緋色のコスモスは侍女をはべらせる/庭園随想③~昭和記念公園のコスモス

久しぶりに立川市の昭和記念公園を訪問した。

みんなの原っぱの花壇には、黄色いコスモス(イエローキャンパス)が一面に淡い色を敷き詰めていた。


風が強い。
葉裏をそよがせて、なかなかこちらを向いてくれない。
風がやむと、花びらを翻し、一瞬だけ、愛くるしい表情を見せる。
ツンデレ女子とは、よく言ったものだ。

花の丘には、赤いコスモスが斜面一面、彩っている。
木の緑と大地のピンク、そして青い空にひと刷毛なぞったような雲の白。
世界がこんな単純な構成で出来ていれば、どんなにか今よりもっと心地よいものになることに相違ない。


気車にコスモス。
「夢を乗せて」とか、どこかで見たそんなキャッチコピーをつけてみたくなるが、私は「夢」を信じない。
いまがすべて。
現実にもっと彩りを加えること。
いまをもっと輝かせること。
「夢」などという言葉に騙されて、楽しみを先送りしない。
いま咲いている花の香りを心の印とする。
それが私の了見だ。

緋色のコスモス。
名をベルサイユと云う。
高貴な雰囲気を漂わせて、凛(りん)と咲く。
花弁に訪れる蜜蜂もどこか遠慮気味に蕊(しべ)を潜る。
この花を前にすると、ピンクのコスモスは侍女のように思えてくる。

この文章は2016年11月5日に書いたもののリブログです。
今年の昭和記念公園のコスモスの見ごろはホームページをご覧になってお出かけください。

http://www.showakinen-koen.jp/

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