【ブエナビスタの2018の評価/第2回】モーリス産駒は結局走るのか?

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(1)前回のまとめ

ブエナビスタ産駒が期待通りに成果を上げない理由として、次の4

つを指摘した。

①現役時代に競馬を使いすぎて、繁殖能力を消耗した。

②種牡馬キングカメハメハとの相性が合わない。

③ブエナビスタが突然変異だから産駒は平凡。

④1繁殖牝馬から活躍する産駒は平均1頭。この経験則によるもので、これから活躍馬が出る。

前回は、①の論点について、名牝と呼ばれた繁殖牝馬の現役時の出走数と産駒の成績について考えてみた。

そして、「現役時の多戦は産駒の競走成績に悪影響が及ぶ場合がある」という結論を導き出した。

(1)ブエナビスタ産駒はこれまで不調 ブエナビスタ産駒の成績が物足りない。 ブエナビスタといえば、阪神ジュベナイルフィリーズ、...

今回は2番目以降の論点を考えてみることにする。

(2)ブエナビスタとキングカメハメハ(キングマンボ系)との相性はいかに?

まず、「ブエナビスタとキングカメハメハ(キングマンボ系)との相性はいかに」という質問の答えを考える前に、設問を少し変えてみよう。

「キングカメハメハと母父スペシャルウィーク(ブエナビスタの父)との相性はいかに?」

この質問に対しては、ベテランの競馬ファンであれば、秒殺で答えが出る。

「相性は抜群」が正解だ。

キングカメハメハとスペシャルウィークの組み合わせからリオンディーズ( 朝日フューチュリティ )の名前を思い浮かべるのは容易だ。

ほかにも、この組み合わせからタガノグランパ(G3ファルコンステークス)、クラリティシチー(3勝、OP東風ステークス)などを出している。

さらにキングカメハメハ産駒のロードカナロアやルーラーシップと母父スペシャルウィークで調べれば、

サートゥルナーリア(父ロードカナロア、G1皐月賞)

ディアンドル(父ルーラーシップ、G葵ステークス)

などの馬を拾い上げることができる。

父キングカメハメハ系×スペシャルウィークはほとんどニックスに近い配合と言っていいのではないか。

従って、「②種牡馬キングカメハメハとの相性が合わない」という項目はすぐに消せる。

(3)ブエナビスタ突然変異説

続いて3番目の論点。

「ブエナビスタが突然変異だから産駒は平凡」について検証する。

結論から書くと、これはYESともNOとも取れる厄介な問題だ。

まずYESから。

ブエナビスタはよくもあの馬体で、牡馬を蹴散らす活躍ができるものだ。

これは、競馬評論家や解説者などの専門家ならずとも、競馬ファンなら誰しも口にした感想だ。

たとえば上の写真。

これは2009年4月12日の桜花賞当日の馬体写真だ。

腹がきゅんと巻き上がっている。

最初の牝馬クラシックを迎えた日なので、陣営はメイチに仕上げた結果というふうにも取れるが、ブエナビスタはいつもこんな馬体なのだ。

馬体写真だけ見せれば、これがG1を6勝もする馬と予測できる者はたとえプロでもいないだろう。

それでも混合戦のG1で強烈な末脚を炸裂させて先頭でゴールを通過できるのは、類まれな勝負根性があってのもの。

2010年のG1ジャパンカップでは、それが裏目に出て、1位入線もローズキングダムの進路を妨害したということで降着となった。

つまり、ブエナビスタの強さは、たぶんに精神的な要素からくるものだと言える。

フィジカルな要素は遺伝的に伝えることができるが、勝負強さといった精神面は個別の馬ごとに違っていて、これが子孫に伝わるのはそう多くない。

もちろん、サンデーサイレンス特有の癇性(かんしょう)が勝負強さという形となってその子孫(スペシャルウィークにも)たちに受け継がれていることは間違いない。

しかしこうした勝負強さにフィジカルな馬体という裏付けがあって初めて競走馬はレースで好成績を残す。

ブエナビスタはフィジカル面をあまり伴わずにG1レースで結果を残した。

こういう意味でブエナビスタの強さは突然変異的な強さであるということができる。

(4)ブエナビスタは社台グループの王道をいく血の流れ

「ブエナビスタが突然変異だから産駒は平凡」というブエナビスタ突然変異説に対して、NOの立場からも立論できる。

ブエナビスタの力の源泉はきちんとした血統的な裏付けを持つもので、突然変異などでは決してない。

その論拠は以下の通り。

ブエナビスタの母ビワハイジ (1993年生まれ、父Caerleon)はG1阪神3歳牝馬S(現在の阪神ジュベナイルフィリーズ)を初め、札幌3歳S(G3)、京都牝馬特別(G3)など重賞を3勝している。

ビワハイジはG1馬でありながら自身が名牝として語られることよりも、ブエナビスタの母として語られることが多い。

それはなぜかと言うと、同期にエアグルーヴという強力なライバルがいたこと、マイラーでありながら、中・長距離路線のレースを選択して陣営がこの馬の適性を見誤ったこと、脚部不安に悩まされて長期休養を余儀なくされ順調に使えなかったことなどが挙げられる。

このような不運や悪条件がなければ、ビワハイジはさらなるG1勝利の実績を積み重ねて名牝に名を連なっていただろう。

ともあれ、ダイナカール→エアグルーヴ→アドマイヤグルーヴ→ドゥラメンテという社台グループの王道を行く血の流れに拮抗するものとして、

ビワハイジ→ブエナビスタ→ブエナビスタの2018  というもう1つの王道があっていい。

結局、「ブエナビスタが突然変異だから産駒は平凡」という論点については、どちらとも言える、という玉虫色の結論に落ち着いてしまった。

【ブエナビスタの2018の評価/第2回】モーリス産駒は結局走るのか? 終わり

【ブエナビスタの2018の評価/第3回】モーリス産駒は結局走るのか? に続く

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