(1)モーリス産駒の牧場での評価は上々
「モーリス産駒の牧場での評価は上々」
牧場訪問をした出資者が状況を伝える声を掲示板などで見かけるようになった。
これに対して、
「今の評価はあてにならない」
「今年のセレクトセールでモーリス産駒を高く売るためのトーク」
「実際にレースに出てみないとわからない」
などという反論も耳にする。
こうした反論には一理ある。
けれど、「走ってみなければわからない」ということは結果論で何でも言える、1口馬主で正しい評価を下すのは、後出しじゃんけんに頼るしかない、ということにもなる。
ここで学問的な客観性を担保した議論をするつもりはない。
すべてのギャンブルで言えることだが、人より先んじて結果を読むということがこの世界で最も求められていることだ。
極端な話、学問的な手続きやエビデンスなどどうでもよい。
これから書くことに多少の主観が入ったり、わかりやすく単純化することになると思う。
だが、それもやむを得ない。
そうすることで論点が整理できる、より本質的なテーマが見えてくるなどの利点がある。
これから書くのは、あくまで私個人の主観であり、いくつかの例外的な事象を捨象したものだ、ということを初めに断ったうえで、モーリス産駒の可能性について書いていきたい。
(2)モーリス産駒・2つの疑問
モーリス産駒がいい、と言っているのは、具体的な馬名を挙げると、アドマイヤセプターの2018とブエナビスタの2018の2頭だ。
この両馬の評判がモーリス産駒全体の株を上げている。
したがって検討すべきなのは次の2点だ。
①アドマイヤセプターの2018とブエナビスタの2018はレースに行って本当に評判通りのパフォーマンスを上げることができるのか?
②この2頭だけが突出しているのではなく、モーリス産駒の全体的な出来が良いために、底上げの結果として2頭の評価につながっているのか?
今回のシリーズではこの2点について考えてみることにする。
(3)アドマイヤセプターの2018の課題は馬体重
この馬は2019年の募集時に本ブログで感想を書いたことがある。
このときの一番の懸念材料は大きすぎる馬体重だった。
1歳6月時点で馬体重が472キロで体高が159.0cm。
この数字はかなり大きい部類に属する。
そこで「(この数字)からすると、これからさらに成長することが予想されます。デビュー時体重が520キロ越えもあるかもしれません。」
「ダート馬であればメリットとなりますが、芝馬は足もとへのダメージが大きく、少し不安です。」
というように、大きすぎるデメリットについて触れた。
さて、2月7日時点でのアドマイヤセプターの2018の馬体重は546k。
8か月で74キロ成長した。
この増加分はむしろ歓迎する。
募集時期から増えない馬がまれにみられるが、このような馬は成長が止まってしまい、早熟の馬になる危険性がある。
アドマイヤセプターの2018の問題は、今後、この馬体重がどこまで増えるか、デビューまでに何キロ絞れるか、この2点に尽きる。
(4)アドマイヤセプターの2018の調教評価
アドマイヤセプターの2018の状態はどうだろうか?
1月6日のクラブの公式ホームページのコメントでは、500キロオーバーの割には、「重め感がみられなくなり」と好意的な内容が記されている。
現在は週3日は屋内周回ダートコースでハッキングキャンターを2000m、週3日は屋内坂路コースでハロン16秒のキャンターを1本のメニューを消化しています。馬がガラッと変わり、動きは抜群のひと言です。重め感がみられなくなり、坂路コースではいい動きを連発しています。
1月6日付サンデーサラブレッドクラブの公式ホームページより引用させていただきました。
ホームページには調教動画がUPされている。
2019年12月26日の調教動画を見ると、迫力ある走法で坂路を駆け上がっている。
16.5―15.3―15.2 3F47.3 のラップを刻んでいる。
馬体は前駆が発達していて、合わせた右側の馬はバタバタしている感じに対して、本馬はフォームが安定している。
馬体重から想像される重苦しさはない。
2020年2月28日の調教動画が本日UPされた。
16.0―14.9―15.4 3F 46.3 のラップを刻んでいる。
前回よりも1秒速い。
この時期の数字はあまりこだわりすぎなくてもいいかと思うが。
大事なのは、フォームがブレていないか、乗り手とのコミュニケーションが取れているか、ラップが安定しているか、などの点や息遣いに注目したい。
これらの観点から見ても、アドマイヤセプターの2018は水準以上で、進んでいるほうだと感じた。
(5)アドマイヤセプターの展望
こちらは、2020年2月22日撮影時の写真。
上の2019年12月25日撮影の写真よりも馬体をすっきり見せている。
これは調教が進んでいる証拠だ。
このまま順調にいけば、本番でも良好なパフォーマンスを示してくれるにちがいない。
一番の気がかりは、本馬の適性だ。
馬体を見ると胸前が発達していて、調教からパワー型の特徴を見て取ることがでいる。
こうした馬はダートか力のいる馬場で本領を発揮することになるだろう。
モーリス自体は芝のマイラータイプであったが、産駒に強力ダート馬が出現する可能性があることを指摘しておきたい。
あるいは、こうした特徴はアドマイヤセプターの2018の母父(キングカメハメハ)からくるもので、本馬のみの傾向かもしれない。
そのあたりの判断は今度、ほかのモーリス産駒を見ながら最終的な結論を出してゆくことにする。
現在は週3日は屋内周回ダートコースでハッキングキャンターを2200m、週3日は屋内坂路コースでハロン15~16秒のキャンターを1本という調教メニューを消化しています。ダイナミックなフォームで行きっぷりよく走っています。その一方で、ペースの緩いハッキングキャンターでも折り合って走っており、気持ちの切り替えがしっかりとできています。引き続き見栄えのいい馬体を誇っていますが、外見だけでなく、騎乗者からは「背中がいい」との指摘も受けています。やや気性は勝ってはいるものの、スタッフの手を煩わせることはなく、むしろ乗りやすいタイプです。現在の馬体重は546kgです。
2月7日付サンデーサラブレッドクラブの公式ホームページより引用させていただきました。
これからサンデーサラブレッドクラブ募集馬の2歳馬を中心にモーリス産駒の極私的評価を書いていきたいと思います。
よろしくお願いします。
【アドマイヤセプターの2018の評価】モーリス産駒は結局走るのか? 終わり
次回☟に続く
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