(1)はじめに
「話題の馬は走るのか」のシリーズでは人気馬や会員の多くが気にかけている馬のレヴューを行っている。
前回の「【1口馬主必勝法発見!?】【ライラックスアンドレースの19】話題の馬は走るのか②サンデーサラブレッドクラブ2020募集」では、ラッキーライラックの測尺をきょうだい達と比較してみてある傾向を発見した。
今回取り上げる【プレシャライジングの19】はきょうだいの2頭が1口クラブ馬でうち1頭はサンデーサラブレッドクラブ募集馬、もう1頭は京都サラブレッドクラブ募集馬で、デビューしたのは1頭だけ。
データ的になんとも心もとない。
また本馬(プレシャライジングの19)の父は2016年のエクリプス賞3歳牡馬チャンピオンである、あのアロゲート(Arrogate)。
話題性という意味では十分であるが、アロゲートは2018年から種牡馬として供用が始まり、まだ産駒はデビューしていない。
未知の魅力と言ってしまえばそれまでだが、評価するとなったら、未知の恐ろしさしかない。
はてさて、本馬(プレシャライジングの19)については、どんな結論が出るのか。
(2)プレシャライジングの19の父アロゲート
本馬(プレシャライジングの19)の一押し材料は2つある。
まず一番目は、父がアロゲート(Arrogate)ということ。
日本で走るこの産駒は少ない。希少価値はハンパない。
それではアロゲートの戦績を以下に掲げる。
何と言っても圧巻は2016年6月5日の未勝利戦から2017年3月25日のG1ドバイワールドカップまでの破竹の7連勝、G1を4連勝にある。
ドバイワールドカップでは大きく出遅れ、最後方からレースを進めるも、直線ではスルスルと抜け出し、2着馬のGun Runnerを2 1/4身に完封する貫禄勝ちを見せた。
まさに世界最強ダート馬と呼ばれるにふさわしい勝ち方だった。
このアロゲート(Arrogate)産駒の牡馬を100万円で提供されるのは、まさに夢を買うのと一緒だ。
(3)おばはゼニヤッタ(Zenyatta)
少し先走ったので、本馬(プレシャライジングの19)の親きょうだいについて、詳しく見ていく。
2番目の推し材料は本馬のおばがあのゼニヤッタ(Zenyatta 、牝馬、2004年生まれ、父Street Cry、海外19勝、2008年米古牝馬チャンピオン、2009年米古牝馬チャンピオン、2010年米古牝馬チャンピオン)という血統背景だ。
このゼニヤッタ(Zenyatta)、肩書でもこんなに長い。
競走成績も2面に分けなれば掲載できないほど長い。
この馬は何と言ってもデビューから19連勝を飾った。
アロゲートを「破竹の7連勝」と形容したけれど、この馬の競走成績を何とたとえたらいいのかわからない。
まさに米国競馬界が誇る至高の名牝と呼んでいいい。
(4)プレシャライジングの19の血統評価
そして、ようやく本馬の5代血統表の解説に入る。
本馬(プレシャライジングの19)の母プレシャライジングは不出走。
産駒が5頭。上のきょうだいについては以下の通り。
初仔:報告なし(2015年生まれ、父Street Cry)
2番仔:(牡馬、父Kitten’s Joy)
3番仔:プレシャスガール(牝馬、2017年生まれ、父Speightstown);3歳未勝利。3戦0勝 [0-1-0-2]。この馬は2018年に京都サラブレッドクラブで1口125万円/40口で募集された。
ちなみに、2020年2月10日にニューワールドレーシングクラブが京都サラブレッドクラブと改称して再出発することになった。
4番仔:プレシャスゴールド(牝馬、2018年生まれ、父Speightstown);2歳新馬。この馬は2019年にサンデーサラブレッドクラブから1口50万円/40口で募集された。
本馬(プレシャライジングの19)は血統背景はワールドスケールの素晴らしいものだが、上のきょうだい達の成績や育成過程を見ると、アラアラという状態で、そのギャップがすさまじい。
(5)姉プレシャスゴールドからプレシャライジングの19を考える
本馬(プレシャライジングの19)の姉のプレシャスゴールド(募集馬名プレシャライジングの18)のカタログ写真を去年見ていたときに、あることに気が付いた。
下の写真がプレシャスゴールドの1歳募集時写真であるが、みなさんはお気づきでしたか?
上半身はボリュームがあって、迫力のある筋肉の付き方をしている。
それに比べて下半身は非常に問題があってアンバランスな馬体だ。
この馬の左前脚に注目していただきたい。
弓脚気味になっている。
弓脚とは、前脚が弧を描くように後ろに反っている状態のこと。
このような状態の馬は強い調教をすると前脚に負荷がかかり、故障の原因になりやすい。
サンデーサラブレッドクラブのジュベルアリ(ドバイマジェスティの2013)が2014年度の募集リストに名前があったが、途中で募集中止になった。アルアインの1つ上の全姉で、当時大いに注目していたが、この馬も弓脚が原因で脚部に故障を発症したものと推測される。
プレシャスゴールドに戻るが、この馬は今年(2020年)の1月下旬に右後肢の球節部を腫らし、繋靭帯に腫れと熱感が生じており、痛みも伴っていることから、騎乗運動を中止し、ウォーキングマシンの運動にとどめていた。
3月下旬からトレッドミルでキャンター運動を開始したところ、再び患部が腫れてきたため、ウォーキングマシン運動に逆戻り。
5月に入り腫れは解消したので、現在はトレッドミルで軽めの運動を再開しているとのこと。
いったりきたりで、この馬はなかなか順調に進まない。
弓脚気味なのは左前脚で、今回トラブルが発生したのは右後肢の球節部。
因果関係は不明だが、もしかすると、左前をかばって逆の右後肢に負担がかかり過ぎたのかもしれない。
ともあれ、プレシャスゴールドはゼニヤッタの近親。この血統で1口50万円は安いと思った。
本馬(プレシャライジングの19)は牡馬で父がアロゲートに代わり、1口100万円。
予想では125万円を見積もったが、やはり安めの価格設定になる。
カタログ写真や動画で足元を注意してよく見なければわからない。
だが、1口馬主では、予想より少し高いという馬がしばしば良好な結果を出す。
2018年募集馬ではサンデーサラブレッドクラブのルフトシュトローム(父がキンシャサノキセキの牡馬で1口80万円)がその典型。
予想より安い価格設定の意味をよく考えて出資をしたい。
独り言。
2歳上の半姉プレシャスガールは1口125万円/40口と高くても走らない。
つくづく選馬は難しい。
「【ワールドスケールの血統】【プレシャライジングの19】話題の馬は走るのか③サンデーサラブレッドクラブ2020募集」終わり
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