(1) ブリックスアンドモルタルの可能性を探る
前回は、ブリックスアンドモルタルの持つストームバード の 3×3 のクロスについて、思うところを書いてみた。
この記事のなかで、次のように指摘した。
3×3の血は競走馬としては活躍した馬が少なくないものの、やはり種牡馬になると難しい。
特に種牡馬どうしの組み合わせでの3×3はフサイチコンコルドのケースもあるように、成功例は私見の及ぶ限り、見られない。
ただし、こうした疑念からただちにブリックスアンドモルタル産駒は走らないと結論付けるのは早計だ。
このシリーズ【ブリックスアンドモルタルの疑問】の結論は最終回で披歴したい。
これから社台・サンデーの2023年募集が始まる。
大切な時期に印象操作とも受け取られ兼ねない発言は慎むべきだと自覚している。
さまざまな角度からブリックスアンドモルタルの種牡馬としての疑問点や可能性を探っていこう、というのがこのシリーズの狙いだ。
だから結論を急がずに、次の話題を検討したい。
今回はブリックスアンドモルタルのようにアメリカの芝G1レースを勝った馬たちの種牡馬としての資質を考えていく。
(2)現役時の競走成績を過信してはいけない
ブリックスアンドモルタル はアメリカの芝G1を5勝した。
ペガサスワールドカップターフ(芝1マイル3/16(約1900m))
オールドフォレスター・ターフクラシックステークス(芝9ハロン)
マンハッタンステークス( 芝10ハロン )
アーリントンミリオンステークス(芝10ハロン)
ブリーダーズカップ・ターフ(芝12ハロン)
このうち、 アーリントンミリオン と ブリーダーズカップ・ターフ の2つの伝統あるレースを勝ったことは米国競馬史上に名前を残す。
ブリックスアンドモルタル の競走馬としての資質や能力はこの成績から十分に証明されている。
問題は種牡馬としての能力だ。
米国の芝G1を勝つ能力は産駒が日本競馬の芝適性のあることを保証すると言えるか。
ブリックスアンドモルタル の能力を 競走成績のみから過信してはいけない。
(3)米国芝G1馬の種牡馬能力
米国の芝G1競走を勝つ能力の馬が、産駒に世界の芝G1競走を優勝できる同じ能力を伝えることができるか。
それが、鍵となる。
ということで、 ブリックスアンドモルタル が勝った5つの芝G1レースの勝ち馬が種牡馬としてどれだけの実績をあげたか、調べてみた。
まず、 ペガサスワールドカップターフ であるが、このレースは2019年に創設されたばかりの新しいG1競走である。
ブリックスアンドモルタル が 第一回の優勝馬であり、その後の勝ち馬が種牡馬になったかどうかの情報は調べても得られなかった。
次にマンハッタンステークスであるが、2009年の優勝馬がジオポンティ。
このジオポンティ自身は芝G競走を7勝した稀代の名馬だ。
しかし、その産駒からは強い芝馬を送り出すことはできず、皮肉にもダート短距離G1で実績を上げたドレフォンが代表産駒となっている。
ジオポンティ産駒でG1優勝馬はこのドレフォン1頭だけで、これではジオポンティの種牡馬としての地位は失格である。
ただ、サラブレッドの血というものは面白いもので、このドレフォンが社台グループによって日本に導入されて、初年度産駒から芝のG1皐月賞馬であるジオグリフを出す。
ふつうは、ジオグリフの3歳クラシックでの成果については母馬のアロマティコ(6勝、芝のオープン巴賞を優勝)から説明されることが多い。
だが、祖父 ジオポンティ の能力が隔世遺伝したと見ることもできる。
ジオポンティ ⇒ジオグリフ
名は実を現す!
「【米国芝G1のレベルって?】ブリックスアンドモルタルの疑問③ー1」はここまで
次回は、 アーリントンミリオン と ブリーダーズカップ・ターフ の 歴代優勝馬の種牡馬成績を分析します。
日本とのかかわりについても考察する予定です。
noteブログで社台・サンデー2023 年募集馬の分析をやってます。
【攻略法】ブリックスアンドモルタル産駒|【1口馬主講座】トンボのめがね (note.com)
https://note.com/soumanosuikoden/n/n6d70fac97395
【サンデーのクロスで1口馬主を極める】
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