【ブエナビスタの2018の評価/第1回】モーリス産駒は結局走るのか?

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(1)ブエナビスタ産駒はこれまで不調

ブエナビスタ産駒の成績が物足りない。

ブエナビスタといえば、阪神ジュベナイルフィリーズ、桜花賞、オークス、ヴィクトリアマイル、天皇賞(秋)、ジャパンカップとG1を6勝し、ウオッカとともに女傑の時代を切り開いた名牝だ。

引退したあと、ノーザンファームに繋養され、繁殖牝馬としての生活をリスタートさせた。

現在(2020年2月)まで6頭の子どもたちを世に送り出している。

このうちデビューした馬は3頭。

・コロナシオン (牝馬、2014年生まれ、父キングカメハメハ) 1勝

・ソシアルクラブ (牝馬、2015年生まれ、父キングカメハメハ) 3勝、中央現役

・タンタラス (牝馬、2016年生まれ、キングカメハメハ) 2勝、中央現役

(2017年生まれの「ブエナビスタの17」(牡馬、父キングカメハメハ)は骨折を発症後、患部の良化が見られず、「競走能力喪失に近いものである」との診断を受けて2歳で引退した)

デビューした馬はすべて勝ち上がっている。

並みの馬であったら、ブエナビスタは繁殖牝馬として優秀という評価が下されるだろう。

しかし、どうしてもブエナビスタの現役時代の華々しい競走成績が頭にこびりついている私たちは、最も活躍している産駒のソシアルクラブが3勝で、旧1000万下(3歳以上2勝クラス)の下級条件に甘んじているのは、正直、物足りないと感じる。

あれだけの名牝の子なのに、なぜ?

誰もが当然感じる疑問だ。

(2)ブエナビスタ産駒が走らない理由

ブエナビスタ産駒から活躍馬が出ない理由として以下の4つを考えてみた。

①現役時代に競馬を使いすぎて、繁殖能力を消耗した。

②種牡馬キングカメハメハとの相性が合わない。

③ブエナビスタが突然変異だから産駒は平凡。

④1繁殖牝馬から活躍する産駒は平均1頭。この経験則によるもので、これから活躍馬が出る。

上記の推測を順次検証してみたい。

(3)牝馬の出走数と繁殖成績は連動するのか

名牝の子が走らない理由として、よく言われるのが、一番目の推測である。

「現役時代に競馬を使いすぎて、繁殖能力を消耗した。」

いかにもありえそうな理由ではある。

あの牝馬のライバルとして激闘を演じたウオッカとダイワスカーレットの子どもに活躍馬が今のところ現れない。

それは、現役時代に走りすぎて消耗したからだ。

海外では、活躍牝馬は3歳、4歳のうちに現役を引退させてはやくに繁殖に回し、次の世代に備える、というのは常識だ。

そこで、日本で活躍した主な牝馬と現役時代の出走数の関係を調べてみたのが下の表だ。

上位は牝馬の獲得賞金ランキングを反映させてあるが、下位は正確な獲得賞金順ではない。

この表に含まれない繁殖牝馬で、獲得賞金が多いものの抜け落ちがあるかもしれないことをご了解いただきたい。

それから、この表はあくまでも繁殖牝馬の繁殖成績(産駒の成績)と現役時の出走数の相関関係を調べるために作成したものなので、アーモンドアイのような現役の名牝は除外してある。

この表から、いろいろ面白いことがわかる。

まず意外と名牝の子の活躍馬(重賞勝ち馬)が少ないということだ。

牝馬三冠馬(メジロラモーヌ、スティルインラブ、アパパネ、ジェンティルドンナ)からは、産駒に未だ重賞勝ち馬が出ていない(2020年2月29日現在)。

ただ、アパパネの子どものジナンボーが使いうちに重賞を勝つ確率が高い。

それにしても、これだけの名馬名牝を集めて産駒からの重賞馬が7頭というのは、あまりにも少ない。

アドマイヤグルーヴ、ルーラーシップ 、フェデラリスト、ギュスターヴクライ 、エピファネイア、リオンディーズ、テンメイの中で、G1勝ち馬は5頭と寂しい気がする。

この中でも特にエピファネイアとリオンディーズ、サートゥルナーリアのG1馬を3頭も出した シーザリオの繁殖牝馬としてのポテンシャルは特筆される。

シーザリオはわずか6戦しただけで3歳時に故障を発症して引退した。

現役時にレースで消耗しなかったからだ、という理由は成り立つように思われる。

しかし、エアグルーヴの例はあてはまらない。

この牝馬もアドマイヤグルーヴ、ルーラーシップと2頭のG1馬を産駒から輩出した。

エアグルーヴの場合は5歳の年末有馬記念まで走り、現役時代に19戦を消化している。

しかし、ファビラスラフインは現役時7戦で、3歳時の有馬記念を最後に引退し、産駒にG2馬のギュスターヴクライを出していることから考えると、やはり牝馬は早くに引退させたほうが産駒のパフォーマンスに良い影響を及ぼすということは否定できない。

エアグルーヴの母はオークス馬のダイナカールということもあって、極めて良質な血統背景からの特例と見ることができるだろう。

ちなみにダイナカールも6歳春まで現役を続けている。

この血統は現役競走馬に加えて繁殖牝馬としてもタフネスを売り物にする特性を持っていると言い添えてもいいだろう。

ブエナビスタに戻るが、この馬は5歳時の有馬記念を最後に都合 、23戦を消化して引退した。

やはり牝馬で最高獲得賞金馬のジェンティルドンナも5歳時の有馬記念まで走り、 19戦を消化した。

ブエナビスタよりも4戦少ないが、それでもやはり産駒からいまのところ活躍馬を出していない。

ここでブエナビスタの産駒が期待より走らない理由の一番目、「現役時代に競馬を使いすぎて、繁殖能力を消耗した。」というのはある程度当てはまるのではないだろうか。

「現役時の多戦は産駒の競走成績に影響が及ぶ」

という定則は今後の1口馬主の馬選びの参考にしてもよいかと考えられる。

【ブエナビスタの2018の評価/第1回】モーリス産駒は結局走るのか? 終わり

【ブエナビスタの2018の評価/第2回】モーリス産駒は結局走るのか? に続く

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