(3)前編のあらすじ
前編では、アメリカのベルモントステークスをUncle Mo 産駒 のモードニゴール(Mo Donegal)が優勝したこと。
オーナーズでUncle Mo 産駒の4頭の牝馬(チャロアイト、サリネロ 、 レッチェバロック ベッサメモー )が募集されていたこと。
そして、今年のサンデー、社台の1口馬主募集リストに同じ Uncle Mo 産駒の 【インフレイムドの21】【パリスビキニの21】【ライラヌールの2021】の3頭の名前が登場した。
世上では、 Kingman産駒のインピードの21 ばかりが注目されて大人気となっているが、同じマル外や持ち込み馬でも Uncle Mo 産駒の この3頭に目があるか、というテーマで書いている。
(4) Uncle Mo の戦績
2008. 生まれのアメリカ産馬。競走成績は8戦5勝。重賞はGⅠを2勝(シャンペンS(D8F)とブリーダーズCジュヴェナイル(D8.5F)、GⅡを1勝(ケルソH(D8F))している。
獲得賞金1,506,000ドルで、2010年のエクリプス賞2歳牡馬チャンピオンになっている。
(5) Uncle Mo の種牡馬としての評価
Uncle Mo は2011年に引退し、2012年からアッシュフォードスタッドで種牡馬として供用が開始された。
生まれ年別の代表産駒の表を以下に掲げる。
産駒のなかでもひときわ光彩を放つのがナイキストだろう。
生涯成績11戦8勝。うち重賞7勝、GⅠ5勝。デビュー以来8連勝でケンタッキーダービーを制し、無敗でケンタッキーダービーを優勝したのは、2008年のビッグブラウン以来史上8頭目、ブリーダーズカップ・ジュウヴェナイルとケンタッキーダービーの両方を制覇したのは、ストリートセンスに続く史上2頭目という快挙を成し遂げた。
無敗でケンタッキーダービーを制覇したのは、2008年のビッグブラウン以来史上8頭目、ブリーダーズカップ・ジュウヴェナイルとケンタッキーダービーの両方を制覇したのは、ストリートセンスに続く史上2頭目となる快挙を成し遂げた。
初年度産駒が伝説を作った Uncle Mo だが、その後、産駒からは目ぼしい活躍馬が生まれずに低迷の時代を迎える。
Uncle Moの種付け料の推移をみると、産駒の栄枯盛衰を知ることができる。
ナイキスト の活躍によって、 Uncle Moの種付け料 はうなぎ上りに高騰し、2017年には15万ドルもの値をつけた。
しかし、 ナイキスト引退の2年後には12万5千ドルに下がる。
ところが、今年の ベルモントステークスでのモードニゴールの勝利に符号するように2022年の種付け料は16万ドルに盛り返した。
(6)社台グループが Uncle Mo 牝馬にこだわる理由
社台グループが オーナーズ(吉田和美、吉田晴哉名義)でUncle Mo 産駒4頭の牝馬(チャロアイト、サリネロ 、 レッチェバロック ベッサメモー )を日本で走らせていることの意味を考えたい。
Uncle Mo の5代血統表を見てみる。
5代血統表のなかに、アメリカや日本に多いミスタープロスペクターの血が入っていない。
この稀有な血脈を高く買って、社台は Uncle Mo 牝馬の導入にこだわっている。
ミスプロのクロスを持つ活躍馬は多い。
これを掛け合わせていくと、血のどん詰まりとなって気性難や体質の弱い子馬を多く出すことになる。
アメリカから新鮮な血を導入することで、サラブレットの生産に活力をもたらそうというわけだ。
ということは、今年募集される Uncle Mo 産駒3頭のうちの2頭(【パリスビキニの21】【ライラヌールの2021】)は牝馬。
この両馬は単に繁殖用の期待で連れてこられた馬なのか。
1口クラブの牝馬はレンタルなので、引退後は牧場に戻すことができる。
そんなクラブの思惑が透けて見える。
こうした「陰謀論」で結論を出す前に、まずは【インフレイムドの21】【パリスビキニの21】【ライラヌールの2021】の馬体と測尺を冷静に評価することが先決になる。
次回もこの続き「【インフレイムドの21】【パリスビキニの21】【ライラヌールの2021】夢はアメリカ三冠戦(中編)」は本ブログ「相馬の水滸伝」で掲載します。