(1)ウルランテの基本データ
ウミラージの2018は2019年、1口90万円でサンデーサラブレッドクラブから募集された牡馬だ(美浦・菊沢隆徳厩舎に預託予定)。
このたびウルランテと名前が決定した。
ウルランテの兄は社台サラブレッドクラブのウムブルフ (牡馬、2013年生まれ、父ディープインパクト、 4勝)でこの馬は皐月賞(10着)と菊花賞(12着)に出走した。
母のウミラージは(2005年生まれ、父Monsun) ユングハインリヒフォークリフト大賞(G3)の3着馬。
ユングハインリヒフォークリフト大賞はドイツ競馬の重賞競走で芝2200mで開催される。
ウムブルフは芝の2000m、2200m、2400m、2600mを各1勝しており、この競走成績と母の血統を合わせて考えるとステイヤーだ。
この長距離血統とドゥラメンテとの配合をどう考えるか。
ここが評価ポイントの第一の要点になると思う。
(2)ウルランテの馬体評価
ウルランテの1歳募集時の写真(一番上)は、3月1日生まれの割には幼さが全面に出ている。
約10か月後の写真(中)では、角度の違いもあるのだろうか、短い背中が特徴的だ。
兄のウムブルフの背中と比べてほしい。
ウムブルフは長くてゆったりとした背中を持つが、これとは対照的だ。
ウムブルフは2000m以上の中・長距離で実績を挙げたが、ウルランテは1600~1800mが適距離か。
ウルランテの募集時測尺を掲げる。
体高152.0、胸囲170.0、管囲19.5、体重401
●1歳募集時の理想とする測尺
胸囲172cm以上、管囲20cm以上、体重420~455キロ。
ウルランテはどの項目もあてはまらない。
直近の馬体重は492kg(2020年3月6日)。
ここで、ひとつ私見を述べておきたい。
胸囲や体重が1歳募集時に理想とする数値でなくても、その後、馬体が成長すればいいじゃないか。
なぜ1歳募集時の数値にこだわるのか?
このような疑問をもたれる方も多いかと思う。
しかし、上の基準はソウルスターリングやグランアレグリア、ブラストワンピースなど最近の活躍馬の1歳募集時の数値をもとに割り出されたもの、つまりは活躍馬という事実を前提とした数値であるということがひとつ。
2つ目はこれはあくまでも憶測であるが、この1歳募集時(社台・サンデーの場合は5月末~6月初頭)にはその馬の骨格がある程度定まってくる時期であるということから、この時期の胸囲や体重といった基礎的な数値がその後のレースパフォーマンスに相関関係も持つものと考える。
(3)育成過程のクラブコメントからウルランテを評価する
馬体は体高はもう少し伸びて欲しいところですが、肉付きはよく、脚さばきには柔らかさがあります。騎乗運動では安定して走りができるのではとみています。
(2019年10月4日掲載)サンデーサラブレッドクラブの公式ホームページより引用させていただきました。
関節の動きが柔らかく、力強い動きをしています。ただし、基礎体力がついていないために疲れをみせることがあるので、これからのトレーニングで体力をつけていきます。
(2019年11月1日掲載)サンデーサラブレッドクラブの公式ホームページより引用させていただきました。
本格的な調教をはじめてから日が浅いこともあり、馬体には筋肉がついておらず、フットワークの良さが持続しません。現時点で課題はあるものの、気持ちの面は問題なく、馬体はフックラとして、これから負荷をかけて乗るための下地は整っています。坂路調教を重ねて、良質な筋肉をつけていきます。
(2019年12月6日掲載)サンデーサラブレッドクラブの公式ホームページより引用させていただきました。
トモに緩さがあり、ハミに頼って走る面はあるものの、前進気勢が増して、ハロン16秒のメニューに対応できています。馬体は筋肉に厚みが出て、見栄えのする体つきになりました。少しメンタル面に繊細なところがあるのか、鼻面の辺りに皮膚病が出たものの、徐々に落ち着きつつあります。
(2020年1月6日掲載)サンデーサラブレッドクラブの公式ホームページより引用させていただきました。
調教強度を上げるとともに、馬体の毛ヅヤが良くなり、見栄えが良くなりました。トモには筋肉がついて、動きには力強さが出てきました。ただし、気難しいところもみせるようになったので、その点には注意を払っていきます。
(2020年2月7日掲載)サンデーサラブレッドクラブの公式ホームページより引用させていただきました。
前進気勢が増して、気合いが入るようになりました。ところが、ペースを上げるとともに、前向きな気持ちが悪い方へと作用しているのか、走りの安定感を欠くようになりました。これから調教をこなしていくとともに、走りのフォームを直すことに注力していきます。馬体は筋肉には張りが出て、着実な成長がうかがえます。
(2020年3月6日掲載)サンデーサラブレッドクラブの公式ホームページより引用させていただきました。
これまでのクラブコメントに共通しているのは、前進気勢が増すという本馬の特徴だ。やはりステイヤーではない。長距離には向かない。
難しいところもみせるようになるのは、調教が進むとある程度、どの馬にも出てくる特徴だ。
つまり調整方針を馬が理解できていないということで気難しくなる。
馬はもっと自由に走りたい。騎乗者はラップを計って管理しながら抑えが利くようにしたい、その相克が馬の気難しさになって現われてくる。
トモには筋肉がついて筋肉には張りが出ているのはよい兆候だ。
育成はまずまず順調と評価してよいのではないか。
(4)ウルランテの調教動画を見ての評価
●2019年12月23日の調教動画(ラップは17.8-16.9-17.2 3F51.9)
4頭合わせの画面向かって一番左。
道中少しフラフラしている。
元気いっぱいに坂路を駆け上がっていて、状態はよいように思われる。
●2020年2月28日の調教動画(ラップは16.2-15.7-16.3 3F48.2)
3頭合わせの画面向かって一番左の壁際ギリギリを進む。
まっすぐに走らせるための矯正調教だろう。
スピード感があって印象としては良好。
順調に進んでいるように見受けられる。
筋肉がついてきて馬体の成長にともなって調教にも身が入るようになってきたのではないか。
(5)ウルランテの評価のまとめ
もう一度、1歳募集時と2歳2月の写真を下に掲載する。
特にトモの筋肉が盛り上がってきている点に注目して見比べてもらいたい。
姉のウルクラフト (2016年生まれ、父ディープインパクト、 2勝、中央現役)は新馬勝ちをした素質馬。
ウルランテは白老ファーム生産馬で、白老ファームといえば、オルフェーヴルを出した少数精鋭の生産牧場で有名だ。
白老産→サンデーサラブレッドクラブ募集というのは、ひとつの成功パターンでもあるので、ウルランテは今後注目したい馬の1頭だ。
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