(1)社台FとノーザンFはかつてはうまくすみ分けていた
そもそもの疑問。
なぜ、社台グループで社台サラブレッドクラブとサンデーサラブレッドクラブの2つの1口馬主クラブが存在するのか。
その答えの1つは明白です。
社台ファームを立ち上げていまの社台グループの基礎を築いた故吉田善哉氏には3人のご子息がいる。
長男の照哉氏は社台ファーム代表、次男の勝己氏はノーザンファーム代表そして、三男の晴哉氏は追分ファーム代表と善哉氏の資産は3人の兄弟で分割された。
生産牧場に対応して、1口馬主クラブとして社台ファームは社台サラブレッドクラブと直結し、ノーザンファームはサンデーサラブレッドクラブへとつながる。遅れて、追分ファームに対応してG1サラブレッドクラブができた。
こうした資産分割が直接的な理由です。
しかし、社台ファームとノーザンファームとは同じグループ内で中央競馬の世界で争うことになり、限られたパイの食い合いになることが懸念された。
もう1つの理由は、社台とノーザンファーム(サンデー)はあえて戦略を分けることで、棲み分けた。
別の言い方をすれば、リスクを分散させた。
棲み分けは当初、次のようになされた。
社台ファーム生産馬→ダート馬、中山コースやローカル競馬場向き、古馬になってから活躍
ノーザンファーム生産馬→東京コースのクラシックディスタンス適性、3歳クラシック向き
もちろん例外もあるが、このような適性の違いを意識した配合、育成、調教がかつては行っわれていた。
私の出資馬の社台サラブレッドクラブ募集馬フェデラリストが2012年に中山金杯、中山記念と中山競馬場で施行された重賞レースを連勝したころまでは、こうした傾向が顕著だった。
(2)ノーザンファーム1強の時代へ
ところが、2010年にノーザンファームしがらきが開業し、これが軌道に乗ってから、上記の棲み分けが崩れた。
ノーザンファーム生産馬は競馬場やコースの違いを問わず活躍するようになり、3歳馬が古馬になってからも、成長力を発揮して重賞レースを勝ち続けた。
一方、社台ファーム生産馬は古馬になる前に故障が発生して引退する馬も多く、地方の重賞でもノーザンファーム生産馬に競り負けるシーンが目立つようになった。
理由はいろいろある。社台ファームの育成施設は屋根のない屋外ダートだけで、スタッフの仕事は除雪作業で労力と時間を取られ、調教の質量が不足する。こしたハード面だけでなく、スタッフにかける人材育成費もノーザンファームに大きく引けをとった。
近年の芝コースは速い時計の出るスピード仕様で、なおかつ上りも速い、切れ脚勝負のレースになるような設計に傾いている。
社台ファームの育成、調教ではこうした流れに対応できないこともある。
いまや、社台ファームは獲得賞金でノーザンファームに3倍近い差をつけられてしまっている。
(3)本当に社台サラブレッドクラブの馬を買ってはいけないのか。
だから、最近では、もう社台サラブレッドクラブの募集馬は買わないという会員が増えている。それに伴い、サンデーサラブレッドクラブの募集馬の希望倍率が高くなり、よほどの実績を積まなければ希望する馬が手に入らない、という事態になっている。
こうした時代の潮流に乗るのは間違いではない。
けれど、そうなると割を食うのは4年間出資実績の少ない零細会員だ。希望を出した馬を取れずに、出資馬ゼロという結果となった会員も少なくない(去年、2018年)の私がそうだ。
そこで、人が敬遠する社台の馬をあえて取る逆張りの方法が存在する。
それは、ダート馬を取る戦法だ。ダート適性馬を育てるのは、昔から社台のお家芸だ。砂の深い社台ファームの育成コースは、まさにダートに強い馬を生むのに最適である。
事実、以前から社台サラブレッドクラブからはダートに強い馬を多く出している。
- タイムパラドックス(1998年生まれ、父ブライアンズタイム、ジャパンカップダートなどダートGⅠ5勝)
- リミットレスビット(1999年生まれ、父サンデーサイレンス、GⅡ東京杯2回優勝などダート重賞8勝)
- ゴールドアリュール(1999年生まれ、父サンデーサイレンス、G1フェブラリーステークスなどダートGⅠ4勝)
- グレープブランデー(2008年生まれ、父マンハッタンカフェ、G1フェブラリーステークス)
- ベルシャザール(2008年生まれ、父キングカメハメハ、GⅠジャパンカップダート)
以上の馬はみなさんもご存じだろう。
近年は小粒になったが、オールブラッシュ(2012年生まれ、父ウォーエンブレム、GⅡ川崎記念 )、ロワジェルダン(2011年生まれ、父キングカメハメハ、GⅢみやこステークス)、ショコラブラン(2012年生まれ、父クロフネ、ダートオープン京葉ステークス)などが散見される。
このように、芝では切れ負けする社台サラブレッドクラブ募集馬でも、ダート戦に活躍する道はまだ開けている。
(4)社台ダート馬狙いの会員は少なくない。出すなら第一希望で。
今回のテーマこそ、まさに裏ワザと呼んでいいだろう。でも、敵もさるもの。クラブ会員で、このような裏事情に通じている人もかなりいる。
昨年(2018年)の募集で社台のダート馬、「マルクプレンヌの2017」(父タイムパラドックス)に私は密かに目をつけていた。
人気のない社台だからとたかをくくって第三希望で出したが、あえなく落選した。
意外なことに、この馬は第一希望で埋まっていた。
会員で私と同じことを考えている人は大勢いる。
しかも、私の上を行っている(みな第一希望で出している)。
1口45万円の「マルクプレンヌの2017」は無事にデビューまでいけば、必ずや馬代をペイするだろう。
今年(2019年)のクラブ募集馬の名簿が待ち遠しい。社台サラブレッドクラブなかで、ダート馬は必ず何頭かいる。
前回は白老ファーム生産馬に絞る作戦を披歴したが、今回は社台ダート馬の牡馬に絞る作戦だ。白老作戦は古参で4年間実績が高い会員がいく。
対して、社台ダート馬は馬代が安く、高実績の会員はいかない。したがって、新規や実績の少ない会員が第一希望で出せばほぼ取れる。
馬代が安いためリスクが大きくなく、長く楽しめること請け合いだ。
参考になれば幸いです。
ブログ主の成績はYouTube、「獲得賞金8千万円‗1口馬主、全成績を丸裸にする」をご参照ください。
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