(1)はじめに
今回から趣向を変えて、話題のあの馬を取り上げて思うところを書いていく。
第1回はピュアチャプレットの19(牡馬、ノーザンファーム生産)を解説する。
この馬の何が話題かというと、全姉がリリーノーブル ( 2015 年生まれ、父 ルーラーシップ)だということ。
リリーノーブルはG1ジュベナイルフィリーズ2着、G1オークス2着、桜花賞3着馬。
3歳牝馬クラシックでリリーノーブル先に着した馬がラッキーライラック(ジュベナイルF優勝、桜花賞2着)とアーモンドアイ(オークス、桜花賞優勝)なんだから相手が悪かった。
違う年に生まれていたら、G1を1つは勝てた。
リリーノーブルはこんな不運な馬で、これはさらに続く。
そして、この不運はこの馬だけに留まらずきょうだい達にも及んでいく。不運に見舞われた一族というのは、ピュアチャプレットの子ども達に与えられた名称なのだ。
何が不運なのかは、次章以降でおいおい書いていく。
(2)ピュアチャプレットの19のきょうだい達の足跡
まずは本馬(ピュアチャプレットの19)の5代血統表を掲げる。
母のピュアチャプレットは18戦3勝 [3-0-6-9]で、旧1000万下の条件クラス在籍馬。
本馬(ピュアチャプレットの19)は7番仔。
きょうだい達を書き出してみる。
・初仔:ピュアチャプレットの2013(牝馬、2013年生まれ、父キングカメハメハ)不出走
・2番仔シャプレドサクレ(牝馬、2014生まれ、父タートルボウル)地方3勝
・3番仔リリーノーブル(牝馬、2015生まれ、父ルーラーシップ)2勝
・4番仔エクザルフ(牡馬、2016生まれ、父バゴ)1勝
・5番仔ピュアチャプレットの2017(牡馬、2017生まれ、父キングカメハメハ)未出走
・6番仔エクセター(牡馬、2018生まれ、父マクフィ)中央現役
まず初仔のピュアチャプレットの2013(父キングカメハメハ)であるが、この馬が1歳のときに2014年のHBAオータムセールに上場予定であったところ、欠場している。
-市場取引馬価格検索データベース-
http://umaichi.com/cgi-bin/database.cgi
その間に故障などを発症した可能性が高い。
それで入厩やデビューができずに不出走となった。
2番仔シャプレドサクレ(父タートルボウル)は中央で5戦0勝[0-0-0-5]で、地方に行って3勝を上げた。
3番仔リリーノーブル(父ルーラーシップ)は2016年にサンデーサラブレッドクラブから1口45万円で募集された。
6戦2勝 [2-2-2-0]で重賞未勝利も 1億3,809万円の獲得賞金を稼いだので、当たり馬と呼んでいい。
リリーノーブルは2018年のオークス2着後、9月6日のクラブホームページに軽度の左前脚の種子骨靱帯炎を発症したとの報告があり、翌2019年6月13日に種子骨靱帯炎の再発が確認され、7月10日に藤岡調教師と協議した結果、引退となった。
4番仔エクザルフ(父バゴ)は2戦1勝 [1-0-1-0]。
この馬は2017年にサンデーサラブレッドクラブから1口60万円で募集された。
2歳9月の阪神新馬戦(芝2000m)を川田騎手で勝ち上がり、11月の百日草特別(500万下)で3着(芝2000m)に入着した。
11月15日のクラブホームページによると、左前脚の膝裏に熱感が出てきたという報告があり、「レース中に負っていたダメージが時間の経過とともに顕在化したものと推測されます」とある。
11月17日にエコー検査で屈腱炎が発症したことが明らかになる。12月3日患部のエコー検査により、腱の損傷の範囲が広範囲に拡大していることが判明し、引退の運びとなった。
5番仔ピュアチャプレットの2017(父キングカメハメハ)については、当初は2018年度の募集リストに名前があった。
ところが、2018年5月30日のクラブホームページにて「2018年度募集馬『No.107ピュアチャプレットの17(父キングカメハメハ、牡、1口の価格125万円)』は、馬体に故障を発生したため、募集中止となりました。」との告知があった。
そして、6番仔は2歳新馬のエクセター(父マクフィ)になる。
この馬については、2020年4月1日美浦の宮田敬介厩舎に入厩後、4月8日には早くも「この中間に左前脚の球節の内側に若干の腫れがあり」とのコメントが出た。
4月10日(金)NF天栄に放牧し、翌11日馬体チェックを行い、左前脚の球節の状態を確認したところ、引き続き腫れが見られる状態。
その後、ノーザンファーム空港に戻され、5月8日現在、現在はウォーキングマシンで運動を行っており、左前脚の球節には軽い腫れが残り、もうしばらく軽めの運動にとどめて、回復に専念するとのこと。
このようにリリーノーブルの不運は健康問題にあり、この体質はきょうだい達と共通する。
(3)ピュアチャプレットの産駒につきまとう脚部不安
ピュアチャプレットの子どもには常に脚部不安がつきまとっている。
故障なく現役を退いたのは、2番仔シャプレドサクレだけだ。
産駒7頭中なんと4頭の馬が故障で引退に追い込まれている。
初仔はHBAオータムセールに欠場後、消息は不明だが、こちらも故障を発症した可能性が高い。
この馬を含めると7頭中5頭、70%の割合で脚部に問題が出ている計算になる。
おそらくは体質の問題であろう。
このような虚弱体質は遺伝する。
ただ、母のピュアチャプレットは6歳の2月まで現役の競走馬生活を続け、故障なく引退している。
わからないものだ。
つくづく、サラブレッドは恐ろしいと思った。
生産者サイドを弁護するわけではないが、あえて付け加えると、産駒にリリーノーブルが出ているように、ピュアチャプレットの子どもは高いポテンシャルを備えていることは間違いない。
しかし、その資質をうまく生かし切ることができない。
産駒で無事であったのは中央未勝利の第2仔シャプレドサクレだけ。
走る馬は故障が宿命のようにつきまとっている。
言うまでもないが、競馬はギャンブルであり、リスクがある。
1口馬主はさらにその上をいくハイリスクの金融商品になる。
リスクとリターンは比例する。
ピュアチャプレットの19に行くか、行かざるかは、この馬のリスクをどう評価するかにかかっている。
私の評価?
ヘタレだから、勇気も覚悟も根性も、お金もなければ、リスクを取りにいく男気もない。
だから、結論は決まっている。
どんな会員がこの馬に出資を決断するのか。
出資された暁には、決意をうかがってみたい。
そして、もしピュアチャプレットの19が結果を出したのなら、再び出資者に尋ねてみたい。
ハイリスクを取りに行く者がときとしてハイリターンの栄誉に浴するのがこの世界なのだ、という答えが返ってくるに違いない。
【衝撃の事実】【ピュアチャプレットの19 】話題の馬は走るのか①サンデーサラブレッドクラブ2020募集 終わり
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