結果は獲らぬ狸の皮算用となった。
つくづく日本馬の海外遠征は難しい。最初に思った感想だ。
敗れたとはいえ、リスクを背負って果敢に海外競馬に挑戦した関係者の勇気に敬意を表したい。
ただ、今回の遠征の是非については、出資者のみなさんに配慮して敢えて書くことを控えたい。
それも、腹の虫がおさまらないので、アエロリットの敗因について自分の意見を書く。
この馬は、秀でたスピード特性により、かかり気味に逃げ、先行をし、押し切り勝ちをする。
そんなタイプの競走馬だ。
今回のペガサスワールドCターフでも、騎手が必死に手綱を抑えながらレースを進めていた。
道中、勝負どころまではうまくレースを運べたと思う。それでも流れが速く、息を整える余裕がなかったので、最後はズルズルと後退した。
1900mの距離が長い。これが一番の敗因だ。
以前にも書いたが、この馬の馬体はスプリンター型に変化しており、1800mの重賞を2回(GⅢクイーンステークス、GⅡ毎日王冠)勝っているけれど、適距離は1400~1600mだと思っている。
だから、普通ならもたない1800mだが、優れた騎手がスピードの持続を保ったままうまく制御して勝たせている。
これは物凄く難しい技術で、この馬に乗りなれた横山典弘騎手(GⅢクイーンステークス)や、テン乗りでも天才的な技量を持つモレイラ騎手(GⅡ毎日王冠)だからできる芸当だ。
これがうまくいかず、戸崎圭太騎手(G1ヴィクトリアマイル4着)やムーア騎手(GⅠマイルチャンピオンシップ12着)はテン乗りで失敗している。
今回のサンデーサラブレッドクラブの公式コメントでもこの見解を裏付ける内容だった。以下に転載したい。
「レース後、ジェルー騎手からは「返し馬は良い雰囲気で行うことができました。ゲートの中、スタートもうまくいきました。道中は良い競馬でしたが、3コーナーで他の馬がまくってきた時にラップが速くなったので抑えたところ、その時に急に手応えが悪くなってしまいました」とのことで、菊沢調教師からは「パドックに行く雰囲気は良かったです。3コーナーで他馬がきた時に走る気持ちがなくなってしまったようです。本馬は気分よく走らせた方が良いタイプですので、他馬がきた時に思い切っていって欲しかったですね。」
競馬でタラレバは厳禁だが、あえて書くと、ジョッキーを主戦騎手の横山騎手か香港のモレイラ騎手に依頼すれば、優勝まではわからないが、また違った結果になったように思う。
ともあれ、アエロリットとその関係者の皆さま、出資者の方々、お疲れさまでした。
悔しい気持ちは自分も一緒です。
今度は日本のG1競走に出走させて勝たせたいですね。
【お詫びと訂正】
以下の記述は誤りでした。お詫びして訂正します。
「1着賞金700万ドル。日本円で7億円を越える金額。このうち約4割が関係者に支払われ、残りを出資者の40口で分けるから、1口あたり約1000万円ちかくの大金が懐にころがり込む。」
正しくは以下の通り。
「1着賞金は300万ドル。日本円で約3億3000万円。このうち約4割が関係者に支払われ、残りを出資者の40口で分けるから、1口あたり約500万円ちかくの大金が懐にころがり込む。」
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